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350万年前に遡る人類発祥の地・スタークフォンテン洞窟 Sterkfontein Cave/南アフリカ
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人類発祥の地・スタークフォンテン洞窟 ヨハネスブルグ近郊 2008年・夏(現地冬) ![]() |
| 南アフリカ最大都市ヨハネスブルグから北西へ40kmほど、そしてライオンを特別なエリアで管理するクルーガーズドープの動物保護区から15kmの距離に、人類発祥の地(人類の起源)とされるスタークフォンテン洞窟がある。アフリカ名は「力のある泉」を意味していると言う。穏やかに波打つサバンナ丘陵であるこの地方は、南アフリカの広い範囲に分布する石灰岩に似たマルマニ・ドロマイト岩が、10万年、100万年単位の想像もできない長い年月の間に浸食されてできた同じような大規模な鍾乳洞が無数に点在している。スタークフォンテン洞窟も正確には海抜1,450〜1,480mの高原サバンナにできた大規模な鍾乳洞の一つである。 UNESCOではスタークフォンテン洞窟を含む、ここから数kmほど離れたスワートクランズ洞窟(アフリア名・曲がったお腹)とクロムドライ洞窟(アフリカ名・黒い崖)、これら数百万年前の類人類や原人の化石人骨が多数発掘された複数の洞窟を世界遺産として登録している。 スタークフォンテン洞窟への入口は縦割れしたような裂け目状で決して広くなく、入口というより岩盤が裂けてできた「深い穴」と思うほどである。しかし比較的暗い照明の中を急な階段で徐々に地下30〜35mほど下って行くと、洞窟内部は数万年単位で生成される垂れ下がる大型の鍾乳石や地面から上へ延びる円錐形の石筍や石柱が、至る所に確認できる非常に複雑で、「地面の下にこれほどのものが・・・」と、予想を遥かに越えた広い鍾乳洞となっている。 洞窟内部は複雑な空間が左右上下に立体的につなぎ合っている状態で、全体の平面投影の視野では、丁度床に落とした卵が割れてビチャーと飛び散ったような形状(イラスト図)と言えば分かり易いだろう。「ゾウが生息できる」という意味の「エレファント・チャンバー」などと名称された主要な空洞部分を含め、洞窟内の平面的な幅は東西約200m 南北で約80mほど、そのほかに入口や数か所の細い空洞が横方向へ30〜40mづつ突飛に枝別れして延びているという構造である。鍾乳洞は南北より東西方向に長いのは、水に浸食され易い石灰岩やマルマニ・ドロマイト岩のレイヤー層の成り立ちからであろう。 クリスタルの結晶が大胆に露出した岩壁面や最高23mと言われる見上げるほどの割れ目のような高い天井部分など、非常に入り組んだ鍾乳洞内を歩き、大人一人が屈んでやっと通過できる縦横幅1mもない狭い空洞を通過するなどして、右へ左へ上へ下へと順路を進むと、さらに別な大きな空洞へと続く。最深度の場所には透明な水を湛え、小さな生物も確認できる奥行30mほどの地底湖となる。足場と照明に若干難があるが、見事な「地下世界」を披露する洞窟内部は、どこでも圧倒的なスケール感に満ちている。 ![]() スタークフォンテン洞窟内部アウトライン/平面投影視野 イラスト図はWeb管理者の描いた全体のイメージ概略であり細部の精度は保障できない 図は全体を平面に投影したもので 当然 実際の内部は非常に複雑な立体構造である スタークフォンテン洞窟では、既に1890年代後半から調査が行われてきたが、1936年からさらに本格的な発掘調査が実施された。1947年になり、 スコットランド生まれのロバート・ブルーム教授 Dr. Robert Broom が洞窟の比較的浅い個所から、地質学的には鮮新世の260〜280万年前に遡る直立歩行のできる類人猿・「アウストラロピテクス・アフリカヌス」のほぼ完全な頭骸骨を発掘した。この画期的な化石人骨の発見をもって、この洞窟が「人類の起源」とされた。ちなみに発掘された化石頭骸骨は成人の女性とされ、その名称は「Mrs.Ples」と呼ばれている。 さらに1994〜1997年には、この洞窟内部の幾分深部(柵固定・立入禁止)で、「Little Foot」と令名されたほぼ完全な化石足骨が発掘され、320万〜350万年前に遡る初期類人猿のものとされた。 