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山本さとし オフィシャルHP

  フォーク・ソングの風に吹かれて

Satoshi Yamamoto /singer  song writer



HP開設日:00/5/15   最終更新日:2010/8/9
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 ヒロシマから帰ってきた ①

 何年振りだろう、ヒロシマ。今年8/7、憲法フォークジャンボリーに3度目のお声をかけていただいて行ってきたヒロシマ。広電に乗ってやっとのことホテルに着いた。お供の000-28とキャリーバックをおいて部屋でまずひと息。そこから久々の平和公園に行こうとしたが、妙に心細くなってきた。ワンクッション入れようと、なぜかホテル近くの札幌ラーメンの暖簾をくぐって腹ごしらえ。それから意を決して向かった。

 公園では午前の式典の片づけ作業が終わろうとしていた。それでもまだお参りの列が続き、その長さに6日当日であることを思い直した。まず一目散に供養塔に向かう。佐伯さんに会えるかもしれない・・・とただ思って。行ってみれば各宗教者の順次儀礼用の椅子が並べてあり、何人かの喪服の方がおられただけだった。そして僕とおばさんが出会ったあのベンチはもうなかった。気を取り直し、供養塔の表と裏で手をあわせた。

 それからは僕のいつもの徘徊が始まった。気温の高さで熱にうなされ歩き回る錯覚を感じながらのお散歩のようなものだ。橋を渡りドームを見上げてまず一周目。碑も沢山あるが、佐伯さんの言った「この公園は死者の上に立っている。今みんなが歩いている歩道の下でも沢山亡くなっているんよ。その上を私達は歩いているんよ」の言葉がリフレーンし、足は早くも重くなってきた。レストハウスでは、折りヅルを元にしてメモ用紙や鉛筆、しおりにして売っていた。リサイクルは良いと思ったが僕は買わないできた。8の字周りの歩き方で元に戻れば、午前中の式典の献花がこの日照りにしおれていた。現実はまだ何にも解決していないものが残されているという思いが呼び起こされた。

 とぼとぼがふらふらになりかけた時、携帯が鳴った。誰かと思えば、今回僕を推薦してくれた一人、岡山の尾崎さんだった。前夜祭(顔合わせと飲み会)へのお誘いだった。まだ公園1周半だったので、もう少し歩いてから伺います、と返答する。僕の歌や音楽活動を知ってくださり待っててくださる方がいるのは嬉しいしありがたい。ベンチで一休み、ふと顔が浮かんで、広島のガミさんに電話する。今、今日の2件目で飲んでる・・・とのこと。飲まないではいられないのか好きなだけなのか多分その両方なのだろう・・・そこはよくわかんないけど、飲んでる時の声の妙な落ち着きがおかしい。元国労の彼だから、前夜祭会場までの広電の乗り方を教わった。

 嵐の中の母子像はいつも足を止める碑なのだけれど、母親が子を抱きしめもう一人の子を手で覆い守る姿は象徴的と思う。以前広島にいる大学の後輩から「この碑は毎年ちょっとずつ傾いています・・・。まるで子どもを強く抱きしめる母の思いの強さがそうさせるように・・・」と教えてもらった。それが心配でもあって見に来たのだが、無事建っていた。まだ大丈夫みたいだね、・・・と、その彼女に話す。

 公園徘徊から立て直しのため一度ホテルに戻る。なんともマラソンが終わった時の足の重さだ。帰る道すがら平和大通りの脇の木陰に、キジバトの若オスと会った。僕は小学生の時に50羽以上の鳩飼い少年だったので、昔ながらの僕の鳥への挨拶を送った。彼はオスの若鳥でちょっと僕を見て、首をかしげ、とっとこ少し歩いて、少しして、ふぃっと木の上にとまった。僕から見えないところには行かず、そこで羽づくろいを始めた。これが彼らのお返しの挨拶なんだ。リラックスしているその時、羽音がしてもう一羽キジバトが表れた。やっ、彼女だ!、つがいなんだ。僕には、あまり見かけない白い鳩よりも、この都会で暮らす希少なキジバトが平和の使者だった。しかもつがいに会えたことが嬉しく、あぁヒロシマは僕を迎えてくれたのかな・・・とも思った。
 
 さて言われた通り電車に乗ったはいいが、ガミさん、電車は広島港行きで方向が逆はでないの!それだからもうね。主催者からもらった簡易地図(地元の人にとっては説明がややこしいだろうからそれもわかるけど)を引っ張り出し、広島ビギナーの顔をして運転手に確認する。ややめんどくさそうに、それは逆だから次で降りて乗り替えて、と。電車賃150円のところ200円出したら、いいから次で払って、と。それから、おつりはないように両替して・・・と早口で背中に言われた。すまなさそうに電車を降りて、それから人に道を3~4回聞いて、やっとその前夜祭会場へとたどり着いた(結果1時間遅れ)。そこにはあこがれの出演者もいるけれど、全国から集まった猛者が気鋭を上げておられ、・・・出遅れてもうその炎燃え盛るまっただ中を、裸足で走りぬけるような気持ちになり、一旦息を止めてから暖簾をくぐったのだった。(・・・続く)

8/9


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