| ジャダ石
モンゴルのチンギス・カンが同じモンゴルのジャダラン族のジャムカと戦ったとき、ジャムカの先鋒隊、ブイルク・カンとクドカの2人はジャダの秘法を知っていたのでコイテンというところでその呪いをすることになった。すると、
風雨が[巻き起こって、それが敵方の頭上に降らず]逆になって彼らの頭上に[降り注ぐ]風雨となってしまった。彼らは[進もうにも]進むことができず、淵の中に転び倒れて、「天神の御加護が得られなかったぞ」と言い合って壊滅してしまった。1)
モンゴルの雨乞いついて、那珂通世は次のように述べている。
往々モンゴル人の雨を祷るを見るに、ただ浄水一盆を取り、石子数杯を浸すのみ。その大なるものは鶏卵のごとく、小なるものは等しからず。しかるのち、黙して密呪を持し、石子を淘漉し玩弄す。かくのごとくすること、やや久しくすれば、すなわち雨あり。その石子を名づけて鮓荅という。すなわち走獣の腹中の産するもの。ひとり牛馬のもの、最も妙なり。おそらくは又これ牛黄狗宝のたぐいか。2)
ジャダはトルコ語ではヤダ、イェデyedeという。またトルコ語ではこのイェデの魔法を使うもののことをイェデジyedeciと呼んでいる。雨を降らせる石という意味ではモンゴルの場合と同じである。こうした考えかたはアルタイ系民族に共通のものなのであろう。しかし、ジャダをペルシア語のジャードゥーجادوという語と結びつける説もある。ジャードゥーは「魔法」という意味である。 雨降らし石 アラビア語の世界でもこの不思議な石の伝説についてはよく知られていた。 |