第六十一夜 shotgun weding(強制結婚)

 西洋にこんな小話がある。「米国のサラリーをもらい、日本人の女性を妻にし、中国人のコックを雇って、英国に住む」。羨ましきかぎり。男冥利につきる暮らしぶり。
 それじゃ、男にとって最悪っていうと? 「中国のサラリーをもらい、米国の女性を妻にし、英国人のコックを雇って、日本に住む」ってか。ともかく、アメリカ女ってのは、すこぶる評判が悪い。しかも、離婚ともなれば、慰謝料やらなにやらで、男はスッテンテンのムイチ文だな。ケッ、もう金輪際、ケッコンはケッコーってことになる。
 というわけで、今夜は『結婚』と『結婚式』について。
 で、さっそく、marriage は「結婚する」「結婚している状態」を表し、weddingは「婚礼の儀式」を指す。wedding march「結婚行進曲」、weding reception「披露宴」、wedding ring「結婚指輪」ってね。
 もっとも、「結婚式」を言うなら、marriage ceremony,weddingceremony のどちらだってかまわない。ひっかかりやすいのが、wedding party というコトバ。これ「新郎新婦に付き添う若い男女」のことなのだ。
 ところで、歴史上「最も豪華な結婚式」というと、これはもうルイジアナの農園主が、娘のためにやってあげた結婚式の右にでるものはないだろう。  まず、中国から船1隻分の蜘蛛を取り寄せる準備から始まった。またなぜ蜘蛛?この蜘蛛を館に通じる約2〓の並木道へとおっ放した。蜘蛛は木から木へと糸の巣を張りめぐらせ、その蜘蛛の糸へ金銀を吹き付けた。
 2000人の招待客は、この光り輝く天蓋の下をくぐって、しずしずと式場へ向かったという。まさに華燭の宴だ。
 It's a shotgun wedding.
 (オレたち、できちゃった結婚なんだ)
 shotgun wedding で「強制結婚」「できちゃった結婚」。shotgun は「散弾銃」「猟銃」のことで、娘かわいさに相手の男に銃口をつきつけ「ちゃんと責任とるんだろうな」と迫る父親の気持ち、ミネラル魚田わからんでもない。
 なんたって、相手の男の bazooka(バズーカ砲)、gun(銃)、pistol(ピストル)、Winchhester(ライフル銃)…、つまりポコチンつきつけられ、あげく身ごもってしまったんだもの。その仕返しが、銃には銃のショットガンってわけ。
 ともかく、アチラの結婚及び結婚式ってのは、花嫁側に主導権があるようだ。だから、weding invitation「結婚披露案内状」も、花嫁の両親の名前を先に書かく習慣になっている。
 でもね、昔々は娘をさらってくる略奪結婚があたりまえだった。エンゲージリングだって、略奪した娘に付けた手枷の名残という説があるくらいだ。日本も戦後しばらくまで、『嫁かつぎ』なんて略奪の風習が残っておった。  ついでに、marriage of convenience だと「偽装結婚」のこと。どうしてかっていうと、convenience「便利」の語根、vent には「来」という意味があり、カモがネギを背負って「来る」→「こう都合」→「便利」ってこと。  vent「通気口」、ventilation「通気」「換気」「意見の公表」、さらに接頭語がつけば、adventure「冒険」、invention「発明」(頭のなかにキタキタ〜ッ)、prevention「予防」、revenue「歳入」「国税庁」、souvenir「お土産」…。
 強制結婚にしろ、偽装結婚にしろ、なんとかゴールインにこぎつけたとしても、さて、結婚生活はうまくいくんだろうか? 角川書店の『ラルース/世界ことわざ名言辞典』のページをめくってみると、
  結婚もマカロニも、うまいのは熱いうちだけだ(イタリア)
  結婚は、探し求められる唯一の不幸である(ギリシャ)
  結婚は、熱病とは逆に、発熱で始まり悪寒で終わる(ドイツ)
  動物は年をとると不具になり、人は結婚すると不具になる(英国)
神が人々をつくり、悪魔がこれを夫婦にする(フランス)
  恋愛は花盛りの庭、結婚は刺草いらくさの畑(フィンランド)
と結婚への警告文であふれかえっている。
 もっとも、これらの箴言は一度結婚してみなけりゃ、核心をついているかどうか分からない。そこがミソ。だからこそ、男も女も真意を確かめたくて結婚したがるってわけさ。
 Marry in May,repent always.
 (5月に結婚すると後悔する)
 アチラにはこんな諺もある。ところが1カ月後は手のひらかえしたよに『結婚式奨励月間』となる。June bride「6月の花嫁」といって、6月に結婚すると、なにかにつけうまくいくと信じられているからだ。
 実のところ、June「6月」ってのは、結婚の女神で6月1日が誕生日のユーノ(Juno)のにあやかってネーミングされた。junior「若い」もしかり。
 結婚と関係ないけど、コチラの6月1日は『気象記念日』にあたる。
 明治8年(1875)のこの日、東京・赤坂に東京気象台ができたことを記念して制定された。オヤ〜ッ? やっぱり6月1日は結婚と関係ありそで、なさそで…。なんたって、結婚ってのは人生のテンキじゃん。

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