第46夜 ass(尻)

  posterior で「尻」「ケツ」。尻のなかではもっとも格式?のある単語。フランス語をそのまま借用した derri〓re もこれまた上品な表現で、
  He has the kind of derri〓re you'll like to pinch.(彼って、つねってみたくなるよなお尻しているんだ)
  このほかにも ass(ロバ)、bottom(底)、caboose(乗務員用貨車)、rearend(後尾)などのスラングがある。なかでも ass はやたら頻繁に使用され、さらにass-kisser(尻にキッスする奴)、ass-licker(尻をなめる奴)、ass-sucker(尻を吸う奴)はいずれも「おべんちゃら屋」という罵倒語になっている。
  ass-fuck「アナルファックをする」、asshole「まぬけ」、ass-kicker「弱い者いじめする奴」、ass-peddler「売春婦」「ぽん引き」…。
  Buy some ass-wipe when you go to the store.(店に行ったら、ケツ拭き買ってきてくれや)
  ass-wipe(尻拭き)で「トイレットペーパー」だってさ。さらに、頼まれたらイヤと言えず、他人の尻まで拭いてやる「お人よし」のことにもなる。
  Stop acting like an ass-wipe.(お人よしにもほどがある)

  尻にこだわりつづけているが、日本では『尻が軽い』『尻が重い』などと、尻の重量を女性の判断材料に使う傾向があるようだ。
   尻を抱き身が武士道が立つべきか
  プイと尻を向けて寝たふりの遊女。「武士は食わねど高楊枝」とヤセがまんするお侍の歯ぎしりがここまで聞こえてきそうだが、これが女房殿の仕打ちなら完全に尻に敷かれた性器末状態。ところがこの女房殿というが評判のブス。で、こちらは「ブスは食わねどすりこぎ棒」なんちゃって、プイと尻を向けておきながらすりごぎで慰めているんですよ。

  アチラで「尻に敷かれる」は、hen-picked husband(メンドリに突っつかれた夫)と表現したりする。女房に尻を小突き回されている感じがよ〜くでているじゃありませんか。
  ついでに、husband の hus は、古い英語で「家」、band が「所有者」を表し、「家の所有者」のこと。一方、wife は、当初「女」のことだったが、いつのまにか「妻」という座にどっかり居すわってしまった単語だ。
  その証拠に、applewife「リンゴ売り」、fishwife「魚売り」、midwife「産婆さん」なんて単語に『女』の時代の痕跡が残っている。

  話はどんどん夫婦間の深みにはまりこんでいきそうだ。
  lord「主人」「貴族」は、古い英語の hlafweard「パンの番人」をググッと短縮してできあがった単語。主人たるものパンを分け与えて、一家を養わなきゃならんだろうが。
  weard,ward「番人」は、aware「気づく」、beware,ware「用心する」、warn「警告する」、wary
「用心深い」ってな単語にも派生した。guard「見張り」「守衛」も ward の[w]が[gu]に訛った単語なんですな。
  1066年に英国を手に入れたウイリアム征服王(the Conqueror Wiliam)もフランスのノルマン公だったころは、ギョーム(Guilaume)と名乗っていた。とても同一人物とは思えないけど、こちらも[w]が[gu]になる例である。
   ギョームとは誰のことだとウイリアム言い。
  lord の対語、lady「女主人」の古い形は、hlafdie「パンをこねる人」のこと。やがて「奥方」「令嬢」「王妃」ってな意味となり、Lady と大文字になれば「処女マリア」を指すようになった。

  ここは地下鉄銀座線のなか。
  オトコの重要な部分がレディーのプリンプリンのお尻に当たって、振動とともに揺れ動く。とても平常心ではいられない。しだいにむくむく育つアノ部分。と、そのとき…。「やめてったら。へんなものでお尻突っつかないでよ」。オトコはトボケる。「へんなもん? あ、それね、ズボンに携帯電話が突っ込んであるんだ」「それなら着信音をバイブレータにかえてみてくれない」だとさ。
  ass-man(尻男)だと、女の尻とみれば四六時中ナデナデしまくっていたい「スケベおやじ」のことなんだ。
  Quit looking at my bottm,you dirty ass-man!(ひとのお尻をじろじろ見ないで。どすけべ)
  もっとも、オトコがオトコに ass-man と使う場合は、一種の称賛と羨望が込められているそうだ。日本語だと『槍一筋』って感じかな。ちなみに、lance「槍」はスラングで「陰茎」のこと。

  やたら手の早い居合抜き専門の色豪だっているゾ。
  「手前取りいだしたるは軍中膏はガマの油。…ガマはガマでも四六のガマだ。さて、お立ち会い。四六五六はどこで見分ける。前足の指が4本、後足の指が6本、両方合わせて四六のガマだ…」
  でもさ、電光石火の早業をみせたところで、天下の宝刀は竹光だったり、なまくらだったり、bisexual「両刀使い」だったり。多いんだよな、こうゆう見かけ倒しの輩が…。なっ、おタチ会い、いやさおシリ合い。

目次へ
表紙へ