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2005年1月


8日

日記のページは、Blogサイト「空飛ぶ教授のエコロジー日記」に移動しました


7日夜

午後は、東大鷲谷研で、「自然再生事業に望まれる諸原則と方法」(案)について打ち合わせ。1月22−23日に、日本生態学会生態系管理専門委員会のメンバーを中心に、自然再生事業に関わりのある生態学者が合宿をして、この案を練り上げる予定。その合宿のための打ち合わせである。価値観が絡む問題を扱うので、自然科学者としての守備範囲をこえた力量が要求される。意見が分かれた場合の議論の進め方、合意文案の作り方の手順まで、打ち合わせをした。さて、当日はどうなることか、心配でもあり、楽しみでもある。

海外で発表された類似の指針として、復元生態学会(SER:Society for Ecological Restoration)が発表した以下の文書があることを、西広君に教えてもらった。「自然再生事業に望まれる諸原則と方法」(案)検討合宿までに読んでおこう。


7日

東京に向かう機中。昨日はあわただしい1日だった。まず、9時から副学長室で、生物多様性研究センター構想について、相談。まだこれから紆余曲折はあると思うが、設立に向けて確実に進んでいるという実感がある。設立できれば、北大北方生物圏フィールド科学センター、京大生態学研究センターに加えて、3つめの拠点ができる。互いに連携をとりながら、日本の生物多様性研究をひっぱっていけると思う。ぜひとも設立にこぎつけたいものだ。次の10年間は、「九州大学生物多様性研究センター」の発展に、精力を注ぎたい。

10時からは、高度生命科学拠点形成ワーキンググループに参加。大学院(学府)の再編は、「システム生命科学府」が年次進行中なので、すぐにはできないことがわかった。また、医学部の定員を使って生命科学部を作る構想は、政府の医師養成計画との関連で、これまた困難と判明した。都会では医師過剰だが、一方で田舎では無医地区がある。医師を過剰養成することで、田舎に医師が赴任する動機づけをはかろうということらしい。そういう政策的判断があるのだろうとは思っていたが、現実にそうだと知ると、割り切れない思いがする。「ポスドク1万人計画」が脳裏に浮かんだ。

医学部における医師養成システムが代わり、医学系の基礎研究で学位をとろうとする学生が激減している。このままでは日本の基礎医学は、甚大なダメージを受けかねない。基礎医学系の教官にはこの問題への危機意識が強く、「生命科学部」を設立して基礎生物学のトレーニングを積んだ学生を養成することに、とても積極的だ。しかし、医学系の事情だけでは、全学的な合意形成は難しい。ワーキンググループを、理学・農学・工学研究院に加え、心理学の研究室を擁する文学研究院の研究院長をメンバーに加えて再編成し、全学的な合意形成をはかるべきだ、という意見を述べた。大筋では、この方向で動きそうだ。

機内で読んだ毎日新聞朝刊に、「理系白書シンポジウム」の記録が見開きで掲載されていた。理系人間の視野の狭さ、説明能力の低さは、定評があるようだ。パネラーの一人の小林傳司さん(ちなみに、京大時代の同期生である)によれば、市民とともに「遺伝子組み換え食品」などのテーマを議論するコンセンサス会議に参加した科学者の中で、説明能力の高い理系人が非常に少なかった。例外的に説明能力が高かった人は、臨床医だったという。少数サンプルなので、どこまで一般的かはわからないが、科学者以外に科学に関して説明する機会の多い人ほど、説明能力は高まるだろう。科学者全体に社会への平易な説明能力を求めれば、多くの科学者は反発するに違いない。しかし私は、平易に説明する能力は、これからの科学者にとって必須のスキルだと思う。科学の細分化によって、科学者の仲間内ですら、少し専門が違えばコミュニケーションがしばしば困難になっている。このような現状は、科学自体にとっても、好ましくないはずだ。

上記の紙面で、「理系白書」キャップの元村有希子さんは、九大教育学部の出身だと知った。「理系白書ブログ」「発信箱」での発言などでの彼女の活躍は、光っている。九大広報の「九大人」コーナーにぜひ登場してほしい方だ。明日駒場で開催されるシンポジウム「世界の科学教育」に行けば会えるようだが、植物学会の理事会と重なっていて、参加できない。旧同僚の松田良一さんが頑張っているので、参加して応援したいのだが、選挙で当選した責任のほうが重要だ。 

