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英国とオランダとは、よほど仲の悪い時代があったに違いない。その証拠にジョンブルたちは、オランダ人にしてみれば、迷惑千万としかいいようのない罵詈雑言をゴマンとこしらえている。 Dutch courage(オランダの勇気)でそれ行けゴーゴーの「カラ元気」、Dutchcomfort(オランダの慰め)で「よけいなお節介」、Dutch cap(オランダ帽子)で「ペッサリー」…。go Dutch なら「割り勘にする」…。 ついにというか、キレたオランダ政府は、1934年をもって国名をネザーランド(Kingdom of the Netherland)に変更してしまったほどだ。コレ、ほんとの話だよ。 ここでちょいと、courage「勇気」のことで道草。 「あの人、シンゾウね」なんて言い方があるけど、cour にも「心臓」「心」の意味がある。例えば、動詞をつくる接頭語 en- と一緒になった encourage なら「激励する」、dis- がくっついた discourage なら「落胆する」…。 cor も同系の語根。accord「一致する」(心へ向かう)、concord「調和」「和合」(心をひとつにする)、discord「一致しない」、record「記録」(再び心を呼び覚ます)…。cord に「性質」を表す接尾語の -al をつければ、cordial「心優しい」という形容詞ができあがるのデアル。名詞扱いにすると「強壮剤」の意味になる。 オランダに舞い戻って、Dutch wife だと「セックス処理用人形」のこと。米国ではソリッドドール(solid doll)、ラブパートナー(love partner)のほうが通じやすいが、いずれにしても、元祖は暑さをやわらげるためのダッコ用枕だといわれている。日本では籐や竹で作られているので、この枕のことを『竹夫人』というとる。 一方、『アラビアンナイト』に登場する王様たちのだっちは、ホンマもんの『肉ぶとん』を愛用していた。人間の体温は気温が40度以上になっても、37度前後に保たれているから、スッポンポンになってお互いの体をピタリとくっつければ、ヒンヤリとした感じを味わえるつうわけ。とくに黒い肌は、体温が低いので貴重品だったんだってさ。 日本の第1回南極越冬隊も、ダッチワイフを昭和基地に持ち込んでいる。時にどうしようもなく熱くなってしまう局部を冷やすためだった。でもね、隊員たちはあまり性能がよくなかったもんで、一度も使用しなかったんだと。ホンマかいな? いまとなっては、真相も南極の分厚い氷の中である。 そのダッチワイフも、最近では膣の部分が電動式で脈動する、声をだす、さらには圧縮空気の吸排気によって内部のヒダヒダが精妙に揺れ動く…などと、機能もグ〜ンと向上、シリコン製だと1体で70万円もする。 それはともかく、ジョンブルの罵りって、オランダだけに止まらない。 古代ギリシャで男の同性愛がやたらと盛んだったことから、Greek culture(ギリシャ文化)、Greek love(ギリシャの愛)、Greek fashion,Greek style,Greek way(ギリシャ方式)と、これぜ〜んぶ「ホモ行為」のこと。 French way でも「ホモ行為」。フランスとは戦争史の中でもっとも長い『百年戦争』(1339-1453)など何度も敵対しちゃっているから、これまたフランスを蔑む言葉はやたら多い。ちなみに、ジャンヌ・ダルク(1412-31)がフランスをピンチから救うのはこの『百年戦争』のときなんですぅ。 Pardon my French,but you can go fuck yourself. (下品な言葉を使わせてもらうけど、あんたなんかクソくらえだ) French abortion(フランス式堕胎)で「フェラチオ」、Frenchdisease(フランス病)で「性病」「梅毒」、French kiss「濃厚キッス」、French letter(フランス人の手紙)で「コンドーム」…。 とくに、コンドームの一件では、フランスだって黙っちゃいなかった。コンドーばかりは勘弁できねェ〜。すぐさまコンドームを capote anglaise「英国野郎のフードつき外套」と銘々して反撃に出た。 ところが、ときにそんな悪口合戦がピタッとおさまっていまうこともある。1900年に清の国粋主義テロ集団『義和団』が、外国人一掃のため大使館などを攻撃したときがそうだった。英、仏、伊、露、日など11カ国が北京城に立てこもり、一致団結して援軍の到着を待った。 この史実は『北京の55日』という映画にもなっている。食料が底をつき、とても罵り合う気力なんか起こらなかったのかもしれないが…。所詮、友好関係なんてそんなもんさ。 もっとも、各国言葉戦争を対岸の火事と笑ってばかりはいられない。 turn Japanese には「自慰をする」という屈辱的な意味がある。ホラ、気持ちいいときって、ついつい、目をゾウさんのように細めてしまうだろう。その顔付きが切れ長の目をもつ日本人そっくりなんんだって。 最近では六本木界隈を徘徊するゴーゴー・ギャルが、不良外国人の間で、yellowcab「イエロー・キャブ」と陰口を叩かれている。すんなり乗せて、しかも安全。でもね、時には毅然と乗車拒否してみろって、ミネラル魚田は申し上げたい。 |