その他いろいろ篇................ナインス・ゲート/ノイズ/ビートニク
ナインス・ゲート The Ninth Gate (USA, France, Spain 1999/133min)
ネタバレ、注意
監督 Roman Polanski ロマン・ポランスキー
原作 Arturo Perez-Reverte アルトゥーロ・ペレス・レベルテ
出演
Johnny Depp..................ジョニー・デップ (Dean Corso ディーン・コルソ 稀覯書ハンター)
Frank Langella...............フランク・ランジェラ (Boris Balkan ボリス・バルカン 稀覯書収集家)
Lena Olin.........................レナ・オリン (Liana Telfer リアナ・テルファー 稀覯書収集家)
Emmanuelle Seigner...エマニュエレ・セニエ (The Girl 謎の女)
Barbara Jefford.............バーバラ・ジェフォード (Baroness Kessler ケスラー男爵夫人)
Jack Taylor.....................ジャク・テイラー (Victor Fargas ヴィクトル・ファルガス 稀覯書収集家)
James Russo.................バーニー (古書店主、コルソの友人)
その他大勢
主人公ディーン・コルソ (デップさま)は稀覯書を売買するのが仕事。歴史的に古く、部数も少ないものが中心らしい。そういうわけで、コルソは
「本の探偵」 とか 「愛書家の傭兵」 などと呼ばれている.。彼が、富裕な収集家バルカンから、その蔵書
『影の王国への九つの扉』 The Nine Gates of the Kingdom of the Shadows という本の鑑定を依頼される、というのがお話の発端。
この本は1666年に、ベネツィアのアリスティデ・トルキアなる人物によって印刷・出版されたもの。どうやら悪魔崇拝に関連する異端の書らしい。トルキアはこの出版がもとで異端審問にかけられ、焚刑に処せられれたという。
『影の王国…』 はトルキアの火刑の際に一緒に燃やされてしまい、3冊しか現存しない。「ファルガス、ケスラー、テルファー」と所蔵家の名をすらすらと言ってのけるコルソ。さすが稀覯書探偵だけあって詳しい。バルカンはテルファーが自殺する直前にこの本の譲り受けたと主張する。
ボルトガルのシントラにあるファルガス本、パリのケスラー本と比較検討するためNYからヨーロッパに飛ぶコルソ。しかし所蔵家は次々に殺害され、所蔵本も燃やされてしまう。あら大変。しかも行く先々で得体の知れない人物に襲われたり、敵か味方かわからない謎めいた若い女につきまとわれたり、アタフタ振り回されてばかり。
そうこうしつつも、どうやら 『影の王国…』 に入っている9枚の木版画が謎の鍵を握っているらしいとわかってくる。3冊の挿絵は微妙に違っていて、どれかが正しくて、どれかが間違っており、正しい9枚が揃ったときに何かが起きる…らしい。では一体なにが? 悪魔が…というわけなんだけど、どうも 「悪魔」 というものの存在感が切実でないためか、最後はなんだか釈然としない終わり方だったけど…。
デップさまファン向けコメント
こめかみの髪をグレーにし、眼鏡をかけ、老け役に挑戦。髪、短め。あまり人気ないみたいですね、このタイプは。実は最初はしっくりしない感じだったんだけど、これを書くためにチョコチョコ見返していたらなんだかけっこう気に入ってしまった。うなじが好きです(勝手にしなさい)。
地味なんだけど学者っぽい雰囲気を出す服装もけっこう好きかも。ニットのネクタイで眼鏡拭いたりしてけっこうオヤジっぽかったですけど。気に入り始めると途端に、眼鏡の横顔がドイツ系の哲学者みたに見えてくるから不思議。
とにかく煙草を吸うシーンの多いこと。ほとんど最初かっら最後まで。いいのか?
