あえてネタバレ自粛! まだ見てないあなたに贈るお薦めの理由
ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 Lord of the Rings:The Two Towers
監督:Peter Jackson ピーター・ジャクソン 原作:J.R.R. Tolkien J.R.R.
トールキン
脚本:Frances Walsh Philippa Boyens Stephen Sinclair Peter Jackson
出演:Elijah Wood、Ian McKellen、Viggo Mortensen、Sean Astin、Billy Boyd、Dominic
Monaghan、Orlando Bloom、John Rhys-Davies、Liv Tyler、Hugo Weaving、Christopher
Lee、Miranda Otto、Bernard Hill、Karl Urban、Andy Serkis、David Wenham、Brad
Dourif…その他大勢
第一部、見てないって? じゃDVDで見てから映画館へ行って下さい。
その場合、スペシャル・エクステンディッド・エディションにして下さい、ぜひ。
もうレンタルも始まっているらしいです。
原作、読んでないって?
じゃあ買って読みましょう。
文庫本、全9巻、評論社というところから出ています。
今ならどこの本屋さんでも置いているはず。ボックス・セットもあります
そんな長いのよう読めないって? 大丈夫、もともと子供でも読めるようにトールキン教授はお書きになっておられます。「ハリポ」ほど読みやすくないし、映画よりもずっとノンビリしたお話ではありますが。
本作、第二部 「二つの塔」 は第一部を見てない人や原作を知らない人なんて、さっさと置き去りにしてズンズン大波のように展開する映画です。私はその選択は正しいと思う。PJ、あなたは偉い。
なぜって、第一部の説明をしたり、原作を読んでない人の事なんか考えてたら面白いものになるわけないから。そういう万人向けのものをめざしたら、可もなく不可もなく、毒にも薬にもならぬものができあがってしまいそう。
要するに 「指輪物語」 を十二分に味わうためには、それだけの投資をし時間をかてもけっしてソンはないってことです。その労力に見合うだけのものは必ず与えてくれるでしょう…と私は思いますです。
どんなお話かって? だから〜、指輪なんです、指輪。問題は。
恐ろしい指輪があってですね、それを ”廃棄処分” しない限り、”中つ国”
の生き物はみんな滅びてしまうのです。そして悪の権化、サウロンが支配する暗黒の時代になってしまうのです。
だから、中つ国に生きる様々な種族が力をあわせて ”滅びの指輪” に立ち向かう、というお話なのです。
映画館の大スクリーンで見ておかないと一生後悔するゾ!と脅かしておきましょう。第一部を見逃した方、もったいないことをしましたねー、おほほほほ。アンコール上映でもされる機会を待ちましょう。むろん、既に書いたように第二部を見るまえにDVDで第一部を見ておかないと話にならないのはいうまでもありませんが。
第二部 「二つの塔」 では、第一部の末尾で別れ別れになってしまった旅の仲間たち、それぞれの行動が描かれています。話があっちに飛んだりこっちに飛んだりするけど、別にわかりにくということもなく、うまく処理されてました。
雄大な自然を背景に繰り広げられる壮絶バトルが主体。刮目すべきいろんなクリーチャーたちもゾロゾロと登場します。原作ファンにはたまらない場面も続出。象のような
「オリファント」、樹木の精霊のような 「エント」 たちなどなど…とても良くできて感動です。
最後まで一気に駆け抜けるスピード感も気持ちいいし、原作にはないちょっとした味付けもまぁ、成功していたと思えます。3時間という長さも苦にはなりません。まったくあっという間。
美術、衣装が秀逸なのも相変わらずで、デザインがものすごくいいです。エルフの軍団にしても、冥王サウロン側の軍団にしても、甲冑や武器のデザインが多種多様で美しい。
原作について
もともと指輪はひとつではなくてたくさんあったわけです。原題が The Lord of the Ring
s と複数になっているのはそういうわけです。物語の冒頭に掲げられた詩…
Three Rings for the Elven-kings under the sky,
Seven Rings for the Dwarf-lords in their halls of stone.
Nine for Mortal Men doomed to die.
One for the Dark Lord on his throne
In the Land of Mordor where the Shadows lie.
One Ring to rule them all. One Ring to find them,
One Ring to bring them all and in the darkness bind them
In the Land of Mordor where the Shadows lie.
三つの指輪は、空の下なるエルフの王に、
七つの指輪は、岩の館のドワーフの君に、
九つは、死すべき運命の人の子に、
一つは、暗き御座の冥王のため、
影横たわるモルドールの国に、
一つの指輪は、すべてを統べ、
一つの指輪は、すべてを見つけ、
一つの指輪は、すべてを捕らえて、
くらやみのなかにつなぎとめる
影横たわるモルドールの国に。
(瀬田貞二・田中明子訳 『指輪物語』
各巻冒頭、評論社、文庫版1992年初版)
どうです、この美しい詩。原文もいいけど、素敵な訳でしょう? なんだかワクワクしてきませんか?
