夏目漱石の死生観は、漱石の書簡の中に読み取れる。漱石は次の様に言う。
「嘘でも冗談でもない死んだら皆に柩の前で万歳を唱えてもらいたいと本当に思っている」
「本来の自分には死んで始めて還れると考えている」
「生きているうちは普通の人間の如く私の持って生まれた弱点を発揮するだろうと私は思う。それが生だからである。」
「私は生の苦痛を厭う。これは厭世観であり、生の悲観ではない」
* これらは漱石の門下生の林原耕三に宛てた大正三年十一月十四日(土)付けの書簡の中にある。手紙の文章なので一部句読点がない。