神奈川県中央部、丹沢山地の南東端にに大山という標高1246mの山がある。ここに阿夫利(あふり)神社がある。山頂には通称石尊様という式内社の奥宮、中腹に下社がまつられ、また中腹に大山不動がある。古来から関東西部修験道の中心地であり、また落語で有名な大山詣でも知られている。大山詣は江戸時代からさかんになったもので、東京の板橋区にある大山という地名は、ここを通って大山詣にいくものが多かったため、名づけられたという。
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阿夫利神社奥の院
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阿夫利神社は雨降り神社としても知られている。雨降石がご神体ともいわれているが、詳細は不明である。国津神大山津見神を祀っているという。大山津見神(大山祇神)は足名椎・手名椎や木花之佐久夜毘売の父であり、本来は農事に水を供給したりする山の神であったと思われる。大山では夏に南東季節風によって大量の雨が降る。下社の説明によれば、「海洋からの湿風に直接さらされている為に、雲霧が常に山頂を去来していることから、いつしかこの山が雨を恵むと信じられ」たいう。こうした自然現象が雨降り説話と結びついたのであろう。旱魃のときに雨乞い祈願を行うと雨を降らすとされる。大山自身も雨降山と呼ばれ、大山不動は正式には雨降山大山寺である。
阿夫利神社の創建は紀元前97年ごろという説がある。もともとこの神社と大山寺はひとつのもので、本来は「石尊大権現」と呼ばれていたといもいわれている。この名前も雨と石との関連をうかがわせるだろう。 |
| 余談だが、大山にはピラミッド伝説もある。
関東ではそのほか群馬の榛名神社も降雨の霊験で知られており、関西では奈良県の丹生川上神社が雨乞いの神として有名である。榛名神社には古くから雨乞講があり、雨を求めるものは、榛名神社で雨乞い祈願を行い、神社本殿下にある「萬年泉」のご神水を竹筒にうけて各村に戻ると、この神水を田畑にまけば、雨が降るといわれている。 |

萬年泉
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一方、仏教では茨城県の雨引山楽法寺が雨乞いで知られている。同寺のウェブ・ページには、
嵯峨天皇の弘仁12年 (821)夏、大旱魃が国中を見舞うや、天皇は親ら写経し給い、当山に納めて、
ひたすら降雨を祈らせられた(天皇の御染筆は寺宝として現存)
天皇の御願むなしからず国中は大雨に潤い五穀ために実ったので御感浅からず勅命
によって当山の山号を雨引山と定め勅額をくだし賜った。雨引山楽法寺の山号寺名
はこの勅命によるのである。
とある。
神社の場合でも仏教寺院の場合でも一般に雨乞いは国家単位、共同体単位で行われ、個人で行われることはない。これは雨乞いが共同体の作業としての農業と直接的に関係するからである。 |