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クレタ島 ミルトス・ピルゴス邸宅遺跡 Myrtos-Pirgos/ギリシア


ミルトス・ピルゴス邸宅遺跡
クレタ島/1996年
  クレタ島南海岸、エーゲ海に面する本当に小さなミルトス村の直ぐ東方にある小高い丘の頂点付近に展開するピルゴス遺跡には、新石器時代から居住された痕跡が残る。現在見ることのできる遺跡は、邸宅遺構とその周辺に点在する水槽などの遺構群で、これらは1970年代にイギリス・カドガン教授のチームが発掘したものである。
  邸宅は紀元前1650年〜1500年頃までに建造されたもので、破壊時期は他のミノア邸宅と同様に紀元前1450年頃と考えられている。邸宅区域は丘の頂上より僅かに南寄りで、正面にエーゲ海を臨む絶好の場所と十分な構造で成り立っている。
  邸宅は小さいが中庭を設け、その殆どを淡紫色と青色系の石灰岩で舗装を施している。邸宅の東側には丘へ登る石段が残り、石段の北側は精巧な切石積み施工の擁壁状の邸宅正面部となっている。
  発掘時に、この付近から彩色装飾の儀式用リトン容器を初め、キクラデス様式の水差しなどが破片状態で発見されている。このことから、邸宅正面部には間違いなく2階部分があり、邸宅破壊の際、これらの品々が階上から落下したと推測できる。また丘の頂上付近からは、石膏石の板石や線文字A粘土版、ピンク色のファイアンス製巻貝なども発見されている。

  真夏の夕暮れ、ピルゴスの丘に登り、遥かエジプトやリビアへと続くエーゲ海が紫色に染まり行く様を眺めつつ、私は思い馳せた。今から3,500年の昔、ミノアの誰かがこの丘の同じ場所に佇み、同じように海から吹く乾いた夏の涼しい微風を感じながら、心和む幸福な時を過ごしたのであろうか? おそらくは言葉少なく、ただひたすらに海を眺めつつ ・・・
  最も遠方に見える岬状の丘の頂点が、ピルゴス邸宅の時代より1000年ほど古いフォウルノウ・コリフィの遺跡である。ピルゴスの丘から距離にして約4km離れている。

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