え? してこないって? そういう方は基本的にこの手のモノに向いてません。残念ながらお引き取り願うしかないでしょう。いやー、ほんとに残念です。
私はもう、冒頭のこの詩だけでも、これは読むに値する、いや、読まねばならぬものだと強く感じました。そして長いことタイトルは知っていても
「どうせマニアックな人が喜ぶような、こみいったシチ面倒くさそうなお話なんでしょ、ふんッ!」
ってな感じで無視してきたことを深く後悔しました。おそらくそんな風に感じて敬遠している人も多いのでは?
たしかにマニアのツボを刺激する要素の多い作品ではあるけど、大丈夫、読めば誰でも楽しめます。文体はあくまでも格調高く、そのぶんちょっと古めかしい感じもするけど、微笑ましかったりかわいらしい部分もたくさんあり、ロマンチックでもあり。
「指輪」 めぐっては、長い長い、何千年にも渡るお話がまずあって、映画の第一部「旅の仲間」冒頭で、ガラドリエル様
(ケイト・ブランシェット) の声で語られています。エルフ、ドワーフ、人間の各種族に指輪が渡される場面もありました。
問題は詩の後半でうたわれている 「One Ring=一つの指輪」。影の国モルドールに住まう冥王 (サウロン) にその 「一つの指輪」 が渡ったとき、世界のすべては暗闇のなかに沈む…と詩は予言しているわけです。
その重大な 「一つの指輪」 がエルフでもドワーフでも人間でもなく、”小さい人たち”ホビット族のビルボ・バギンズの所有するところとなったわけは…『ホビットの冒険 ゆきてかえりし物語』
でとっぷりと語られています。それが『指輪物語』本編の (そして映画も) が始まる前段。いやはや、今どきのスピードに全然、合いませんよね、こんなに気の長いお話では。
それもそのはず、原作者トールキンが最初にホビットと指輪をテーマにしたお話を考え始めたのはなんと1935年頃かららしいんです。その後、長い年月をかけてトールキンの頭の中で物語が成長、発展を遂げ…出版され…多くの読者を…ってそれが戦後の60年代になってからのこと。
トールキンはオクスフォードで言語学と古典文献の研究をしていた学者ですから、『指輪物語』 にはいわば偽・古典というか、自前で神話風の物語、伝承文学風のお話を作ってしまおうという意志が読みとれます。だから映画では少ししか登場しませんが、原作ではけっこう頻繁に ”吟唱”の場面が挿入されています。
あたかもヨーロッパ中世の吟遊詩人が、竪琴の音にのせて、いにしえより伝わる物語を朗誦するような美しい場面です。あるいは宮廷詩人が、今起こりつつある出来事を即興で韻文に仕立て詠うような。
しかも、言語学者らしく、自分で言語を作り出すのが趣味だったといいます。『指輪物語』には実際にこの世には存在せず、トールキンが作り出した言語がきわめて巧みに導入されていて、それが物語世界に圧倒的な深みを与えてます。
物語のために間に合わせ的に言語を創造したのではなく、自分で作った言語を思う存分、活躍させるに相応しい舞台を創出するために
『指輪』 を書いた、というのが正しい順番のようです。
こんな風に原作そのものも、その成立過程も、かなり悠長というか、込み入った歴史をもってます。当然ながら、日本でよりも英語圏に圧倒的にファンが多く、それも子供時代に読んで、大人になっても何度も読み返すというパターンのようです。
出演者の中にも出演が決まる遙か以前から原作ファンだったという人が結構いますね。その代表格がサルマン役のクリストファー・リー。リー爺ちゃんはトールキンに手紙を書いたり、会ったこともあるとのこと。
またアラゴルン役のヴィゴさまは息子さんが原作のファンで、アラゴルン役の話がきてるんだけど、と相談したら引き受けるように強く薦められたので決めた…ってなことをいってます。
私は映画が公開されると聞いて、ならば見る前に読んでおかなくちゃ…と読み始めた歴史の浅いファンにすぎません。読み始めたのが去年2002年のお正月頃。それでたちまちハマってしまいました。映画が読むきっかけを作ってくれたので感謝してます。
変なこだわりメモ
『指輪物語』 については実は特設ページを作ろうと半年以上も前から手をつけてました。でもいつまでたってもできあがりません。なんせ、タイトル・ロゴ一個とっても、気に入ったものを作らなきゃイヤ!
