キケロ
キケロは「老人はエトナの山よりも重い荷物を背負っている」という当時の老人たちの思いを認めながらも、
「自然の定めがもたらすものに、何ひとつ悪いものはない」
という立場をとっている。木々の実や葉っぱも時が熟したならば、萎びて大地に落ちる。人間も同じである。結末を甘受するのが賢い生き方というものであるという立場である。
老年という状況に対しては自然体で臨み 、むしろ積極的に人間の運命を受け入れようとする姿勢が感じられる。そしてキケロは、身体は朽ち果てても、「精神とか魂は永遠」という立場に居る。
因みにキケロの生きていた紀元前1世紀のローマにおいては政治の最高意思決定機関は元老院であり、構成員は原則六十歳以上の官職を退いた老人たちであった。
キケロはまた、青年・壮年時代を悔い無く生き抜いた者だけに、良い老年が待っているということも言っている。