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Dublin・Irlande・2002年7月
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「来ないの?」と さり気なぁく言われて出掛けた のそのそ見聞録、2002年7月
何の気もなく出掛けた割には、アイルランドでウイスキイを呑む
のだとココロに決めていた。 飲み屋に行けばそのボトルがある
とは解っていたのだが、目指すは蒸留所、のつもりであった。
ところが一言にウイスキイ蒸留所といっても、大体は都市から遠く
行きにくい場所にある。 見学お断りのところもある。 というわけで
先ずはダブリン市街地にある、かつてのウイスキイ蒸留所跡へと
出掛けてみることにした。 現在は元ウイスキイ工場の内部を見学
して廻れるようになっている。 結構な金額の入場料を支払って、
アメリカ人やらイタリヤ人と、次回のツアー開始時刻まで待機。
ダブリンへは東洋国からの直行便が飛んできていない様子で、観光
客にアジアの風貌の人間が少ない。 数年前に来た時には、中国料理のレストランも殆ど見か
けないくらいだった。 そうこうしているうちに、元工場見学ツアーが始まった。
この施設内部のあちらこちらに転がっているウイスキイ樽と似た体型の人々と一緒に、何と、
フランス人で訛の強烈なガイドさんと歩く。 フランス人のご夫婦はさぞかし質問できて嬉し
かったことだろう。ツアー参加者の誰もが、案外と神妙にガイド氏の説明を聞いていた。 結
構な人数でゾロゾロ歩いているもので、ここで一歩引いてツアーの様子を撮してみようと思い
立つ。
かつてウイスキイ工場としてフル稼働していた施設内部には銅製の
蒸留機が残されていた。 アイルランドのウイスキイは三度蒸留される。
スコットランドのそれらは、二度の蒸留だ。 みたび蒸留された酒は滑
らかで、柔らかに喉を通過して行く。 ツアーの最後にはちょびっとだけ、
かつてその場で蒸留されていたものと同じ銘柄の酒を呑ませてくれた。
現在ではその酒は、例によってちょっと行きにくい場所で造っている。
ツアーのオマケでも、先ず”呑みに来た”面目躍如である。 とはいえ、
アイルランドでのウイスキイに関して、これは当に序の口。 この後も
友人と合流しては呑み、また別の日に外出しては呑み、出先では二瓶買い
入れ、といった具合。
ダブリンという街は、都市としては小規模ながら広範囲にまで
同じくダブリンと呼べる地域となって広がっている。 都市機能
の集まっている地域は海からやや離れて居り、遠くスコットラ
ンドを望む海に面している地域も存在する。 更に、海に面した
地域の内でも、大型船の出入りする港と、引き潮時に砂地が
ずっと続くような広大な水辺というように、様々な風景を楽し
める。 桟橋のある港地区へ出掛けたら帆船が停泊しており、
アイルランド国旗を掲げていた。 また、砂地地区へ出掛けたときにはちょうど引き潮時間で、
貝殻や海藻がバラバラしている湿った砂地の上をダブリン市民が散歩していた。 この砂地の上
ならば、滑ることにだけ気を付けていれば考え事をしつつ歩ける。 考え事をせずに唯ただ歩き
続けるにも、格好の場所だ。 この砂地を歩く時にはどうしても陸地に沿って歩いてしまうのだ
が、今度は沖へと向かって歩いてみたい。 それにしても、沖へ向かって水辺に出るまで、30分
くらいは歩けそうである。 砂地の広大さをよいことに、自画像撮影。
ダブリン市街から車で二時間も走ったところに、Glendalough
という旧跡地がある。 かつては集落だったところで、六世紀頃
から人間が住んでいたらしい。 朽ちた教会外壁や墓地(これは
今でも利用されているようだった)、十〜十一世紀頃の築とされ
る塔などが、緑の中にぽつぽつと存在していた。 この辺りは丘
また丘の地形で、低地には水が溜まって湖になっていたり湿地が
形成されていた。 丘の上から眺める湖は悉くが深い焦げ茶色を
しており、丘から風が吹き下ろすと水面に反射する光が白っぽく
見えた。 実はあの湖にはギネス(ビイル)を溜めてあるのだ---とは、酒飲みの友人の説明。
緑みどりの丘と青と白の雲空に、黒い湖、白い湖面。 余りに豊かな土のことを想った。 眺める
人間も数えるほどのギネス湖。 ちょっと肌寒い天候であった。
アイルランドへ行くと、何だか自分と相性のよい場所だなと感じる。
諸々が朽ちて土に混ざり込む様子が実感できるような気がして、今は
自分は生きているのだなぁとジワジワ来る。 また、出掛けるとしよう。