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ケープタウン・ケープ半島自然保護区・喜望峰・ケープ岬/南アフリカ

Cape-Town/Cape of Good Hope/Cape Point



テーブルマウンテンとケープタウン空港周辺
2008年・秋(現地春)

 
  アフリカ南端のケープタウンは、17世紀の半ばにオランダの東インド会社の船舶の補給基地として開発され、それ以降アフリカ南回りの船の寄港とともに発展を続け、さらに19世紀の初めからはイギリスの統治を受けた経緯も大きく影響して、ヨーロッパの街を連想させるような落ち着いた雰囲気が漂うたいへん美しい街となっている。今日人口では最大都市ヨハネスブルグやインド洋沿岸のダーバンにその座を譲ったが、ケープタウンは歴史的な背景のみならず、治安面の良さも含め、市街や港の美しさや近郊に広がる比類なき自然の豊かさなど、ツーリストにとりあらゆる面で南アフリカで最も人気の高い都市の条件を備えている。

  ケープタウンの海岸沿いにはウォーターフロントと呼ばれる美しい港やホテル、コロニアル風の豪奢な住宅、ハイセンスなショッピングセンターなどが建ち並ぶ。一方庶民が暮らす幾何学的に区画された市街の直ぐ後方には、平坦な頂上をもつ海抜1,087mのテーブルマウンテンがそそり立ち、その麓の海岸近くにはプラミッドに似た700mのライオンズヘッドが飛び抜けて目立つ風景・・・これらをピックアップしただけでも、ケープタウンはもはやヨーロッパではお目にかかれない「絵はがき」に匹敵する絶景的な眺めの街と言えるであろう。
  この街を訪れる多くのツーリストが憧れて止まないテーブルマウンテンへは、市街南部の麓から10分ごとに運行される室内回転の円形ロープウェイで登ることができる。地形的に海からの湿った気流が、1,000mの断崖絶壁でそそり立つテーブルマウンテンに当たって急上昇することにより、頂上付近は結構霧に覆われることが多いが、晴天時や霧が切れた時に眺める眼下のケープタウンの街と大西洋岸のビーチやおもちゃの家のようなカラフルなコテージが建ち並ぶ風景は本当に美しい。

  またケープタウンから北方へボートで30分、10km少々の海上に浮かぶロベン島は、17〜20世紀の間に刑務所、病院、軍事基地などに利用された場所である。特にアパルトヘイト(人種隔離政策)の時代には、その後に大統領となるN.マンデラ氏が収監された刑務所としても有名で、現在刑務所を含む島全体が博物館となり、UNESCO世界遺産の登録を受けている。なお島の見学は単独ではできず、ボートの乗船を含めガイド引率のツアー形式となっている。
  テーブルマウンテンに関しては、ケープタウンで望むテーブルマウンテンは有名であるが、国道N7号を300kmほど北上した乾燥の大平原の町フィンリンスドルフから眺めるマッシカマ山系のテーブルマウンテンの方が、はるかに美しい山容をしている。マッシカマ山もケープタウンのテーブルマウンテンと同じく標高1,000mであるが、周囲に遮るものがまったくないというフィンリンス大平原から直にそそり立っているため、その安定した雄大さは他の追随を許さない光景と言える。

