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The pot calls the kettle black.(オナベがオカマを黒いという) この諺って『目糞鼻糞を笑う』の英語バージョンだけど、わが国ではレスビアン(lesbian)がオナベ、ホモ(homo)がオカマだから、『オナベ、オカマを笑う』ってか。 レスビアン由来は遠くギリシャ時代までさかのぼる。世界地図を開いてエーゲ海をたんねんに探せば、東の方にレスボス(Lesvos)という島が見つかるはずだ。この島に紀元前600年ごろサッフォーという女流詩人が住んでいた。 彼女、一人の少女をこよなく愛しちゃった。でも、受け入れられなかった。思いあまって、島の断崖からエーゲ海に身を投げて自殺しちゃう。でもって、女性の同性愛はレスボス島にちなんでレスビアン。ね、トレビアンな由来だろう。レスビアンはサッフォーの名からサフィズム(Saphism)なんぞとも言う。 ★
でもね、当人たちは les,lez,lesbo,lezzie,liz などと呼ばれると、あからさまにいやな顔になっちゃう。les は否定的な less に通じるからだ。レスビアン界はさらにタチ(男役)とネコ(女役)に二分され、「タチ」なら、bulldike(雄牛)、queerqueen(奇妙な女王)、「ネコ」なら仏語の fem(女)、fluff(綿毛)って呼ばれたりする。ただしqueen って単語はレスビアンよりもホモを指すケースが多い。 brownie queen,butterfly queen(少年相手のホモ)、closet queen(お喋りホモ)、dragqueen(オシッコ大好きホモ)、head queen,main queen,shrimp queen(フェラチオホモ)…。 drag queen とくれば「女装」のこと。drag は本来「引く」という意味なんだけど、drag も drug「ドラッグ」も一度のめり込むとアトをヒクってか。drag butchなら「男装」のこと。quean と[e]が[a]になると、発音は同じでも「売春婦」「あばずれ女」に化けてしまう。 ★
それじゃ、May Queen は? 5月1日の五月祭(May Day)に選ばれる「乙女」たちのことでホモやレスビアンやメンクイとは関係ない。ついでに、メーデー(Mayday)なら「助けて」という無線電話遭難救助信号のこと。仏語の m'aide「助けてェ」と発音が似ているので、国際救難信号に採用されたってわけ。 ★
メーデーメーデー。レスビアンの話に軌道修正しなくっちゃ。Amy-John もタチのことで、Amazon「アマゾン」の発音をもじってできたスラングだ。ギリシャ神話のなかに出てくる勇猛果敢な女部族アマゾンは、ギリシャ語の a(ない)と mazos(乳房)が合わさって「オッパイがない」。黒海近くを拠点にしていたこの部族、成人になると弓を引くために、邪魔な右オッパイをスパッと切り落としてしまう習慣だった。 てなわけで、アマゾネスならオッパイないからタチだと分かるが、いまどきスカート姿のタチ(スカタチ)、ズボンをはいたネコ(ズボネコ)もいて、ちょっと見ただけでは、タチとネコの区別は難しくなっている。 ★
レズ行為はハーレムでもお盛んだった。この手の女たちをアラビア語ではムサヒカー(こすり女)というそうで、『アラビアン・ナイト』にも彼女たちがチラチラ顔をのぞかせている。Stella and Lucille were playing a game of bumper to bumper.(ステラとルーシルはお互いに陰部と陰部をこすりあわせていた) 英語でこの女同士の摩擦ゴシゴシは、bumper to bumper(車の数珠つなぎ状態)などの熟語で表現する。ハーレムでは気にいったネコたちの奪い合いで、かなり摩擦も生じたようだ。タチのムサヒカーは「お願い。私の可愛い子ネコちゃんになって」と、手スリスリ、腰スリスリに忙しかった。 ★
rub は「擦る」だが、使い方によっては、rub-belly(正常位)、rubber(コンドーム)、rub off(女性が自慰をする)ってなスケベ単語ができあがる。ついでに、ゴマすりのゴマ(sesame)の語源は、アラビア語の「シムシム」が借用された。『アリババと40人の盗賊』でもアリババが、Open sasame!(イフタフ・ヤー・シムシム/開けゴマ)と呪文をかけると盗賊団の洞窟の岩戸がスリスリっと開く仕掛け。 もっとも、予言者マホメットが現れてからは「アッラーハ・アクバル」(アッラーは偉大なり)という呪文がハバをきかせているけど。この教祖サマ、『4人妻制度』をつくったりするもんだから、ハーレムを失業したムサシカーたちがゴマンとでた。 で、ムサシカーたちはアラジンの魔法のランプをひとこすり。「ラッバイカ・ヤー・マウラーヤー」(ご主人様、私はここにおります)といって現れるランプの精霊に魔法の絨毯を用意させ、国外脱出をはかる。 いやはや、東経51度のペルシャ湾上空の姦しいこと。「キュウリはブツブツが痛いし、固くてイマイチよ」「バナナの皮むいて、コンドームかぶせるのが一番かなァ」「それより茹でたコンニャクの冷えはじめ。温度といい、固さといい」。あの忠実なランプの精霊もついに「メーデー、メーデー」の連呼だわな。 |