昨日の午後は、「演習I」の補講。英文論文を読む授業だが、今年は論文読みが比較的スムースに終わったので、昨日は関連する内容の講義を、4時間くらいぶっ続けでやった。

6時からは、環境創造舎の佐藤剛史くんと、芸術工学院の佐藤優先生を訪問し、「九州大吟醸」プロジェクトの打ち合わせ。佐藤優先生はかなりの日本酒通らしい。いや、日本酒に限らず、ヒューマンライフに関わるものすべてに、センス・オブ・ワンダーと、独自の見識をお持ちだと感じた。ヒューマンライフよりワイルドライフが好きな私だが、佐藤先生のセンスはとても興味深い。こういう方と同じ学内で交流できるようになった点では、芸術工科大学との合併は、大きな効果があったと思う。

佐藤先生によれば、芸工大生に比べ、九大生は野暮ったいという。私もそう思う。九大生に限らず、多くの国立大学の学生は野暮だ。私もその一人だった。キャンパスライフをもう少し、センスの良いものにしたい。KYUDAI WALKERチームや、就活チームなど、生協理事会に参加している学生グループに呼びかけてみよう。

羽田に着いた。今日はこれから、自然環境研究センターで、環境省植物目録の公開に向けて、詰めの作業。午後は、鷲谷研で、「自然再生・生態系管理指針」(案)討論合宿に向けての打ち合わせ。明日は、植物学会理事会なので、今夜は東京泊まりである。


5日

昨日の日記で書いた「画像縮小問題」は、朝食時に子供に教えられて、あっさり解決した。まず、パワーポイントのスライドショー画面で、PrintScreenキーで画面のコピーをとり、ウィンドーズ・アクセサリーのペイントを起動してペーストする。そのあと、選択範囲の指定をはずしたうえで、キャンバスサイズを縮小すると、縮小コピーをとる感覚で、画像全体が縮小できる。選択範囲の指定が点滅している状態でこの作業をすると、Photoshopなどを使った場合と同様に、画像が粗くなったり、字がかすれたり、一部の線が表示されなかったりする。作成時の形式が保存されているのだろう。選択範囲の指定をはずせば、ラスタ形式のデータを縮小するらしい。縮小した画像を、GIF形式で保存しておけば、HTMLファイルから<img>タグでリンクして、画面に表示できる。

マックユーザーだったころは、PrintScreen機能を使っていたのに、すっかり忘れていた。ウィンドーズ・アクセサリーでなくても、ドロー系ではなくペイント系のお絵かきソフトなら、同じ手順で「縮小コピー」ができるだろう。きっとこの手順は、ウェブサイト作成を日常的に行なっている人なら、常識の類に違いない。


4日

今日まで休むつもりだったが、実家での予定がキャンセルされたので、午後に出勤して、「生物多様性研究コンソーシアム」のサイトを更新した。レイアウトを修正し、「壁紙」の種類を減らし、「軽量化」した。自宅に戻って、モバイルカードからアクセスしてみると、まだ重い。白や黄色の字は、「壁紙」が表示されるまでの白バックでは、読めないか、読みづらい。色を変えたほうがよさそうだ。

「生物多様性研究コンソーシアム」の目次の一つ、「FINDING」のアクセス先として、「屋久島における植物分布調査の方法と結果の概要(2004)」というページを開設した。年始の3日間に、実家で空き時間をみつけて、学会発表用に作ったパワーポイントファイルを、HTMLファイル化したものがベースである。このページで、Gradsect法について紹介し、「傾度セクト法」という訳語を作った。

Gradsect法については、知らない人がほとんどだろう。私も知らなかった。屋久島で、標高に沿ってトランセクト調査を実施したが、同様なアイデアで実施された調査はきっと国外でもあるだろうと考えて、文献を探していた。昨年の10月に、GIS関係のレビューの中で、「Gradsect法」という表現を見つけ、検索が容易になった。「Gradsect」をキーワードに、Scholar.Googleを検索すると、なんと97件の文献がヒットした。ルーツをたどってみると、オーストラリアの A.N. Gillison という人が、1984年に「Gradient oriented sampling for resource surveys-the gradsect method」という論文を書いたのが、最初のようだ。ずいぶん古い話だ。これまで、日本の生態学の教科書でまったく紹介されたことがないのは、不思議な気がする。学術雑誌に掲載された論文としては、次の文献が原点である。