  UNESCOはケープタウンから北方へ約230kmの堰き止めダムやワインとルイボス茶の生産で有名な内陸の町クランウィリアムに始まり、南海岸の東ケープ州ポート・エリザベスに至る広大な地域の中で、ケープタウン地域やケープ半島、さらにはデ・ホープ自然保護区やブース・マンボス自然保護区、スワートバーグ山脈など、合計8か所をケープ植物保護区域 Cape Floral Region Protected Areas として世界遺産に登録している。この区域は世界で最も植物群に富んでいる区域と言われている。
  これらの区域は南アフリカの南部を東西に約800kmと非常に長く占める区域で、ワイルド・フラワーで知られた北ケープ州のナマクワランド地方の多肉植物・半砂漠カルー帯 Succulent Karoo なども含む、7つある南アフリカの植生バイオームではフィンボス帯Fynbosと呼ばれ、年間500mm前後の降水量のもとで約9,000種もの植物が生育しており、その半数がこの区域の固有種であることは驚きに値する。
  またこの指定された自然保護区は各々遠く離れて点在しているが、区域を合計した全体の面積は5,530Kuで、日本の愛知県より広い区域である。海岸に近いケープタウン地域やデ・ホープ自然保護区などを除き、多くの保護区域は海岸からほぼ100〜200kmの範囲にあり、海洋を含む植物の生態と保護をメイン課題としている。
  ケープタウンからケープ半島を貫くように南方へ60〜70km以上延びる道路沿いは格好の観光ドライブルートと言える。テーブルマウンテン山脈全域とこのケープ半島の一部は、テーブルマウンテン国立公園 Table-Mountain NP として指定されている。同時にUNESCO世界遺産としての登録(上記/ケープ植物保護区域)も受けている。
  半島の西側ではケープタウンに続く真っ白なクリフトンビーチとキャンプスベイがあり、高級ホテルやコテージや白を基調としたレストランやカフェテリアが建ち並ぶ。さらに先へ進むと西側の断崖の岩山を仰ぐように佇む小さなビーチと港のあるハウト湾に出る。湾の沖合いのドイガー島では、上陸することはできないが、港からの観光クルーズ船で生息数4,000頭以上と言われるケープファ・オットセイの群れを見ることができる。なおハウト港の山際には鳥類をメインとする動物の飼育公園もある。
  ハウト港からの道路は見晴らしの良い崖上パーキングを通り過ぎ、眼下に真っ青な美しいチャップマンズベイを眺めながら、絶壁に沿って蛇行を繰り返し一気に海抜600mまで登る。この絶景の連続する距離10kmほどのチャップマン・ピーク・ドライブウェイを抜けると、風の影響を受けない穏やかなフォルス湾が広がる半島の東側へ駆け下り、白い家々と海軍の軍艦が停泊する要衝サイモンズタウンへと至る。
  17世紀からの歴史あるサイモンズタウンの小奇麗な街を過ぎると、丸みのある巨大な岩石の間に真っ白な砂浜が広がるボルダーズビーチとなる。ここは小形のケープペンギンの生息地で、パーキングから丁寧に造られた木製の遊歩道を静かに浜辺まで歩くと、数えきれない可愛いペンギン達(3,000羽とも言われている)が鳴き声を上げながら砂浜をヨチヨチと歩いたり、砂穴にうずくまったり、あるいは岩盤でのんびり群れている姿を見ることができる。

                  
     可愛いケープペンギン達/ボルダーズビーチ                      小奇麗な町サイモンズタウン
           2008年・夏(現地・冬)                              2008年・秋(現地・春)

  6〜11月頃のサイモンズタウンの沖合いのフォルス湾は、成体で体長15m以上にも成長するというミナミセミクジラやザトウクジラなどが姿を現す。特に当地での確認数が多いミナミセミクジラは歯を持たず、「鯨ヒゲ」という大型の刷毛のような器官が上顎から伸び、これがフィルターの役目となってろ過摂摂食を行う種で、南半球のアフリカ南部、南米の南端、オーストラリア南部の南極大陸に近い海域に生息している中型のクジラと言う。シーズンにはボートによる色々なホェールウォッチングも企画され、運が良ければ、岸からもクジラの姿を目視できる(クジラ情報/下記「サイモンズタウン観光URLを参照)。
  2008年10月初旬、フォルス湾に面するサイモンズタウンの北方約2km付近の鉄道線路脇では、岸から50mほどに海面に尾びれを突き上げたりする3頭のミナミセミクジラを目視できた。この3頭のクジラは、この日は終日この岸からほど近い波のない湾内で回遊していた。ツーリストを含む沢山の人達が海岸の散歩の途中で、数分ごとに潮を噴気するクジラをのんびりと眺めていた。
  またケープ半島には世界的な植物分類であるケープ植物系9,000種の植物を育てている国立キリステンボッシュ植物園があり、植物園としては世界で初めてのUNESCO世界遺産の単独登録を受けている。
  このほか海岸沿いには、フィッシュホークやコークベイなど美味しい海鮮ディッシュをサーブする明るい雰囲気のレストランが軒を連ねるビーチと小さな村が点在して、その上で風光明媚と評価できるポイントがあり余るほどあり、ケープ半島はケープタウンから訪れるツーリストの止むことのない興味と期待を裏切ることはない。
  ケープタウンからケープ半島へは自家用車は無論のこと、レンタカーを使ったり、あるいはホテルや旅行代理店を通じて申し込む半日ツアーや1日ツアーなどで、誰でも問題なく訪れることができる。ツアーの場合、通常ボックスタイプの車両を使ったケープ半島ツアーは色々な旅行社が企画しており、訪れる場所やコース、料金もそれぞれ異なることから、申込時に内容を確認する必要がある。
  便利な申込方法としては、ツアー企画と提携しているホテルのフロントマネージャーを通じて申し込みを行うと、ツアー車両が指定時間に複数のホテルを回ってツーリストをピックアップして出発してくれる。1台の車両で即席の「グループツアー」を形成する方法で、出発までどのホテルから誰が同乗してくるか不明だが、一般的にドライバー兼任のガイドは誠実で説明も丁寧である。ただケープ地方の自然や街の歴史や生活などの説明も会話も英語がメインとなる。当然このような即席ツアーの車両に同乗する人は、イギリスやフランスや遠い東洋の国からケープタウンの美しさに憧れてやってきたツーリストであり、豊かな大自然が展開するケープ半島を訪ねる人達に違いはないはずだ。

