Diary

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4/22:日本進化学会福岡大会の56企画を決定し、大会ウェブサイトで公開した。3週間で、よくこれだけの企画が揃えられたと思う。協力をいただいた方々に深謝! 進化学会には追い風が吹いている。日本の生物学諸分野を統合する、求心力のある学会に成長していくだろう。そのために、福岡大会はぜひ成功させたいと思う。

4/21:超多忙な年度末・年度始めを乗り切り、ふと気づくと2ヶ月が経っていた。2月21日の評議会で、農学研究院・工学研究院・医学研究院・薬学研究院の全教官任期制導入が決定された。評議会では、「報告事項」として説明されたが、理・文・経済学研究院長から質問・意見がでて、2−30分程度の議論が行われたそうだ。その後、4研究院の教官には、「同意書」の提出が求められた。提出率は、医学研究院:67% (5年任期)、農学研究院:70% (5年任期)、工学研究院:86% (5年任期)、薬学研究院:92% (5年任期)。「同意書」を提出した教官には、4月1日で、「5年任期」を明記した辞令が交付された。「同意書」を提出したものの、「辞令」を受け取って内心不安を持たれた教官もいらっしゃったことかと思う。今後は、4研究院の教授公募文書には、「任期5年」と明記されることになる。この措置が、九大の教育研究水準の低下につながらないことを切に望みたい。ともあれ、一つの区切りはついた。意見書を公表し、全教官任期制の問題点を指摘し、短期間に多くの賛同者を得たことで、安易な運用に対する歯止めの役割は果たせたのではないかと思う。教育研究の発展のために、別の方向にエネルギーを振り向けることにしよう。

記録のために、過去2ヶ月間の主要行事について、記憶をたどっておこう。Shaffer博士による大学院集中講義のあと、ブラジルに飛び、約10日間の野外調査。帰国後しばらくは、報告書類の執筆などで忙しくすごす。3月19-23日は、日本生態学会20周年記念大会(つくば)に参加。自然再生のあり方を検討する新しい委員会をつくる提案に関して、自然保護専門委員会に事前によく説明をして、協議をしなかったのは、全国常任委員と自然保護委員を兼ねる立場の者として、大失敗だった。自然保護委員の方々は、自然再生事業による新たな自然破壊を深刻に危惧されている。そうならないように、努力を払う責任を感じる。その後、東大海洋研の松田裕之さんが、私や鷲谷いづみさんが自然再生について書いた原稿をもとに、自然再生に関する基本的な考え方をまとめた原稿の草案を用意してくださった。早くこの草稿にコメントしなければ。

2/23:カリフォルニア大学のShaffer博士を今津干潟と新キャンパスに案内。今津干潟では、鳥を研究している大学院生が解説を担当。世界的な絶滅危惧種であるクロツラヘラサギをはじめ、ヅグロカモメ、ツクシガモなど希少鳥類を観察。双眼鏡と「フィールドガイド日本の鳥」(英語版)を持参したShaffer博士は、'It's cold!'と言いつつ、1時間あまりバードウォッチングを堪能。新キャンパスでは、市民グループのカスミサンショウオ・ニホンアカガエルの調査チームが、U字溝にたまった落ち葉の下にカスミサンショウオが集まって隠れているのを発見。サンショウウオの専門家であるShaffer博士は、大喜び。メダカ池では卵塊も発見。「2年前に作られた池とは思えない、ファンタスティック」というコメントを貰う。市民チームは、イシガメの子供も探してくれて、カメも研究しているShaffer博士には、大満足の一日となった。市民によるモニタリング活動と国際的に著名な研究者の接点が作れたのは、とても良かった。この日はまた、森林保全の活動をしている市民ボランティアチーム(福岡グリーンヘルパーの会)と、学生ボランティアチーム(環境創造舎、通称Qボラン)も作業をしていて、保全生物学の専門家でもあるShaffer博士にはとても印象深かったようだ。その後、Shaffer博士には、大学院生と一緒に土嚢運びを手伝ってもらった。市民も学生も教官も一緒に汗を流すという方針に共感され、快くご協力いただいた。汗を流した後は、ビール。蔵出し中の浜地酒造に立ち寄り、地ビールと濁り酒をすすめた。浜地酒造の方に酒蔵を案内していただいた後で、博多駅前のホテルへ。明日から3日間は、大学院生向けの集中講義をしていただく。今日の野外活動で、時差がとれることを祈ろう。なお、Shaffer博士は、日本では助手は業績をあげても助教授ポストがあかない限り昇進できないことにも、全教官任期制導入の計画があることにも、大学院生が研究をしていながらサラリーを貰っていないことにも、とても驚かれていた。

2/22:終日、試験の採点、成績表の記入に追われた。これから、カリフォルニア大学のShaffer博士を迎えに空港へ(夜9時35分着)。

2/21/22:30:ウェブサイトへのアクセス数が700をこえました。

2/21:卒業研究の提出締め切り日に、会議が重なり、嵐のような一日。評議会が行われたはずだが、結果について聞く余裕がなかった。

2/20:77名の賛同者リスト、賛同者からのコメントを添えて、意見書を総長室に届けた。「これらをご検討のうえ、21日の評議会において、十分に慎重な議論を尽くすとともに、拙速な任期制の導入を避けていただけるよう、お願い申し上げます。」という書面を添えた。

