「死」について
間もなく70歳にもなろうとする身であるならば、「死」はもう日常である。今、書店で販売中の文藝春秋二月号にドキュメント記事として『見事な死』が特集されている。サブタイトルは「阿久悠から黒澤明まで著名人52人の最期」である。人の死に「見事な」と言う形容詞が相応しいのかは少し気にはなるところだが・・・。
記事の中に元経団連会長の平岩外四のことが書いてあった。入院中の平岩外四は見舞いに訪れた友人が辞去する時、ニコニコと「お先に逝かせていただきますよ」と言ったと書いてある。
その後、書店で立ち読みしていたら「知識人99人の死に方」(角川文庫)と言う本が並んでいたので買ってみた。以下はその中の記述の一部である。
漫画「サザエさん」の著者、長谷川町子さん(生涯独身だった)は70歳になってから姉と三つの約束を交わした。それは「どんな病気にかかっても入院しない」、「手術は受けない」、「葬儀・告別式はしない。また死後、納骨が済むまでは公にしない」ことだったという。
或る日、長谷川町子さんは自宅の高窓を閉めようとして机から転がり落ち、全身を打撲。それ以来、通院しながら治療を受けていたが、だんだん食欲が無くなっていった。死の前夜は食事もとらず、いつもより早く床に入ったため、心配した姉が翌朝、部屋を覗いてみたところ、ふとんの中で息をひきとっていた。
姉の毬子は遺言通り納骨式の翌日にその死を公表した。享年72歳。