  ケープタウンは南アフリカで最も古い街で、次いでケープタウンから北東へ約25kmにある「南アフリカ・ワインランド」と呼ばれる地域にあるステレンボッシュの街と言われている。
  地質的にも恵まれ、良質な水があり、温暖な地中海式気候帯であるワインランドでは、17世紀にケープタウンが開発されると、10年も満たないうちにワイン造りがスタートして、その後フランスの宗教戦争で国を追われたユグノー派(プロテスタント)の人達によりさらにブドウ栽培とワイン生産が発展したとされる。
  ワイン産地特有の波打つような丘陵地帯にあるステレンボッシュ、その周辺のフランシュフックやパールなど合計5つの区域がワインランドに属している。この地域で栽培されているブドウは、ほとんどヨーロッパ品種と同様で、シャンパンの原料でもありフランス・ブルゴーニュ地方を象徴するシャルドネ種(白)、ボルドー地方などと同じソーヴィニオン・ブラン種(白)、「アルザスワイン街道」でおなじみのリースリング種(白)など。赤ワイン用では典型種でもあるピノ・ロワールを交配して南アフリカ特産にしたピノ・タージュ種(赤)などが主な種類と言う。生産されるワインの品質もヨーロッパワインに引けを取らず、今や南アフリカ産ワインは世界的にも高いランクに位置され、かなりの量が輸出されている。
  ワインランドのワインカーブ醸造所では、ティスティング試飲は当然だが、ほとんどがレストラン併設で、ケープ半島へのツアー観光に負けないくらいの人気あるツーリスト・ルートにもなっている。

  南アフリカのワイン生産はワインランドと呼ばれる地域のみならず、さらにウェストコースト地方を北上したオリファント川(ゾウの川)沿いの平地に開けたクランウィリアムやシトラスダルの町なども有名である。この地域はワインを初め、オレンジやマンダリン・オレンジ(みかん)などの柑橘類、特にクランウィリアムは古くから健康への有効性があるとされてきたルイボス茶(ロイボス/現地アフリカーナ語)を産することでもその名を知られている。
            
                   高さ200mのケープ岬の絶壁へ打ち寄せる大西洋からの10mの高波
                      ケープ半島・喜望峰自然保護区/2008年・秋(現地・春)
                            