比較的最近のまとまった研究論文としては、次の文献がある。この論文では、gradsect法・habitat-specific survey法・systematic sampling法・random sampling法のパーフォマンス(サンプリングのエフォートあたりの種数)を比較し、gradsect法が、cost-effectiveな調査方法だと結論している。

Scholar.Googleで、「Cited by 18」をクリックしてこの論文を引用している論文18編をリストさせてみると、分布研究の最前線が見えてくる。いくつかのビッグショットが生まれており、これから発展しそうな分野だ。

上記のページを作るために、pptファイルをgifファイルに変換し、<img>タグで表示場所を指定したが、画像を縮小すると、どうしても画像が粗くなったり、字がかすれたり、一部の線が表示されなかったりする。pptファイルをもっと簡単にウェブ表示する方法がないかと調べてみたところ、Macromedia FlashPaper 2を使えば、それが可能だと分かった。Flashと言えば、ネコ好きの間では有名な、「ねこの○○○は×××××」サイトを見るために、Flash Playerをダウンロードしたことがあったっけ。それ以来、Flashとは遊びの道具だと思っていた。改心せねば。


1日

新しい年が明けた。公式サイトの更新は、大学に行かねばできないので、年末までに準備した、「生物多様性研究コンソーシアム」「屋久島研究ネットワーク」の改訂版を、個人サイトに載せた。

私は、ウェブサイトのレイアウトや壁紙は、シンプルな方が良いという主義なのだが、「生物多様性研究コンソーシアム」のサイトでは、フレームを分け、写真を多めに使った。結果として、モバイルカードからアクセスすると、写真や壁紙が表示されるまでに時間がかかる、「重い」サイトになってしまった。でも、「生物多様性」のサイトに、「生き物」の写真がないのは、さびしい。画像が粗く見えない程度に解像度を落として、「軽く」する努力はしたので、ご容赦ください。

大学院生の英文論文原稿を改訂していて、「ピンセット」の英語表現(forceps)がとっさに思い出せなくて、「ピンセット」と「英語」でgoogleしたら、a pair of tweezersと書いてあるサイトが多いので、びっくり。forcepsは、テクニカル・タームで、tweezersの方が日常的な表現のようだ。

「英語」との格闘に疲れて、「和製英語」解説サイトにしばらくはまってしまった。

は、外来語の正しい英語表現を、頭文字(アイウエオ・・・)から検索できるサイトで、とても便利だ。短い注釈もついていて、勉強になる。アイスキャンディー|《米》 Popsicle, 《英》 ice lolly|Popsicle は商標|に始まり、ワンダーフォーゲル部|hiking club, backpacking club|語源:ドイツ語 Wandervogel|で終わっている。正しい英語表現を知らない場合が結構多いことに気づかされた。 は、ちまたにあふれる和製英語をからかったサイトの中でも、本格派だ。hrefの見出しは、Anime/MangaからVideo gamesまで、22項目。おまけの項目もある。各項目について、和製英語の間違いを証拠写真とjokeつきで紹介している。すぐに笑えるものから、よく考えないと笑えないものまで、「お題」が豊富。これを全部笑える人は、相当な英語力の持ち主だ。 愛媛県のとある中学校の英語の先生が運営されているサイト。私にも勉強になることが多く、英語のスキルを磨きたいならぜひ一読したいサイトだ。「インターネットを使った英語授業」のコーナーでは、Dictionarize.comの存在を始めて知った。このシステムは、使えるかも。 は、病院で使われている和製ドイツ語についてのサイト。「カルテ」は和製ドイツ語で、正しいドイツ語表現は、Patienten-Akteだそうだ。知らなかった。ちなみに、「メス」や「ピンセット」はオランダ語だそうだ。「ディスポザブル・メス」は「ハウス・マヌカン」と同様に、「異言語交雑」の結果だ。もっとも、「googleしたら」などと書いている私の日本語も、かなり乱れている。気をつけよう。