第47夜 anus(肛門)
 
  時は元禄13年。「シーッ!」。聞こえますか、山鹿流の陣太鼓が…? 今夜はひとまず四十七士の討ち入りの場面から。いざ、まいろうか。ミネラル魚田、お供つかまつる。
   裏門は夜討ちの晩も若衆也
  赤穂浪士のうち、裏門を担当したのは大石内蔵助の長男主税ら若衆たち。裏を返せばオカマことで、この川柳は「キラちゃん、出てらっしゃいってば」とシナをつくって、怪気炎をあげる『男色』がテーマになっている。裏門はもちろんアヌス(anus)のこと。

  ラテン語で anus は「輪」という意味だったが、やがて「肛門」も指すようになった。英語だとエイナスと発音すのでご注意。えいな。
  裏門で思いだした。昔はよく「定休日につき、お急ぎの方は裏口をご利用下さい」ってな張り紙見かけたけれど、ひょっとして若奥さんは生理日かしら、裏口とういのはアヌスのことじゃないかしら…とミネラル魚田、ガキのくせしてあらぬ妄想をふくらませたことがあったっけ。
  英語でも back door(裏口)なんて表現する。ほかに、back passage(裏道)、dirtchute(ゴミ落し)、brown bucket(茶色のバケツ)、rectum(直腸)、wherethe sun don't shine(日の当たらない場所)などのケッ作の数々。

  日本のケッ作は『菊門』だろうな。八重菊の御紋章をとくとご覧あれ。この八重菊をアヌスに見立てたというわけだ。でもって、オカマをほることを『菊花を契ちぎる』と洒落たりする。ちなみに『葵の御紋』なら水戸黄門ってか。
   女郎花おみなえしなまめく 野べをよそにして
     菊にこころや 移ろいならん
  この歌の≪菊≫も裏の意味はオカマのことで、男が寄りつかなくなったのは、「おおかたオカマにでも熱中しているんでしょうよ」と皮肉がたっぷり込められている。

  ところで、男がむりやり女を犯せば強姦罪になる。射精しなくとも、陰茎を挿入したらレイプは成立してしまう。それじゃ女性を後ろから、つまりアヌスにイチモツを突っ込み、欲望を遂げた場合はどうなる?
  ケツ論から言うと、ペニスと膣が結合しなければ性交とは認められない。したがって強姦罪にはならない。「これが尻にはいらぬか」とばかり、大人のオモチャ類を女性のアヌスに押し込んだって同じこと。但し、念のために付け加えておくと、以上の行為が犯罪にならないわけではない。いずれにしても強制猥褻罪で牢屋送りは間違いない。

  ここで話題を一気に≪屁≫に移そう。
  まずは≪屁≫という漢字のこと。カバネダレ≪尸≫のなかの≪比≫は、左右対称のものがピタッとくっいているものを表している。つまり尻の肉のことだな。この谷間からもれるガスが屁ってわけなのだ。
  ついでに、≪尻≫の中の≪九≫は曲がりくねった様子を表し、本来は尻の穴を指す漢字だったのだろう。≪究≫にしても紆余曲折しながら、物事の奥深くまで入り込んでいくことなのだ。でしょうが…。

  英語で「屁」は、fart、wind が使われ、beeak wind や lay a fart で「屁をひる」の意味になる。さらに、backfire(バックファイアー)、cut the cheese(チーズを切る)、sneeze in one's pants(スボンの中でクシャミをする)、step on a frog(蛙を踏みつける)という言いまわしもある。beeak wind upward だと腹のガスを口からだすことで「ゲップをする」ってわけ。
  肛門の長さは1・5aから3aといわれている。出口に付いている括約筋が微妙にふるえて、例の音を発するのだが、男のほうがこのトンネルが長いのでコントラバスのようにバビブベボの濁音、女は短いためトランペットのようにパピプペポの半濁音になる。
  すかしっ屁も女のほうがトンネルが短いため、スッとばかりに調節がううまくできるんだそうだ。ところで、我慢した屁はいったいどうなってしまうと思う? 心配することはない。いずれそのうちに、ガスは腸から吸収され、血管をグルッと回って、オシッコと一緒に排泄されてしまう。
   音も香も空へ抜けてく田植えの屁
  ともかく、オナラは我慢するより、一発ブッとやったほうが、どんなに気持ちいいか。

    There once was a man from down under,
    Where farts were much louder than thunder.
       He cut one near Perth
       That rattled the earth
    And Skylab went falling asunder.
    オトコは生まれも育ちもオセニア大陸
    そいつの屁ときたら雷鳴よりも大きく
      パースの近くでぶっぱなし
      地球をグラグラと揺るがし
    人工衛星がばらばらで落っこちていく

  なッ、ストレスなんかいっぺんにブッ飛んでしまうだろう。
  ここは新宿2丁目のオカマ街。ママと客とのやり取りが聞こえてくる。
  「どう、この辺も不景気だっていうけど最近は忙しいの?」「オカマさま、ちがう、おかげさまであんた、屁をひるヒマもないくらいなのヨ」「へ〜ッ」。おそまつな一発、ブッ飛ばないように!

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