Artな 散 歩・過去記事 その1
こちらには既に会期が終了した展覧会の紹介記事を収容しています。![]()
建築空間を体験する (2000/06/16 up)
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豊田市美術館
愛知県豊田市小坂本町8丁目5番地1
設計:谷口建築設計研究所
公式サイト(豊田市のサイト内)アルベルト・ブッリ展 開催中
6/6(火)〜8/20(日)
※アルベルト・ブッリ(1915-1995)は
イタリアの画家
豊田市と聞いて「どこ?」とピンとこない人も、「トヨタ」とか「TOYOTA」と書け
ばわかるはず。そう、あの企業城下町である。
ここに市立美術館がオープンしたのは1995年11月のこと。
一度行ってみたい思いつつ、はや5年が経過してしまい、初めての探訪となった。
で、今回は展覧会の紹介ではなく、美術館そのものを紹介してみよう。江戸時代の城跡だという山の地形を生かして建てられている。直線的な構成の空間はシンプル。かつ来館者の移動に従って適度に、とはつまり迷わない程度に、しかもドラマチックに変化するのが心地よい。
乳白色の合わせがラスが多用されているのも特徴的だ。このガラスが建物の外部と内部を隔てる壁となっていて、白い光が室内に入りこむ。これは、紫外線その他の遮蔽効果のあるガラスらしい(伝聞情報)。階段部分や展示室3に置かれていた作品に、これはとても合っているように感じた。
屋外の空間がまた非常に気持ちよい。企画展・常設展を見てちょっと疲れたな、とレストランに入ると、そこからの眺めがまた、とてもいい。東側には市街が見渡せ、西側には美術館の内庭ともいうべき池や城の名残の樹木が見える。
目の前の広々した池、板状の柱(?)が並ぶ回廊などが、他ではちょっと見られない不思議な屋上庭園のような風情。そこはすべて来館者が自由に行き来できる。ルーズソックスはいた女子高生のグループやら地元の人々らしい女性の一団がこの洗練された空間を最初ちょっと戸惑いながら、でもすぐに慣れて楽しそうに行き来するのを目にするのはなんとなくうれしい。豊田市美術館は国内外の近・現代美術を中心として展示・収蔵している。
とりわけ ”展示する”行為そのものが作品の一部であるような現代美術にとって、この建物はとても相応しいものと思えた。
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擬態する美術館 (2000/05/28 up)
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バウハウス展
−ガラスのユートピア−
bauhaus glas-utopie
2000/03/19(日)〜05/14(日) 宇都宮美術館(取材地)
2000/05/21(日)〜06/25(日) 北海道立函館美術館
2000/07/15(土)〜08/27(日) 徳島県立近代美術館
2000/09/07(木)〜10/22(日) 広島県立美術館
見よ! あの壁面に掲げられた BAUHAUS の文字を!
もしやここは Dessau か…と見まごう光景は宇都宮美術館入口付近の外壁である。
おなじみの太くて丸っこい このロゴを、縦並びに取り付けるというこのアイデアは意表をつく。
図録にも掲載されているデッサウ時代の校舎を模したものだ。
この美術館の建物によくマッチしていて、実に格好よくキマッていた。
これを見るためだけでもわざわざ足を運ぶ価値はあり……だが。
残念ながら宇都宮展は終了してしまった。
他館でも同様のディスプレイがなされるかどうかは不明。
「美術学校としてのバウハウス」に焦点があてられていて、内容的にはかなり地味な印象ではあ
るものの、個々の作品の質は高い。
日本国内のコレクションのみで、これだけの充実した企画ができること自体をもっと評価すべき
じゃないかとも思う。
グラフィックはもちろんのこと、インテリアやテキスタイル、ステージなど、デザイン関連の作
品も秀逸。
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日蘭交流400周年
テリトリー:オランダの現代美術
territory
contemporary art from the Netherlands心象の領域 寺田コレクションにみる幻想的な具象
Territory of Fantasy:
Figurative Paintings from the Terada Collection今野尚行
IMANO Shoko東京オペラシティアートギャラリー
〒163-1403 東京都新宿区西新宿3-20-2
(京王新線初台駅の上)各展示とも……
2000/08/02(水)〜10/09(月・祝)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)/全館休館日08/06(日)
午後12時〜午後8時(金・土は午後9時まで/入場は閉館の30分前まで)この3種の展示の中では収蔵品119点による「心象の領域」が私には一番、見ごた
えがあった。油彩、鉛筆、ペン、水彩、版画と技法は多様で、幻想的な風景や建築
をモチーフにしている点が共通している。
どの作品も、あくまでも細密、稠密な描写にこだわっている。
