noso1_mars2002
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Amboise・Loire古城・2002年3月
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東方より友人来欧し、古の王侯貴族住居跡を眺めにお供する のそのそ見聞録、2002年3月。
復活祭前のこの時期は、まだ観光シイズンにさしかかっていない。
パリから出る郊外電車で向かい合った人物は勤め帰りで、
「パリは物価が高いから、電車一本で二時間のところに住む。」
のだという。 見渡す限りの畑、「田舎にはアレがあってね。」
原発脇も電車は走り抜け、アンボワズへ到着。 ロワール河畔の
小さな町。 王の住居が最も高く大きい建築で、城下町を見下ろす。
イタリヤルネサンスから少々遅れをとっていた当時のフランスには
レオナルド ダ ヴィンチが呼び寄せられ、彼はアンボワズで没した。
要塞の頂に乗っているようなアンボワズ城礼拝堂には、この芸術家の墓碑が在るとのことだったが、
修学旅行に来ていたアメリカ人学生の騒ぎを逃れようとして気づかなかった。 きっと「そんなもの
見ずともよい」ということだったのだろう。
河はあくまでも平面で、思ったよりも流れが速く、常に濁流である。 低いところに河が、河畔には、
ひときわ高く築かれた城館と町が広がる。 町を抜けて河から遠ざかると、ただ深い森が広がるばかり
である。 そんな構造の町が、ロワール沿いに点在している。 それでこの辺りは、城屋敷だらけだ。
張り切って朝早くに起きて
みたら、窓の直ぐ外に見えるロワールはもやもやだった。
河の流れと同じ方向に、この谷間、河の水の上を水蒸気も
一緒に流れていたのだった。ややあって晴れてしまったか
と思うと、上流から次々にもやもやが、妙な塊になって下りてくる。 自動車は晴れ空の下で電灯点け、
トリは冷たそうな水の上をスイスイしていた。
アンボワズから約12kmの距離にポツンと建つ、シュノンソウという
城を見物しに足を延ばしてみた。 ロワールの支流にかかる橋のような
ギャラリを持つオンナの好みそうな、そして実際にオンナに好まれた
城。 国王アンリII の愛人”ポワチエのディアヌ”の庭園と、同じく
アンリの后”メディチのカトリヌ”の庭園とを伴い、流れのなかに
駒を置いたように存在していた。 「影の撮影者」今回は、この城の
庭のうち、麗人ディアヌのためのものに落ちているところ。
城館と庭に至る道には行儀よく木が育っていて、ここを抜けると急に
ワイルドな農業地帯に出る。 この地の産物は林檎や梨、ワインであるが、城の住人はこの並木の外
のことは感知しなかったとおもう。
このような場所に、ずるずるした衣装を身につけて暮らしていたのが
当時の住人なのだろう。 窓を自ら開けることなど無かったかも知れぬ
が、少なくとも大理石のあの床を、そのずるずる衣装がこすったことで
あったろうなどと考えた。 音もなく、しかし速く流れ去る河をまたぎ、
住まうオンナを次々に変えて、白大理石の建造物は彼女らの「好み」を
一身に背負い、今はお役ご免となって自分のリズムで存在できている
ように見えた。