ティム・バートン監督篇
スリーピー・ホロウ Sleepy Hollow (USA 1999/105min)
ネタバレ注意報発令!
監督:Tim Burton ティム・バートン
出演:Johnny Depp ジョニー・デップ (Constable Ichabod Crane)
Christina Ricci クリスティーナ・リッチ (Katrina Anne Van Tassel)
Miranda Richardson ミランダ・リチャードソン (Lady Mary Van Tassel/The
Western Woods Crone)
Michel Gambon マイケル・ガンボン (Baltus Van Tassel)
Chirstopher Lee クリストファー・リー (The Burgomeister)
Chirstopher Walken クリストファー・ウォーケン (The Hessian Horseman)
これはいい! 断然、気に入りましたね、私は。ティム・バートンのなかでは今んとこ自己ベストかも。『エド・ウッド』 も好きだけど、なんといっても地味だし。こちらはもう、「ホラーについて私がやりたかったこと、ありったけ突っ込みました」 という、いわば監督の思い入れ炸裂作品なのかも。怖いかといったら、そうでもないけど。だいたいティム・バートン作品に怖さを求める人っているのかいな。
公開時、あまりいい評判を聞かなかった気がする。どうしてだったんだろう。いいじゃない、これ。思い切りよくスッパスッパと首が飛んで気持ちいいし、ヘンテコな魔女やら、剣呑な拷問室に
「鉄の処女」 みたいな、やーな感じの拷問具。ゴシックなホラーには欠かせないアイテム満載。しかも
『ビートルジュース』 みたいな、お化け屋敷タイプの作り物まで飛び出して、サービス満点といえましょう。
デップさまもいい味だしてる。いうことは立派だけど、実は気が弱くて頼りにならない捜査官。監督コメンタリーでも
「気絶がうまい」 といわれてたけど、少女のごとく肝心のところでバタッと気絶。かわいいんだからもお〜。
ヘンチクリンな拡大鏡?を顔に装着してみたり (目がでっかくなってひじょうにコミカル)、自らデザインしたという器具を駆使して解剖してみたり。そうかと思うと怖そうな場面ではおっかなビックリの及び腰で、身のこなしがうまい。小指がたってそうな手の表情とか。
そういえば拷問具の一つ (NYのシーンに出てくるヤツ) が気に入って手元に置いてるなんていってるけど、あんなもんを欲しがるデップさまって一体なに?
それはともかく。なんといってもクリストファー・リーとクリストファー・ウォーケンがうれしい。クリス・リー爺ちゃんはこれはもう、いわずもがな。
クリストファー・ウォーケンは 『ブレイン・ストーム』 とか、クローネンバーグの
『デッドゾーン』 とかがミョーに好きなもんだから、健在でうれしい。しかもあのコスチューム&メイクには大笑い。監督としては、どーしても彼にやって頂きたい、彼じゃなきゃダメ!みたいなキャラだったのではなかろうか。
クリスティーナ・リッチは金髪も似合いますねぇ。とても綺麗だった。
内田センセイではないけれど、ティム・バートン監督、ウォーケン主演でぜひ 「ドラキュラ」
を撮って欲しい!と私も思いました。ハゲドウでございます。
デップさまファン向けコメント
あの種のクラシックな衣装、似合いますねぇ、黒と白ばかりだったけど。やっぱし時代劇キボン。それにすごく細身なのがよくわかった。DVDの特典映像は実にオイシイ。メイキングでいろんな表情をみせてくれていて。ウォーケンと談笑してるところとか。あと、連続しているシーンのハズなのに髪型が変わってしまっている箇所があったような。
ファッション・ウォッチ
カトリーナ (クリスティーナ・リッチ) のお姫様ファッションはけっこういけてると思いました。でも18世紀末にしてはちょっとロココ調過ぎるような気もしないではないな。それと、いくら村一番の金持ちの娘とはいえ、ちょいと豪華過ぎるのでは、とも思ったけど、あれくらいじゃないと見栄えしないものねぇ、ま、いいか。
ちょっとしたメモ/字幕篇
言いたいことはいっぱいあるんですけど、ちょっぴりで我慢します。
(字幕担当の方は戸棚ではありません。)
[chapter 26]
タッセル家のイカボッドの部屋。イカボッドが留守のあいだに部屋で待っていたカトリーナ。そこへ捜査から戻ったイカボッドとマスバス少年が入ってくる。「どうして僕の部屋にいるの?」
と怪訝そうなイカボッド。カトリーナは 「あなたを待ってたのよ」 と答え、続いて「父が、あなたはニューヨークへ戻るべきだといっている」
と告げる。「なぜ?」 と問うイカボッド。
カトリーナ:I don't know (吹)さあ (字)さあ
Perhaps he looked in your
ledger and did not like what he saw.