その結果、生みだされたものは、現実には存在しない心象の−とはつまり心の中の
−風景なのだ。幻想的な建築を描き続けている野又穣(のまた・みのる)や、人物と不思議な光景を
組み合わせた武田史子、夢幻的な空間を捉える奥山民枝などなど、どれも一見の価
値あり。企画展はオランダの若手作家6人によるインスタレーションなどの展示。
解説パンフレットはあるものの、これは取っつきにくいと感じられる人も多いかも
しれない……。観客参加型のものもあって、それが重要な意味をもっていたりする
のだが、いきなりトランポリンでピョンピョン飛んでみよう、とか、靴を脱いで泥
のうえで陣取りゲームをせよ……などといわれても戸惑う人が多いに違いない。
やぱり”心の準備”的なものは必要なのだ。
”展覧会を見に行く”といえば、会場に設置された作品をもっぱら”見てまわる”
ものだという意識はまだまだ根強いだろうから。これはヴィデオ・アートなんかにもいえる。
ヴィデオは当然ながら会場内の一角などに設置されたモニターに映っているのを見
ることになる。エンドレス的に流されていることが多いから途中からになってしま
ったり、立ったまま数十分も見続けるのはいやだったり、椅子が置いてあっても数
が足りなかったり……。この展覧会では椅子は1個しかなく、一人で見るようになっている。
ということはつまり、先客がいたら見づらい。ならば一人用のブース式にして3〜
5コくらいブースを設置するのが親切ではなかろうか、とつい思ってしまう。
というよりは……おそらくヴィデオ作品をちゃんと最初から最後まで見る人は意外
と少ないんじゃなかろうか、という気さえしてしまうのだが、どんなものだろう。(2000/09/07 up)
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美剣士よ、永遠に (2000/08/10 up)
伊藤彦造挿絵画展 −躍動する剣士・甦るペン画の世界−
近鉄百貨店東京店(吉祥寺) 8階エレガンスサロン
2000/08/08(火)〜14(月) 午前10時〜午後7時30分(最終日は午後4時まで)
※入場無料伊藤彦造は大正の末から昭和20年代にかけて活躍した挿絵画家です。
非常に細密なペン画で、美剣士、少年剣士を得意としました。
まったく個人的な興味でこれは是非、見たい!(笑)。さて、行って来ました。無料だからとあなどるなかれ!
かなりヴォリューム感のある展示でした。
原画はもちろん、清刷、印刷物からの切り抜き、掲載雑誌そのものなど、規模は
たしかに大きくないけど、充実してます。驚いたのは年譜に「伊藤家は剣豪伊藤一刀斎の末裔といわれる」とあったこと。
そして「7歳から剣術をはじめる」と。
いやこの伊藤一刀歳なる人物が誰なのか、しかとは存じませぬが。
にしてもそのような血をひき、自ら剣術をも実践していたとは、すごいです。
そしてノートには様々な立ち合いの詳細を研究したメモも。
ほんとうに熱心に絵のテーマと取り組んだ方のようです。戦前得意とした美剣士、少年剣士は非常に美しい顔立ちで、袴や着流しの裾を乱し、
臑もあらわに躍動する一瞬を捉えています。そこに独特の気品と色気さえ漂い、
他に類のないヒーロー像を作り上げていました。細密なペンによる描写は、少年向けの月刊誌のザラついた紙面に印刷されるとかなり
質がかわるようです。原画は印刷物に比べはるかに美しかった、その事実はこのよう
な展示があってこそわかることで、一見の価値あり。竹久夢二、高畠華肖、中原淳一など、いっぽうに美少女系の絵師がおり、
その一方にこのような美剣士を創造して一時代を画した絵師がいた……。
おそらく、戦前の軍国主義教育というコンテクストの中で捉えれば、この画家に関し
て語られるべきことはもっと多くあるでしょう、ただ単に郷愁のなかで美しく思い返
されるだけの存在ではなく。けれども、今はやめておきます。
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質の高さこそが命 (2000/07/17 up)
アムステルダム国立美術館所蔵 17世紀オランダ美術展
レンブラント、フェルメールとその時代愛知県美術館 終了
国立西洋美術館(上野公園) 2000/07/04(火)〜09/24(日)うっかりしているうちに、すっかりupが遅くなってしまいました。
この展覧会は文句無し、この夏イチオシです。
各地でいろいろなイベントが展開されている日蘭交流400周年記念の一環ですが、
それぞれの作品のレベルはこれが一番、高水準。油彩画はもちろんですが、素描・版画にいたるまで、いい作品が多いです。
いや、アムステルダム国立美術館に行けば常設として壁にかかっているであろう油彩画
よりも、素描・版画のほうが一般の方々にとっては見る機会が少ないかも知れません。出品されている版画のなかには、この世に数枚しか残されていないという貴重なものも
含まれています。ヘラクレス・セーヘルスという人の版画がそれです。
それらのいわゆる”レア”なものは現地ですら滅多に見られませんので是非。それにしても。「レンブラント、フェルメールとその時代」というタイトルは何とかな
らなかったんでしょうか。憶えにくいというか、実にアン・キャッチーというか。
だれと会話しても、「ほら、あの、こんだ西美でやるあれ、なんていったっけ?」
「レンブラントなんとか?」みたいになってます。
