結局オーロラは見えず,スノースクーターもできないキルナ旅行であったが,それでもずいぶんと楽しめたのは,日本では決して経験できない貴重なものばかりだったからだろう.
2004.3.20
スウェーデンに来て以来,かつてない雨の中を,朝7時過ぎに駅に向けて出発.ぬれながらも駅に到着.約7時間,600キロのキルナまでの電車の旅.この辺り一帯を仕切っている鉄道会社はConnexという会社で,最初に乗った列車はストックホルムからの寝台車.映画館も食堂車もある.ボーデンという町で乗り換え後2時過ぎにキルナに到着.曇天がこれからの我々の運命を予感させる.駅からは目の前にインターネットで予約したスカンジックホテルが見える.急な坂道を転びながら上りホテルに到着.後で判明したことだが,別に予約しようと思っていたホテルJarnvagshotelは駅のまん前だった.列車で行くのならこちらが断然お勧めである.
くらーい受付でキーをもらい案内された部屋にはバスタブがない.これでは予約時の話が違う,ということで変えてもらう.しかし,今度はヘアドライヤーがない.大丈夫なのか,超高級ホテルスカンジック?じゃないのか.
荷物をおいた後町を散策.それにしても土曜日で店が閉まっているとはいえ本当に閑散としている.これが北極圏の実体か.
ここキルナでの行動に関しては何の予約もしていなかった我々は,受付でアイスホテル行きの定期バスが朝から出ていることを聞き,それに乗って明日はアイスホテルへ,と決め,近くの中華料理店に.タウンには2つあったが,間違いなく冬城飯店をお勧めしたい.二人で330Krは多少高めだが,量,質とも満足.店主はもともと会社員でウメオにもいたとのこと.しかし,勤めていた会社の相次ぐ閉鎖,倒産に見舞われてこの地で店を始めたらしい.そんなことを感じさせないうまさだった.夜は雪と厚い雲にオーロラはさっさとあきらめて就寝.
キルナの駅.前途多難を思わせる天気に多少沈み気味.
キルナ一番のスウィートハート.
3.21
バスの時間を確認するためにフロントに問い合わせ.すると,「バスは月曜日から金曜日までだよ.」.昨日と話が違うぞ,だったらアイスホテルにはどうやっていくの?と聞くとタクシーしかない,という.しょうがなくタクシーを呼んでもらう.片道350Krという値段に,「キルナには間違っても週末来てはいけない」と強く実感.10時を過ぎていたためすでにホテルは開館していた.その前にアクティビティを予約しておこうということで,案内に.犬ぞり,スノーモービル,などあり,皆その場で予約できるのだが,多少高めである.ここでも「予約はあらかじめインターネットなどで安いところを探し,済ませておくべき」と強く実感.
たとえば海水浴に来て浜茶屋に泊まるとしよう.あらかじめ安くて設備の整った場所を決めておいて予約しておけば,その場であたふたすることもないが,何の予約もしていないと,浜茶屋はたくさんあっても入れる場所は限られてしまい,値段やサービスの確認もしないまま決めなければいけない,といったところである.金に射止をつけないならそれでもいいのだが.
とりあえず2時半からの犬ぞりツアーを予約(一人1000Kr.ウメオからキルナまでの700キロの列車での以上代よりも高いのは之如何に)して,その場で防寒着に着替えてからアイスホテルに向かう.
Kayokoは地元の人が使うそりに痛く感動し遊び始める.さらにここでも遊ぶ.転ぶなよ.そしてアイスホテルの中に.入り口には内部のツアー案内の女の子がかわいくお出迎え.67部屋あるホテルの自慢をしてくれた.さすがに氷のホテルは寒くて泊まる気はしないが,一生に一度は見てもいいかな,といったところか.イースターの時期(4月中旬)までの営業の後は水の下になるとのこと(実はアイスホテルは凍った湖の上に建っていたのだ).中のバーや隣の協会を散策し,ついでに寒さも実感.昼はアイスホテル向かいのレストラン.一人120Krのビュッフェはなかなかいける.間違いなくスカンジックホテルよりは上である.そして2時半.12頭だての犬ぞり3基と,10人あまりの客が集まった.我々が乗ったのは4人乗り,12頭のアラスカンハスキー(メス)仕立ての犬ぞり.一番後ろに担当のガイドがついて操縦.「そこに足かけてね.」といったとたん,おもむろに,そして唐突にスタート.危うく手袋を落としそうになる.そりは通常の木製(おそらく白樺でしょう)の上に,レインディアの毛皮が敷いてある.ガイドは走行中説明をしながら走るのであるが,英語が聞き取りにくい上に,帽子をかぶりさらに,心はすでに犬とともにあるので,興奮そのものでよく聞き取れない.氷の湖上をスタートしたコースはやがて森の中に入る.ここではもうコースがあってないようなもので上下のアップダウン(ビデオ参)とともにそりも大きく上下に揺れる.痔持ちの人は間違いなく悪化するはずである.とにかくこれはもう体験してもらうしかない.
走っている犬たちを見て分かったのだが,彼らの走行中の舌の出し方は半端ではない.あれで熱を発散しているのか,疲れて口呼吸をしているのかは分からないが,とにかく半端ではない.また,疲れを癒すために時々雪を食っている.しかし,ガイドさんは「冷たいものを走行中に食うのはよくないんだけどね,熱が奪われて」という.だったらやめさせろよ.さらに彼ら(ガイド,ではなく犬たち)は走行中時々起用にうんこもする.一番前に座っているとくさい.
我々のコースは一周10キロ,途中森の中でお茶タイムが入り,サーメ人というかつてはここユッカスヤルビ地方の原住民だった人たちの住まいをかたどった小屋でコーヒータイム.犬たちはひとしきりのランで暑いせいか雪の中に体を突っ込んで遊んでいる(ように見える).そして再スタート.一時間半のコースの最後にはガイドが口笛を吹く.これで犬たちはゴールが近いことを知り,さらにがんばるということだった.景色もいっしょ,コースも単調なのになんでこんなに楽しいのだろう.彼ら(犬)と戯れてもいいか,と聞くと「どうぞどうぞ」.心行くまで遊ばせてもらった.過酷な北極圏の地で暮らす彼らにとっての人間との信頼関係はまさに生死をともにするものであり,人間を見る顔つきは間違いなく日本で暮らすペットのそれとは違う.ムツゴロウの気持ちが5%くらいは理解できたような気がする.戻ってから,しばらくは土産物屋で過ごし,再びタクシーでスカンジックに戻る.夜は近くのファーストフードのレインディアのケバブ.今日も雪と雲でオーロラなんてまったくなし.おかげでEuroSportsで,K-1と大相撲ダイジェストをたっぷりと見ることができた.
アイスホテル受付のエッグチェアーにご満悦.
アイスホテル入り口.宿泊客は横に荷物を預けて中は寝るだけ.67部屋あるらしい.
受付にいたホテル内部のツアーのお姉さん.エメラルドブルーの目に吸い込まれそうになる.
さながらラブホテルのベッドといった佇まい.
バー.営業時間外で記念にグラスだけ眺めて帰る.
教会.十字架の光は透けて見えていた太陽光だった.
決死の覚悟で撮ったビデオはこことここ.
3.22
ホテルとなりのインフォメーションセンターで午前中の散策場所のお勧め情報を聞き,1963年に建てられという市役所と教会に.今日も朝から寒くて吹雪.昼はホテル近くのファーストフード.チェックアウト後駅に向かう.最後まで雪に祟られたままキルナを後にした.
市役所(左).
教会の中のパイプオルガン(右).教会は木造.この地方では珍しい.