人は、定年退職を迎える時期になると、突然、「生き甲斐、生き甲斐」と呪文を唱え始める。現役時代は、別に生き甲斐を考えて、会社勤めをしていたわけではなく、ただ会社の決めた職務記述書に従って、忙しい毎日を送っていただけであるにも拘わらずである。
人は本当に「生き甲斐」が無いと生きて行けないものなのか。その様な筈は無い。定年後は、取り立てての予定が入っていない、しかも延々と続くように見える(だけの)時間が目前にあって、それをどの様に使うのかという命題があるだけの話である。
この命題に対する解決方法として、多くの日本人はグレ−ドを落としても仕事を継続するという道を選んでいる。この選択には経済的な要因も関わっているようだ。すなわち、老後を悠々と暮らすにはまだ金は十分では無いので取り敢えず働いておこうという判断である。
欧米人はどちらかと言うと、自由な時間は遊んで暮らす、趣味、旅行、それなりのライフ・ワ−クに路線を切り替える人が多いようだ。もともと、彼らには仕事に対する信仰のようなものは無い。仕事は必要悪で、やむを得ず行って来たまでの事で、状況が整えば喜び勇んで仕事から離れて行く。
何れにしても、「生き甲斐」という言葉には真面目な響きがあるが、敢えて言えばそれはペテンであり、人を欺く目くらましの紙ツブテであり、一瞬瞼の上をちらつく幻影に過ぎない。その様なものに欺かれては、貴重な時間の無駄遣いという気もする。
01/8/6 10:02