(吹)もしかして あなたの走り書きをみたせいかしら
(字)きっと
宿代を調べたのよ
机の上に開きっぱなしになっているノートを見やるイカボッド。ノートの文字がクローズアップされる。そこには
「the secret conspiracy points to Baltus」 書いてある。「秘密はバルタス
(=カトリーナの父) が握っている」 ほどの意味。吹き替えも字幕もなし。ちょっと驚いた表情でパタンとノートを閉じるイカボッド。
なんですか? 字幕の 「
宿代」 って。「ledger=台帳、元帳」 で、ここでは 「台帳への書き込み」 の意味でしょう? つまり、イカボッドの調査ノートのメモをさし、それを父がのぞいて目にし、自分に疑惑を持っていることに気づいたから 「NYに帰れ」 といっているのでは?というのがカトリーナの言葉の意味。吹き替えは簡略化してるけど間違ってませんよね。字幕の 「宿代」 ってのが 「宿泊費」 だとすると、いつからタッセル家はホテルになったのじゃ?!
ここはこの後の犯人探しでイカボッドが勘違いしていまう伏線で、重要な場面なのになんともはや…。
[chapter 30]
マスバス少年:You think it was Katrina, don't you?
(吹)犯人はカトリーナだと思ってるの?
(字)黒幕はカトリーナ?
イカボッド:That can never be uttered. (吹)それは絶対口にするな (字)それは言うな
マスバス少年:A strange sort of witch, with a kind and loving heart.
(吹)あんなにやさしくて心のきれいな人が魔女だなんて
(字)心のやさしいあの人が魔女なんて
How can you think so? (吹)なんでそうなるのさ (字)なぜ?
イカボッド:I have good reason. (吹)理屈で考えてみろ (字)理由がある
マスバス少年:Then you are bewitched by reason.
イカボッド:I am beaten down by it!
マスバス少年(吹)いつも理屈理屈って…
←これは字幕では訳されてない
イカボッド(吹)この苦しさがわかるか!… ←(字)彼女に恋を だが破れた
なんですか〜、これは! マスバス少年の 「あなたは理屈 (理性) に魅入られている (理性という魔術にからめとられている)」 という言葉に対して、「理屈で考えたら (理性に照らしてみたら)、カトリーナが犯人という結論になってしまった。自分が信奉するその理屈 (理性) ゆえに、僕は打ちのめされているんじゃないか!」 という意味でしょう?噛み砕いていえば。
そして言外に 「僕はカトリーナに恋をしていたというのに…こんな結末になってしまって…」
という思いが含まれる、という…。字幕ではこの二行は完全にすっ飛ばされて、ちゃんと訳されてませんね。だいたい、捜査官が助手として使っている人物、しかも少年に対して 「恋をして破れた」
などというのは実にふさわしくない。
こうしてみると、明らかに吹き替えのほうがよくできていることに気づかされます。そりゃそうだ、吹き替えは声優さんが演じるんだから、それにふさわしい出来でなければ話にならない。
俳優の口の動きに合わせるから字幕よりも長めでもOKということもあるでしょう。しかし、やっぱり俳優の生声が聴けないのはいやなんですよね。声優さんはとても優秀な方々だとは思うけれど。
それに吹き替えで見ているとなんだかTVドラマを見ているような心持ちになってくる。というのも、この作品の場合、イカボッド=デップさまの声が、ERのさるドクターの声によく似ている気がするから。いやもしかしたら同じ方なのかもしれないな。
(2003/01/10 日乗にup。2003/01/14 大幅加筆/訂正 DVDにて)
エド・ウッド Ed Wood (USA 1994/126min)
監督:Tim Burton ティム・バートン
出演:Johnny Depp ジョニー・デップ (Edward D. Wood Jr.)