  地理的には南アフリカ大陸の最南端はアグラス岬であるが、多くの人はケープタウンが「最南端」と信じている。美しい街ケープタウンはアグラス岬より緯度的には85kmほど、直線距離では140kmほど西北寄りの位置となり、正確にはケープタウンはアフリカの「最南端」ではなく、「南端部の最も有名で美しい街」と言うことができる。
  またケープタウンンから直線で50kmほど南方の大西洋へ細長く延び出ているのがケープ半島である。厳密に言えば、ケープ半島先端は1kmほど離れて二つの岬を形成している。大西洋側に突き出た一方の崖と丘のような岬が喜望峰 Cape of Good Hope、他方のインド洋側の高さのある岩山がケープ岬 Cape Point となっている。子供の頃から名称だけは知っている有名な喜望峰は、地図の上では大西洋に面するアフリカ大陸の「最南西端」の場所となる。
  中世15世紀のヨーロッパの歴史において、スペインとポルトガルのキリスト教勢力によるイベリア半島からのイスラム勢力の駆逐(レコンキスタ)は、キリスト教徒側によるグラナダのアルハンブラ宮殿の奪還により終焉を向かえる。
以降、スペインとポルトガルにとっては、海外への進出と交易ルートの確保が最重要の課題となり、国はこの目標を達成すべき勢力を注ぎ込むことになる。特にアフリカとインドへの進出意向の動きがめざましく、レコンキスタ終焉前から早くもアフリカ沿岸への進出と城塞の建設を行ってきた。
  そして1488年、ポルトガル王の命を受けたB.ディアスが初めて喜望峰まで船を進め、この地がアフリカ南端であることを発見した。これ以降、この岬は王によりインド航路への期待を込めて「喜望峰 Cape of Good Hope」と令名されたと言う。その後、1497年になると、ヴァスコダ・ダ・ガマが4隻の船団を率いて喜望峰からインド洋へと回り込み、東アフリカ沿岸からアラビア海に面するインド南部まで進出することになる。
  こうしてアフリカ南端の喜望峰の発見により、ヨーロッパとインドは完全に海上ルートで結ばれ、ヨーロッパは歴史的な「大航海時代」へと入って行く。さらに1492年のコロンブスによるアメリカ大陸発見や16世紀のマゼランの世界一周も加わり、以降、特にヨーロッパ・インド航路は胡椒などの香辛料や絹織物などのアジアの産物を大量にヨーロッパへもたらし、ポルトガルとスペインはその交易取引の中心的な役割を果たし、さらに発展することになる。 
  喜望峰とケープ岬を含むケープ半島先端一帯は、喜望峰自然保護区 Cape of Good Hope N.R と呼ばれる国立公園に指定されている。この自然保護区は80Ku弱の広大な区域を占めている。また同時に、ここはUNESCO世界遺産に登録された「ケープ植物保護区域」の一部でもある。
  ビジターはケープ半島の中間付近、半島東側の穏やかな湾に佇むサイモンズ・タウンから延びている舗装道路を使って、蛇行しながらグイグイと高度を上げ、見晴らしの良い尾根高原のような場所に設けられた保護区の唯一の管理ゲートで入場料を支払い、さらに走行して喜望峰とケープ岬を目指すことになる。
  自然保護区内は荒涼とした平原と断崖を含む岩山、ワイルド・フラワー群と背の低いブッシュ潅木など、生育する約2,500種以上の植物群がどこまでも続く雄大な風景を形つくっている。ただ背の高い樹木類は保護区内の管理センターの回りに数本確認できる程度でまったく見当たらない。見渡す限り続くブッシュ潅木と草の大平原も、花の季節である春8〜9月の頃には、ピンクや紫色の花を付けるエリカの種類を初め、ゼラニウムの仲間やミズバショウに似た砂地に群生するホワイト・アルムリリーなど、無数の色鮮やかなでワイルド・フラワーで一面覆われる。
  また植物だけでなく、ケープ・ゼブラ(シマウマ)やヒヒ、ダチョウやアンテロープ類などの動物も生息してる。ただ当然のことだが、この地域には南アフリカ北部に点在する広大なサバンナ地帯での「ゲーム・サファリ」と同じような猛獣やゾウやキリンなどはいないし、生息動物の個体数も少ない。
  管理ゲートから快適に延びる舗装道路は、保護区内にある管理センターを過ぎてから、二つの岬に達する4kmほど手前で道路がT字路で分かれる。喜望峰への道路は右方向の海へ向かって下がって行き、一方ケープ岬へは直進で若干登り傾向となり、半島先端のほんの手前のパーキングで行き止りになる。ヒヒが忙しく動き回るパーキングで下車後、10分毎に運行する古風な形式のケーブルカーに乗車して登れば(所要3分)、高い岩山の頂上に建つ旧灯台の展望台に達する。展望台は遮る物のない360度の見晴らしである。
  2008年10月初旬、ケープ半島・喜望峰自然保護区では、ヒヒを目の前、ダチョウを10mの至近距離から、白いお面を付けたような顔付をしたボンテボックと500〜600kgもあろうかと思う大型エランドなどのアンテロープ類を50mほどの距離から確認できた。
  またケープ半島に生息するヒヒの個体数は多く、彼らの生活の場は自然保護区内だけでなく、保護区からサイモンズタウンへ向かう山岳道路沿いの住宅地やフォルス湾岸の道路上でも車に近寄ってきた。ケープ半島のヒヒは人の存在に関係なく、容赦なく突然接近してくるので、特にパーキングで車を止めドアーを開ける時などは、ヒヒに十分な注意を払う必要がある。関係者の話では、過去に幾らかのツーリストがヒヒに食べ物などを与えてしまったことから、人の集まる場所にヒヒがやって来て、車から下車した瞬間、ドアーからヒヒが車内へ飛び込む不意をつく事故が後を絶たないと言う。
  ただ自然保護区はあくまでも「野生の保護」を優先する場所であることを忘れてはいけない。保護区での「主役」は凶暴であるヒヒも含め、この保護区に生息する動物達であり、そして原野に生育する植物群であり、人はやって来た単なる「部外者」なのである。    
  10人ほどが立ては「満席」となる旧灯台の足回り部分がドーナツ状の狭い展望台になっており、250mの断崖絶壁の直下のケープ岬先端の沖合いでは、東の暖かいインド洋と西の冷たい大西洋の海水がぶつかり合い、その温度差による微妙な潮目ができ若干海は変色して見える。
  この地を訪れたのは6月と10月の初め。春である10月は比較k的穏やかな天候であったが、6月は時期的に現地の冬の季節にあたり、晴れてはいるが台風並みの風速30mの強風が吹き叫び、海は大荒れ状態。砕けた10m近い高波がアフリカ南端の岬に襲いかかる。1月前後、当地が真夏となる時期では波は非常に穏やかになることが多いと聞くが、冬のアフリカ南端の海は吠え続け静まることを知らない。波の砕け散る絶え間のない迫力音を聞き、大型カメラを装着した三脚も倒され、身体さえも飛ばされそうになる強風に耐えていると、「とうとうアフリカ大陸の南端まで来た!」という実感が湧いてくる。
  展望台(旧灯台)から下るようにして、さらに100mほどケープ岬の正しく先端 Point へ歩いて行けるが、狭い通路は絶壁の尾根に造られ、ロープの手すりこそあるが、強風の時は単純に歩行ができる場所ではないので、安易な「チャレンジ精神」は控えるべきである。万一落下した時には、人の身体とてニュートン力学の単なる物体となり、一気に200mを数秒で大荒れの海へと落ちて行く。