画家の個人名を出したほうが集客率がよい、という事実は確かにあるんだけども……。
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カラオケとフェルメール (2000/06/10 up)
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フェルメールとその時代展
The Public and the Private
in the Age of Vermeer2000/04/04(火)〜07/02(日)
大阪市立美術館
※巡回はありませんほど近くに通天閣が望める大阪は天王寺公園。今を去ること97年前の明治36年(西暦
1903年)、第五回内国勧業博覧会が賑々しく開催された場所である。
海外からのパビリオンも数多く、ウォーターシュートのような新奇な乗り物まで出現
して、なんと530万人もの入場者を記録したそうである。
これは駅の近くの喫茶店の壁に書いたあったので確かだろう、たぶん。
その跡地がいまの公園や動物園となり、また近くに新世界・ルナパークなる娯楽施設
もでき、明治期はハイカラな場所であったらしい。
行ってみたかったな、ルナパーク……それはいいとして。その公園のなかにどっしりとたたずむ古色漂う美術館、それが大阪市立美術館。
そこで今、開催中なのが「フェルメールとその時代」展。1時間くらいは並ぶ覚悟が
必要と聞いて行ったのだが、屋外に並んでいた人は0人。入場制限をしているので、
館内に入ってから15分くらい待たされたものの、これは拍子抜けであった。
けれども見終わって出てきたら10mくらいの列はできていた。実にラッキーであった。フェルメールって誰?というなかれ。ヨハネス・フェルメール、1591年、オランダの
デルフトに生まれ、1675年、デルフトに死す。43年の生涯で、今に伝わる油彩画はわ
ずかに35点。そのうち5点が今回出品されている。日本には1点もないので、すべて
海外からの出品だ。その作品のほとんどが静謐な室内画。厳密な画面構成のなかにた
たずむ人物。窓辺から射し込む柔らかな光。器や宝石のうえに一瞬、漂うほのかな光。
それは、ふと通りがかりにのぞいた部屋の一遇であり、また同時に現実から切り離さ
れて宙吊りになった永遠の一瞬のようでもある。そういえば話題の『ハンニバル』(トマス・ハリス著、『羊たちの沈黙』の続編)で
登場人物の一人が、世界中のフェルメールを見て歩くのが夢、という設定があったが。
そのような人はおそらく現実にも多くいるであろう。それくらい、熱烈な崇拝者をも
つ画家なのである。たとえ5点だけでも、これは見る価値があろう。たとえ見るべき
ものがその5点につきようとも、人混みにもまれ慌ただしく見ることになろうとも。
そして、いいものを見たな…という余韻のBGMに、ド演歌が鳴り響こうとも。
そう、天王寺公園は青空カラオケのメッカらしいのであった……。
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流れよ、JAZZ……流れよ、SONG…… (2000/05/28 up)
20世紀最大の風刺画家
ジョージ・グロス ベルリン−ニューヨーク
George Grosz Berlin--New York2000/04/08(土)〜05/21(日) 神奈川県立近代美術館
2000/06/10(土)〜07/30(日) 伊丹市立美術館
2000/08/06(日)〜09/24(日) 栃木県立美術館日本初の大規模な個人展。グロスの油彩画や水彩画を日本で見られる機会はあまりないので貴重だ。
ジョージ・グロスはほんとうはゲオルク・グロスという。
若い頃にU.S.A.にあこがれてジョージと改名した。
戦前から日本に紹介されていた、1920年代ベルリンを代表する風刺(”諷刺”とも)画家だ。
しかし、1933年に渡米して後の作品は意外と知られていない。
今回はそれらがじっくり見られるのもうれしい。とても貴重な機会となるだろう。
ただ、展示物だけでこの時代、つまり20年代ベルリンを扱おうとするときにいつも感じる歯がゆさは
今回もある。グロスはまことに真摯な風刺画家には違いない。
けれども、文学、演劇、映画、音楽、そしてキャバレー(文芸カフェ)など、高踏的なものからサブ
カルチャー的なものまで含み込んだこの時期の文化と、切っても切り離せない存在でもある。
彼の風刺画はとかくエログロっぽいものが目立ちがちだが、茶目っ気やユーモアだってあるはずだ。
それはこの時代の雰囲気とともに提示されて初めて感じ取れるもののような気がする。
……そして見終わって、無性にクルト・ワイルの音楽が聴きたくなった。*ジョージ・グロスの子息、マーティ・グロス氏 Marty Grosz は今年70歳。
アコースティック・ジャズ・ギター奏者として今なお活発な演奏活動を続けている。
日本公演も数多く、JAZZ界では知られた存在らしい。
来る6月17日、伊丹市立美術館での本展開催にちなんで、そのマーティ氏の来日演奏会が開催さ
れる。まさにアメリカを愛した父ジョージにしてこの子あり、である。
聴きに行こう!(残念なことに中止となってしまいました。2000/06/16追記)
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