相応しい壁紙も欲しい、書物の形のボタンが欲しい、かっこいい剣の画像がどっかにないかしらん…とか、そういう素材集めのレベルだけでもこだわり過ぎてしまって。
そんなことでウダウダしているより、簡単でもいいから何か書いておこうとアップしたのがこれです。簡単ですんません。『指輪』 には日本にも原作のマニアックなファンの皆さまが大勢いらっしゃいます。ファン・サイトもあります。詳しいことはそういうサイトに譲ります。
ちょっとした小ネタ ここはネタバレ注意報発令!
もう感動ですよ、ほんとにね。レンバス食べてるフロドとサム。
オークのスキをぬって大切なブローチをわざと落として目印にするメリーとピピン。
二人はおっちょこちょいで失敗もするけど、肝心のときに機転が利いて賢い!
それを首尾良く見つけるアラ様。そして 「白のガンダルフ」 となってよみがえったガンダルフの神々しい姿!
原作読んでるわけですから、全部知ってるわけです。でも、それがこんな風に生ける活劇となって見ることができるなんて。感動以外のなにものでもありません。
そいうえばガンダルフの愛馬 「飛蔭」、シャドウファックスが登場するシーンもよかったなあ。真っ白な実に美しい馬。
アラゴルン様はいわずもがなのかっこよさ。やはり馬がまたかっこよくて、原作にはないんだけど、傷ついて河原に倒れているアラ様をツンツンして気づかせ、背に乗せてヘルムスディープの砦へ連れ帰ります。なんて素敵な馬なんだ!
戦闘シーンもよかったですよね、ちょっとゴチャゴチャして何がなんだかわからん部分もありつつも。
ギムリとレゴラスの微笑ましい会話、アラゴルンに「投げてくれんか」というお茶目なギムリ。
あと、レゴラスの身の軽さといったら。曲芸並みにひらりと一回転して馬に飛び乗ったり、階段を滑り降りたり、美しい金髪をなびかせて大活躍してました。
第二部から登場のエオメル。意味なく派手な甲冑と髪型。笑えます。かっこいいですけど。
甘いマスクのファラミア様はもうちょっと強調してもよかったかも。第三部に期待したい美形であります。なんたってエオウィン姫との出会いが待ってるんだから。
エオウィン姫はアラゴルン様に惚れちゃうんだけど、アラゴルン様には大切なアルウェン姫がおられます。かなわぬ恋。でもちゃんと第三部でハッピー!な結末になるのですよ、おほほほ。原作読んでる時には、誰も不幸になって欲しくないという気持ちが一杯だったから、ファラミアとエオウィンが出会ってほんとに、うれしかったもんな。
エントのシーンも凄かった! リーダー格の「木の髭」がメリーとピピンを助けてくれて、自然を破壊するサウロンに怒ってエントたちが大同団結し、オルサンクを襲撃します。このシーンが素晴らしい!
海外の指輪ファンサイト、
The One Ring Net でわりとしつこくエントを取り上げていたのはそういうわけだったんだと映画をみたら納得できました。
第一部でも登場してたけど、第二部で俄然、重要な役どころになるのがゴラム(原作ではゴクリ)。これはCGですが、アンディ・サーキスという俳優が実際に演じ、その動きや表情をコンピューターで解析して作ったというもの。
ゴラムはもとは ”スメアゴル” という名のホビットだったんだけど、ふとしたことで「一つの指輪」を手に入れ、指輪のせいで何百年も生き延びることになってしまった存在で、もうもとがナンだったのかわからないほど、変わり果てた姿をしています。
とても複雑なキャラクターで 「善と悪」 が心のなかに同居していて、いわば二重人格のような状態。フロドとサムの道案内役として第二部での登場シーンはかなり多く、もうちょっと刈り込んでもよかったのでは?と思わないでもなかったけど、ゴラムはなんといっても第三部のクライマックスで非常に重要になるので、第二部でちゃんと描いておかねば、というのもわかります。
第一部で、「ゴラムなんて殺してしまえばいい…」 とふと言ってしまったフロドにガンダルフは「どんな生き物でも存在している理由がある、みだりに命を奪うことは許されない」と諭すシーンがありましたが、それはラストへの伏線。と同時に、『指輪物語』 全体を貫くトールキンの思想であるともいえましょう。
普通、映画になったらガッカリした…ということはありがち。でもこれに限っては、もちろん色々と意見はあるでしょうし、私もあるけど、でもこれに限っては許せる。それは監督PJやスタッフ、出演者が一丸となって映画作りに邁進しているからでしょうね。
どんな小さな部分もゆるがせにしないその姿勢がすごい。風景も都市も、衣装、武具、その他の小道具も、手間暇かけて作っているのがよくわかる。手を抜いてない。思うにアメリカじゃなくニュージーランド製だってところが成功した一因かもしれない。
(2003/02/24 映画館にて 2003/03/13up DVD早く出ないかな〜)
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