Martin Landau マーティン・ランドー (Bela Lugosi)
Sarah Jessica Parker サラ・ジェシカ・パーカー (Dolores Fuller)
Patricia Arquette パトリシア・アークェット (Kathy O'Hara)
Jeffrey Jones ジェフリー・ジョーンズ (Criswell)
Bill Murray ビル・マーレイ (John 'Bunny' Breckinridge) その他大勢
オープニングのタイトルバックからして笑っちゃう。ナニナニ、これ〜、と楽しめてワクワクしてくる。
カメラが墓石にぶつかって倒れるとか、そういうギャグでもやってくれないかな、と思ってしまった。音楽がまたいいんだ、ボンゴで。なんともはや、ティム・バートンらしいフェチっぽさ満開の一品でした。
エド・ウッド (デップさま) という人ゾ知る実在の映画監督が主人公。四苦八苦していろんな映画を撮るけど、ぜんぜん上手くいかなくて、しかも予算がないもんだから、使い回しのガラクタやらセットやら、ほんまにもう、無茶苦茶安くて手作りで、ストーリーなんぞもメタメタ。ゲテもの、キワもののたぐい。
というわけで 「史上最低の監督」 とかなんとかいう称号を奉られている不思議な人、エド・ウッド。
私はこの監督のものは一つも見たことがないので何ともいえないけど、この映画から推し量るのに、やっぱしそーとーひどそう(笑)。
それでも懲りないエド・ウッドって、もう”映画に取り憑かれた男”としかいえない。ティム・バートンは同じ監督として、心から共感してたのかもしれないな。
実在の人のお話だからして、ほかの登場人物も当然実在の人々。注目はマーティン・ランドー扮するベラ・ルゴシという俳優。1882年、今はルーマニアになっているオーストリア-ハンガリーに生まれる。なんと1882年生まれとは。しかもオーストリア-ハンガリー二重帝国。ハプスブルク家の最後の皇帝フランツ・ヨーゼフ一世だってまだ生きていた時代。
母国でかなり成功した舞台俳優だったようで、ハンガリー映画やドイツ映画にも出ていたようだ。カール・マイ原作のものなんかにも出てるな。ドイツではワイマール共和国時代だもの、古いというか既に世界史の世界。1921年にアメリカに移住してからは、30年代にドラキュラ役者として名を馳せ、あの吸血鬼のコスチュームがルゴシの定番となる。しかし晩年はすっかり忘れ去られた存在となり、1956年に死去。
この映画ではエド・ウッドが最晩年のベラ・ルゴシと出会ってからその死までの数年間が描かれている。エド・ウッドは老いと麻薬中毒でほとんどまともに仕事ができないルゴシを担ぎだして映画を撮り、なにかと面倒をみる。
そうこうしつつも、ビル・マーレイ演ずるオカマとか、バートンの定番らしいジェフリー・ジョーンズの怪しいインチキ教祖みたいな人物とか。揃って変人ぞろいの仲間たちが入り乱れ、なんだかドタバタ喜劇みたいな様相を呈する映画なのでありました。
デップさまファン向けコメント
いや〜、熱演ですね、ほんまに。ピンクのフワフワ、アンゴラ・セーター・フェチの女装野郎ですもん。エド・ウッドってほんとうにそうだったんだから仕方がない。こっそり彼女のセーターを着て怒られてみたり。
メイクがこれまた、50年代風の時代がかった容貌にしていて、顔の表情や身振りもオーバーで笑えます。
『スリーピー・ホロウ』 の監督コメンタリーで、『エド・ウッド』 の経験が役立ってるね、とかいわれてる。これは 『スリーピー…』 での身のこなしや、眉をピッとあげて見せたりする表情のことでしょう。
『エド・ウッド』 はモノクロ映画なので、なにやら無声映画時代の俳優の雰囲気も発散させてたような。『妹の恋人』
でもバスター・キートンを意識していたみたいだし。
(2003/01/18 up DVDで)
シザーハンズ Edward Scissorhands (USA 1990/105min)
ネタバレ注意報発令!