今どき。いいか、ヨーロッパでは。特にスペインなんぞ、喫煙天国だもんな。ちなみに、ラッキー・ストライク。貴重な本をめくりながら煙草吸ったりお酒飲んだりするのはまったく非現実的だけど、お話だから許そう。
リアナ・テルファー役のレナ・オリンは『ショコラ』にも出ていて、ラッセ・ハルストレム監督夫人。『ショコラ』とは全然ちがった雰囲気でした。妖しくてアブナイおばさんという感じ。ちょっと老けてみえたかな。
リアナ・テルファーがコルソの部屋にやってくる場面は……なんだかねぇ、「ひょえ〜」でした。ドタバタしたあげく、頭を思いっきり殴られるコルソ、本作品のおとぼけ顔その1。
最後のほうの唐突なあのシーン。コルソ=デップさま、目を白黒するの図がおとぼけ顔その2でございましょう。エマニュエル・セニエってばポランスキー夫人ではないですか。監督っていうのは女優と結婚しちゃうことになってるんですかね、まったく。
DVD特典にはちょっとしたメイキングとかが入ってます。ちらちら映るデップさま、いいです。映画の中より若い感じ。サングラスかっこいい。
ちょっとしたメモ
ポランスキーともなると、期待が大きすぎるのかも。で、勢い込んで見てみれば「なぁに、これ」となるかも。そうはいってもこれだけダラダラ書いてれば十二分に楽しんだということかもしれません。
監督コメンタリーあり。けっこう面白かったです。デップさまに関するコメントも多し。本は全部、友人から借りた高価な本物、とか。それはズラッと書架に並んだ書物の装丁を見ただけでも十分わかります。
トレド、シントラ、パリ、フランスのどっかの田舎…いいです。またヨーロッパ行きたくなってしまう。
原作はアルトゥーロ・ペレス・レベルテ、大熊栄訳 『ナインスゲート』 (集英社文庫、2000/.04/15刊)。親本は
『呪いのデュマ倶楽部』 (集英社、1996年刊)。原作と映画はかなり違います。
物語の背景
このお話の主人公はなんといっても本、それも稀覯書。英語でいえば rare books
。「きこうしょ」と読む。ひらたくいえば「珍しい本」ということ。そもそも「本」の歴史とは……長くなるので割愛。「珍しい」と一口にいっても、いろんな珍しさがございます。
写本(または手写本 manuscript)、つまり文字や挿絵、すべて手で書いたもの、これは当然レアだけど、印刷本とはまた全然違う世界だし、この映画には関係ないのでこれも割愛。
印刷本の歴史は15世紀半ばから始まります。1450年頃の最初の活字印刷物から1500年までに出版されたものがなんといっても稀覯書の王様、いっとう偉い!とされている。「揺籃期本=インキュナブラ」という特殊用語まであり(原作ではちゃんと説明されてます)。
500年以上も前のものというだけでも貴重な文化財であるうえ部数も少ない。稀覯書を渉猟するハンターならば、もっとも扱ってみたいのがこの”インキュナブラ”でしょう。当然、とても高価。
なんらかの事情で出版部数が極端に少ないものも文字通りレア。例えば数部から数十部(多くても数百部以下かな)しか刷られなかったもの。発行年代はさほど古くなくとも、印刷部数の少ない初版本などがこれにあたるでしょう。
あるいは、事情により廃棄されたり天災で一挙に失われたもの。この映画に登場する3部しかないという『影の王国…』がこのタイプのようだけど…もともとそう多く刷られたとも思えない謎めいた魔書ですね。
また愛書家にとって重要なのは紙、活字、挿絵、レイアウト、装丁などの美しさ。部数だけでなく、これらの要素によっても書物の価値は大きく左右されるはず。映画のなかでも紙の感じを掴むためにパラパラやって音を聞く場面がありました。ほんとうは臭いを嗅ぐという場面もあったらよかったかも…。
自分だけのためのメモ
冒頭で収集家のところへ買い付けにいく場面がある。1500年代頃からのとても貴重な蔵書。コルソは無知な収集家の家族からセルバンテスの4巻本「ドン・キホーテ」1780年刊イバッラ版
(ちなみに銅版画挿絵入り) というものを$4,200で即決買収。1$=¥120で換算しても50万円程度。映画の中ではかなり安く買い叩いたということになっている。相場はよく知らないけど、やっぱしこれでは安すぎるでしょうねえ、おそらく。
El ingenioso hidalgo Don Quixote de la Mancha / compuesto por Miguel de
Cervantes Saavedra. -- Nueva ed. / corregida por la Real Academia Es panola.
-- Madrid : Por Don Joaquin Ibarra Impresor de Camara de S.M. y de la R
eal Academia, 1780.
同じ収集家のところで「これはとても貴重」とコルソがいうものは…フランチェスコ・コロンナ『ポリフィロの狂恋夢』ヴェネツィア、アルドゥス、1545年刊(第2版)。
Hypnerotomachia di Polifilo,,,by Colonna, Venezia 1545.
この言葉がデップさまの口から聴けただけで私はシアワセ。
(2002/12月某日 DVDにて 2003/02/26up)
ノイズ The Astronaut's Wife (USA 1999/109min)
ネタバレ気味、注意!