2/19/21:30:ついに恐れていたことが起こった。18日朝日新聞朝刊によれば、5年任期で採用され、4月末に任期切れを迎える京都大学再生医科学研究所の井上一知教授(57才)が、同研究所の行った再任拒否決定は無効であるとし、近く、地位保全の仮処分を京都地裁に申し立てるという。しかも、外部評価委員会が「再任を可とする決定」をしたにもかかわらず、再任の申請が拒否されたという。インターネットで調べてみたところ、井上一知教授は日本再生医療学会初代会長であり、毎年アクティブに英文論文を発表されている。その内容について、評価が分かれるのかもしれないが、こうした業績評価について「首」をかけて議論することは困難だ。研究内容について、徹底した相互批判が可能なのは、批判が職の存続に関係しないという前提があってのことだ。まったくもって、由々しき事態である。自由な学風で知られた私の母校でかかる事態が起きたのは残念だ。九大では、こんな事態は起こしたくない。自分が勤める大学が、いつまでも誇れる大学であってほしい。

2/19:卒業研究発表会が昨日終わったため、今朝は学生が誰もいない。久しぶりに静かな部屋で、原稿書きができそうだ。電車の中で読んでいる『口語訳古事記』は、脚注が充実していて、ありがたい。また、系図や地図がついていて、便利である。個人的には、植物名索引が役立つ。春の若菜として、ノビルが登場するが、セリ、ナズナなどの「春の七草」はまったく登場しない。「春の七草」は、遣唐使以後に中国から伝えられたのだろう。個人的には、日本に自生のないカブ(スズナ)の代わりに、ノビルを「春の七草」に加えたい。ネギ属の野生種だが、野菜のネギやニラよりも、ずっとおいしい。なぜ栽培化されないのか、不思議だ。

2/18/19:30:ウェブサイトへのアクセス数が600をこえました。

2/18:21日の評議会には、農・工だけでなく、医・薬学研究院からも、4月1日からの全教官任期制導入が提案されるそうだ。一方で、複数の研究院長が、全教官任期制に反対の意見を持たれている。これだけ学内で意見が分かれている提案について、十分な議論を尽くさずに、実施すべきではない。評議会メンバーの良識に期待したい。ところで、農学研究院からの賛同者には、匿名希望が多い。自由に発言できない雰囲気が、ひろがっているのではないか。大学の創造力は、正しいか間違っているかについて、誰にも気兼ねせずに意見が言える自由さに依拠している。本当は間違っていると思うが、人目を気にして批判を控えるという雰囲気が蔓延しては、とても創造的な仕事はできない。だから、私は声を大にして言い続ける。「全教官任期制は、大学の活力をそぐ。それは間違った政策である。」

2/16:毎日新聞朝刊発言席に掲載された阪大社会経済研究所小野善康教授の投書にびっくり。文部科学省が、専任教官定員30人以下の研究所を廃止対象にするという方針を示したため、教官数18人の阪大社経研と、24人の京大経研が存亡の危機に立たされているという。この2つの研究所が日本を代表する経済学の研究拠点であることは、理系の私でも知っている。規模が大きければよいというものではない。この点は理系でも同じ。むしろ、特色のある小規模の研究拠点が複数あって、互いに切磋琢磨する方が、研究の活性化につながる。30人の定員をクリアするために、伝統も特色も異なる阪大社経研と京大経研を統合するという、さらに滑稽な話にならないことを切実に望む。

2/14/19:30:ウェブサイトへのアクセス数が500をこえました。

2/14:午後の便で上京。出張先の方が落ち着けるというのは困ったものだ。工学研究院の方から、「先生からの呼びかけ文は印刷して、工学系の全教官に配布しています」という連絡があった。農学研究院では、食堂前に立て看板が出され、私たちの意見書のとりくみと、このウェブサイトが紹介されていた。全任期制導入の動きの震源地である両研究院からの反応に期待したい。東京への機中では、石寒太『心に遺したい季節の言葉 絶滅寸前「季語」事典』(ベスト新書)を読了。里山の生物の危機と、文化としての日本語の危機に共通の背景があることがよくわかる本。季節の変化を感じつつ過ごす余裕をなくしている現代社会のあり方に根本的な問題がある。任期制という、機知のかけらもない制度を導入しようという発想も、文化的貧困と無関係ではないように思う。それにしても、「季語」の表現のなんと豊かなことか。とくに「山笑う」という表現には、降参。今まで知らなかったことが恥ずかしい。羽田空港の田辺書店で三浦佑之『口語訳古事記』(文芸春秋)が平積みされていた。早速購入。

2/10の予定:
○月曜日午後は研究室のセミナー(全体ゼミ→マスターゼミ)。そのあと、卒業研究生と面談の予定。
○先週後半の筑波大学出張(集中講義)期間中に届いた緊急の仕事が多数あり、夜遅くまで仕事に追われているはずです。

2/9:
○「市民による生物調査」に同行して、九大新キャンパス生物多様性保全ゾーンでのニホンアカガエル・カスミサンショウウオの産卵調査。
○読売新聞の足立さんが取材に来てくださった。
○ニホンアカガエル・カスミサンショウウオは寒い中でも元気に産卵。成体も発見。そのほか、ミズカマキリなどの希少昆虫の健在を確認。
○夜は、ウェブサイト更新。任期制意見書公表のため、緊急にたちあげたウェブサイトに、トップページをつけて見やすくした。