今日までの科学的な発掘調査の結果、この洞窟では頭骸骨や足骨を含む合計500点以上のヒト科の化石骨が発見されていると言う。発掘された化石人骨の一部は、洞窟管理センターを兼ねる「R.ブルーム博物館」に展示されている。 スタークフォンテン洞窟にほど近いスワートクランズ洞窟では、180〜200万年前に遡るとされるパラントロプスやテラントロプス原人の頭骸骨が発掘されている。さらにスタークフォンテン洞窟の東方2kmほどのクロムドライ洞窟では、1938年の原人の化石歯の発掘を切っ掛けとして、以降順次に発掘調査が行われた結果、160〜190万年前に遡るとされる原人の化石人骨などが発掘されている。 ![]() 発掘された化石頭骸骨/スタークフォンテン・「R.ブルーム博物館」 2008年・夏(現地冬) ![]() スタークフォンテン洞窟のみならず、この一帯の洞窟(鍾乳洞)は、遠方から見るとほとんど他愛のない低い丘と思われるような場所の地下に広がっている。従って現場の直ぐ近くに行かなければ、その存在はまったく分からないと言える。スタークフォンテン洞窟では、ここが世界遺産に登録された重要な「人類起源」の場所であり、洞窟への入場は当然有料であるが、チケットを購入してから、博物館を見学した後にビジターは20人ほどのグループに組まれ、30分ごとに小型の緊急救命装置を背負った専門ガイドによる引率と説明のツアー形式で見学が行われる。洞窟の内部は非常に複雑で変化があり、お国柄なのか階段やゴムパット敷きの足場も決して良好とは言えない大規模な鍾乳洞であり、ビジター単独での入場はできない。過去に地底湖の調査を行っていたダイバーの一人が死亡する事故も起こっていると言う。 食事もできるレストハウスと管理センターから洞窟までの順路脇には、人類の進化を説明する色々なプレートがあり、「ヘビ出没に注意!」の看板を横目に、100mほど先にある洞窟見学には、全てに徹底した洞窟保護と管理体勢がとられている。年を通して気温17℃前後という涼しい洞窟内部の見学ツアーはおおむね所要1時間ほど。写真撮影は許可されているが、当然のことに、見学中の洞窟内部の鍾乳石や岩石の持ち出しや落書き、あるいは敷地区域の植物の採取なども禁止となっている。洞窟の出口は丘のほぼ頂上にある入口より大きく、丁度沼地に生息するカバが口を開けたような意外と広い場所で、 R.ブルーム教授の銅像脇からステップを上がり一歩外へ出ると、そこには海抜1,500mの高原サバンナの乾燥した平原が広がっている。 地球の歴史と言うか、地質的な要因もあり、南アフリカにはこのスタークフォンテン洞窟周辺以外にも、類人類や原人に関係する洞窟やツーリストが訪れることのできる大規模な鍾乳洞などが、全土にまさに無数と言って良いほどに点在している。その内、スケールも大きくツーリストに開放され、自然保護区に指定された重要な洞窟地域に限っても、その数は25か所の地域である。 南アフリカは人類発祥の場所であり、地球上で人類の最初の足跡が付けられた土地である。ここから、まさにこのスタークフォンテンの鍾乳洞から、生物としての人類は「Mrs.Ples」の遺伝子を受け継ぎ、数百万年という計算もできない長い時間の経過の中で、進化と絶滅の連鎖を繰り返し現代へ至っている。そして人類の進化と発展はさらに未来永劫までも引き継がれて行くのであろうか? こう考えながら、トゲのある樹木と背の低い潅木に覆われ、石灰岩とマルマニ・ドロマイト岩が無造作に露出するこのスタークフォンテン洞窟の丘陵に立つ時、周囲は単純な高原サバンナ地帯であるにも関わらず、自身が何か特別な「神聖なる場所」に居るかのような清爽な錯覚と忘れ難い感慨を覚えた。 スタークフォンテン洞窟はヨハネスブルグや首都プレトリアから比較的近くであり、約15km南方のクルーガーズドープ動物保護区のライオンと遭遇できる「ゲーム・サファリ」と合わせると、ほぼ1日のゆったりとした行程となり、休日の時間を過ごすのに適当なドライブ・コースである。 南アフリカ観光局URL: http://www.southafrica.net/
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