監督・脚本 Rand Ravich ランド・ラヴィッチ
出演
Johnny Depp ..................ジョニー・デッ
プ (Spencer Armacost スペンサー・アーマコスト)
Charlize Theron ...........チャーリズ・セロン(Jilian Armacost ジリアン・アーマコスト)
Joe Morton.........................ジョー・モートン(Sherman Reese NASA職員、シャーマン・リース)
Clea DuVall.........................クレア・デュヴァル(Nan ジリアンの妹、ナン)
その他大勢
どなたかが「宇宙版ローズマリーの赤ちゃん」と書いていたけど、まったくそのとおりのお話。地球から200q離れた宇宙空間で船外作業中の宇宙飛行士2人が2分間連絡を絶つ、その間になにかが起こった…という、ね。
連絡を絶った飛行士たちはなんとか無事地球へ帰還。でもそのうち一人はすぐ死亡、妻も後を追うかのように死亡。これはなんだかヘン…ということになる。残った一人(デップさま)とその奥さんの生活にもなーんとなく不思議な変化が。というわけで、あとは見て確かめてください。
デップさまファン向けコメント
スリルとサスペンスという点では今ひとつ、という感じもなきにしもあらず。まあまあのできの作品…かなあ。でも、デップ・ファンとしては十分に鑑賞の価値はあり。優しくて、恐くて、エロい夫という役。短髪、案外よかったです。
DVDの特典、インタビュー映像が案外かっこよくてひろいものかも。5分くらいの長さだけど。髪はけっこう長くなっちゃっていて、とかしてないみたいにクチャクチャ。そこがいい。お顔の感じは『ナインス・ゲート』。
このインタビューの中で、デップさま「アーマコストは all American hero」であると申されていました。アメリカン・ヒーローとはよくいうけど、オール・アメリカン・ヒーローともいうのか…なるほど。全米英雄ですな。
やはりインタビューで「エイリアンというのはメタファーだと思う、心の中に住むモンスターの…」というような発言をしている。なんでメタファー=metaphor
を象徴と訳すかな。隠喩、暗喩では難しいというなら比喩とするべきで、象徴は
symbol。
ちょっとしたメモ
アーマコストの妻ジリアン役のチャーリズ・セロン、ベリー・ショートの金髪がすごく似合って素敵ですね。ああいう髪型ってほんと、一生できませんね、私なんぞ。
NYのペントハウスがすっごいかっこいい。モダンなデザインで。でも住むのはちょっと大変そう。
ラストシーン、下の階の人がたいへーんと思ってしまった。
(2003/02/23 DVDで 2003/02/25up)
ビートニク The Source (USA 1999/89min) ※TV ※日本劇場公開2001年4月
脚本・製作・監督 Chuck Workman チャック・ワークマン
出演
Johnny Depp ....................ジョニー・デップ (Jack Kerouac ジャック・ケルアック)
Dennis Hopper..................デニス・ホッパー (William S. Burroughs ウィリアム・S・バロウズ)
John Turturro...................ジョン・タトゥーロ (Allen Ginsberg アレン・ギンズバーグ)
ご本人の皆さま
Jack Kerouac, William S. Barroughs, Allen Ginsberg, Neal Cassady, Bob Dylan,
Lawrence Ferlinghetti, Steve Allen, Martin Luther King, Robert Motherwell,
Peter Orlovsky etc.
ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグ、ウィリアム・S・バロウズ。この3人、およびその周辺の人々、称して”ビートニク”をめぐるドキュメンタリー。
資料映像や写真やインタビューでご本人たちの行跡をたどるのが主体。そこへ3人の俳優が作家に扮して自作を朗読をするシーンが挿入されてます。
この手のになるといきなりお勉強モードに入ってしまうのがツライ。ここいらへんの詩や小説はあまり読んでないなぁ…などと。別に深い理由はないんだけど、ヨーロッパ系のもの中心な自分の読書傾向をあらためて確認する次第です。
でもいわれてみれば、ビート・ジェネレーションが現代のポップ・カルチャーの源流、すなわち
”The Source”なのだというのは、たしかにそうなんだろうと思う。
とにかく、情報量はものすごく多いのでビート・ジェネレーションに興味のある人向け。。
デップさまファン向けコメント
登場時間はさほど長くないんですね。誰もいないライブハウス?のようなところで、カメラ目線でケルアックの作品
『On the Road 』 の一節を読む、というかしゃべるというか。別に本を読んでいるわけじゃないんで朗読というのとも違うような気がするけど。
髪は短くて、上に書いた『ノイズ』と似た感じ。もっとクチャっとさせてましたけど。
なんせビートニク自体に知識が少ないので、デップさまの読み方や発音などがどう評価されているのかは、全然わかりません。私にはとても耳に心地よく聞こえましたけど。
本物のケルアックもなかなかかっこいい人で、チラッと聴けるご本人の朗読が見事。
ジョン・タトゥーロもデニス・ホッパーもけっこうなりきっていたというか、熱演かも、よくわかんないけど。風貌は全然似てないのに、そこはかとなく似て見えるから不思議。特にデニス・ホッパーはかなり怪優ぶりを発揮していたような。
ちょっとしたメモ
お勉強したい方はここいらへんでどうぞ。
Beat Generation Resources
(2003/01某日 DVDで 2003/02/26up)
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