監督:Tim Burton ティム・バートン
出演:Johnny Depp ジョニー・デップ (Edward Scissorhands)
Winona Ryder ウィノナ・ライダー (Kim Boggs)
Dianne Wiest ダイアン・ウィースト (Peg Boggs)
Anthony Michael Hall アンソニー・マイケル・ホール (Jim, Kim's
Boyfriend)
Robert Oliveri ロバート・オリヴェリ (Kevin Boggs)
Alan Arkin アラン・アーキン (Bill Boggs)
う〜む、これは私には今ひとつ。舞台装置はひじょうに気に入ってるんだけど。例えばぺっかぺかのおもちゃみたいな家々が立ち並ぶあの妙にカラフルな町の風景。ゴミひとつ落ちてなくて、いかにも作り物めいたその町の鳥瞰から入っていくっていうのは良い感じ。
しかも、とっても唐突に町のすぐハズレに小高い丘、というか小山?があって町の家々とは180度テイストの異なるゴシック・ホラーな古い屋敷、いや城か?が建っている。
オープニングではすごく期待しましたねぇ、どんなん見せてくれるのかと。
でもこれは悲しすぎるなぁ。いたたまれないっす、なんだか。エドワードは人造人間だから、城から綺麗な町を見下ろしながら、歳もとらないまま、未来永劫存在しつづけるのだろうか…考えるだに辛そう。ラストシーンでは恋したキム
(ウィノナ) はばあちゃんになっちゃってた。でもエドワードは変わらないまま、たった一人…。あー悲しい。
そういや、デヴィッド・ボウイの 『地球に落ちてきた男』 でも、ボウイ扮する”地球に落ちてきた男”はずっと歳をとらないまま。恋人はドンドン老けてゆくというのに。孤独をかみしめるような、すごく淋しそうなボウイの表情が思い出されます。
あとですね、町の奥様方、あれなんとかなりませんか。ああいう連中、自分勝手でご都合主義で偽善的。ほんっとに嫌いだわ、まったく。とまぁ、マジになって怒ることもないんだろうけど。
それとキムのボーイフレンド、極悪過ぎ。なんであそこまでワルモノのなのかしらん。
デップさまファン向けコメント
そうはいっても色々と秀逸な点も多々ある映画でございました。なんといってもエドワードのあの出で立ち。のちのマリリン・マンソンを彷彿させるがごとき、お化粧系カリスマ・ロック・バンドの人気ヴォーカルでもあるかのごとき、メタリックかつゴスな黒の…ボディスーツ(?)。
その上に無理矢理着せられるサスペンダー付きのパンツとか、白いシャツもいいっす。この映画みて、サスペンダー買おう〜っと思いましたモンね、私は。
それにあの髪型ってば、かっこいー(笑)。
好きなシーンはガーデン・パーティなんぞしている時に、手のハサミの部分がシシカバブになるところ。
笑えました。
それから問題のウィノナ! 「ウィノナ・フォーレヴァー」 のTATOOむなしくお別れしてしまった二人。その後、それぞれに思いっきり遍歴を重ねてくれて、まさにハリウッド・セレブの真骨頂。
それにしてもウィノナは最近は凄いことになってますね。ちょっとエキセントリックな所のある人なのかもしれない…。いい女優さんなんだもの、トラブル解決して、さらに良い作品に出て欲しいと願わずにはおれません。
(2003/01/19up DVDで)
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