老齢
今まで吹いていた風が止むと、海は静になる
それと同じで、激情が収まると、人間も穏やかになる
結局無意味になるのが分かりきっているのに、くだらないことを
自慢していた自分の空しさが、歳をとってやっと分かってくる。
若い時には自惚れに眼が曇り、つい見落していたもの事の儚さが
老人になってやっと分かってくるのだ
魂を覆っていた、肉体という小屋がぼろぼろになると、
「時」が穿った隙間から新しい光が射してくる
人間というものは、弱くなってさらに強くなり、
神の御許に近づくに従っていよいよ賢くなってゆく
古いこの世にまさに別れを告げ、新しいあの世の入り口に
立つに及んで、やっと両方の世界が同時に見えてくるのだ
エドマンド・ウォラ─(1606-87)ー「イギリス名詩選」から
03/6/28 19:12