  展望台から西方向を望めば、ケープ岬側から崖上の曲がりくねった約1kmのトレッキング・ルートが伸び喜望峰へと続く。天候が良好の春から秋の時期にはこのルートは歩くこともできる。喜望峰はケープ岬よりかなり低い位置だが、海へせり出した崖とも岩山と言っても良く、観光者用の看板のあるその海岸には、荒れた海からのおびただしい量の昆布に似た海草が打ち上げられ、休むことなく大西洋から10mの高波が打ち寄せる。吹き付ける強風により海草の半乾きの濃厚な匂いがさらわれて行く。この際「海の香り」などというオシャレな比喩などまったく思い浮かばないほど厳しい大自然の姿だ。
  またケープタウン方向を振り返れば、大平原の彼方に半島の大きな部分を占める1,000m級のテーブルマウンテンの雄大な山並みが控えている。アフリカ南端までやって来ると、何処を眺めても何から何まで雄大で、圧倒的なスケール感に酔ってしまうほどだ。この半島の沖には大海原だけ、距離はあるにしても、この先は南極大陸しか存在しない。ここはまさに「最果ての地」なのである。
  喜望峰の周辺は強風で荒れ狂うことで知られた南米最南端のマゼラン海峡と同様に、中世の昔から強風にあおられた沢山の船が座礁や転覆を起こす海難事故多発の海域でもある。今でもケープ半島の西側の大西洋岸沿いには、幾らかの難破船の残骸が放置されているのが確認できる。
  南アフリカ国立公園URL: http://www.sanparks.org/
  テーブルマウンテン国立公園URL: http://www.sanparks.org/parks/table_mountain/
  ケープ植物保護区域URL: http://whc.unesco.org/en/list/1007
  サイモンズタウン観光URL: http://www.simonstown.com/index.html
  ロベン島博物館URL: http://www.robben-island.org.za/

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  日本ユネスコ協会連盟・世界遺産活動URL: http://www.unesco.jp/contents/isan/

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