第69夜 cunnilingus(クンニ)

 最近では帰国子女もゴマンといて、2カ国語をあやつるバイリン・ギャルなんてめずらしくもないが、bilingual「2カ国語ペラペラ」の語根の ling には「言」「舌」てな意味がある。
  関連単語をいくつか拾ってみると、language「言語」「国語」、lingo「専門用語」、linguist「言語学者」…。
  いずれもマジメ単語ばかりだが、cunt「女性性器」にこの lingus をつなげてやると cunnilingus「クンニリングス」、略して「クンニ」というスケベ単語ができあがる。オトコの側の舌によるペロペロサービスのことだが、クリニングスなどと間違ってはいけない。洗濯とはなんの関係もないんだて。
  Sit on my face.(顔の上に座る)も「クンニ」のことで、このイディオムはさらには、「やらせてくれ」(Fuck me)というお願いの意味にも広がる。

  間違うなよ! 接尾語の -ling は「小」を表している。darling「かわいコちゃん」、duckling「子鴨」、fatling「太った牛」、gosling「ガチョウの雛」、suckling「乳飲み子」。マーク・トゥエインの『乞食と王様』に登場する changeling も「取りかえっ子」って造成語だし、king「王様」という単語だって kin「一族」+ ing「子」に分解できるじゃん。「一族の子」ってことだ。

  しばらく、cunnilingus の語根になっている cunt のこと。
  フランス語で con(コン)、イタリア語で conno(コノ)。いずれもラテン語の cunnus が語源になっている。いまじゃかなり頻繁に使われるようになったけれど、英国では今世紀の半ばまで印刷物にすることもご法度だった。
  だもんだから、ドイツの哲学者のカントなんか、とうとう英国に行かずじまいだったし(?)、『今』さんはフランスで、『河野』さんはイタリアで、きっと一度や二度、いや〜な思いをしたにちがいない。
  cunt-face「醜い顔」、cunt-hair「取るに足らない量」、cunt-itch「男とやりたがってる女性」、cunt lapper「いやな奴」、cunt-teaser「じらし屋」というふうにも使われている。

  クンニにお付き合いしたノミ(flea)が、いや愚痴るまいことか。
 “What a life,”said one flea to another the other day."I fall asleep on a cunt and I wake up on a moustache.
  じゃ、どのくらいの男性がクンニの愛好者なのか?
  ちょっと古くなるが、1948年の『キンゼイ報告』によれば、43%がクンニ党だった。でもね、この報告以来、半世紀の日時が流れ、とりわけ日本では、ここ十数年というものセックス・テクニックに目を見張るものがある。クンニの実行率は、限りなく100%に近づいているとみていいはず。
  この数字を裏付けるように最近は、cunt から moustache「口髭」に強制疎開させられたノミの愚痴がやたら多くなっている。

  一方、penis と lingus がドッキングした penilingus は女側のサービス「フェラチオ」(fellatio)のことで、日本ならシャクハチ(尺八)という。
  スラングで deep throat(深いノド)。クリトリスがノドについている女性リンダ・ラブレースのセックスライフを描いたポルノ映画『Deep Throat』(1972年)から、このスラングは使われだした。巨大ペニスをズッポリと口の中に呑み込むシーンは、そりゃ圧巻だったけど、口の中のクリトリスってミネラル魚田、想像するにノドチンコ(uvula)のことじゃないのかな。
  風俗嬢がアッケラカンとして喋る。
  「得意なのはフェラチオですね。最初は裏筋から始めてだんだん下に降り、最後にアナルを舐めてあげるんですけど、たいていの人が気持ちいいって」

  つづいて、penilingus と connilingus を同時に相互サービスするオーラルセックスのこと。巷ではこれを sixty-nine「69」といっているが、この数字は頭の位置が逆になっているイメージ。色の道の先進国フランスが、19世紀に開発した体位で、仏語では soixante-neuf「69」(ソワサンヌーフ)になる。
    There once was a sexy young WAF,
    Who answered her new chief of staff,
      “Well,sir,if I may,
      I'll meet you halfway--
    Let's try thirty-four and half.”
    メチャ色っぽい空軍婦人部隊のスタッフ
    新任の上官にテキパキと、ハイ、チーフ
      もしなんでしたら、え〜と
      よろしかったら、三十四と
    2人で試してみませんか三十四とハーフ
  かくして、2人は営舎で sixty-nine のからみ愛。が、なんと婦人部隊員のほうがチューインガム噛んでいたもんだから、口のまわりに髭が生えちまった。What a life!(なんて世の中だ!)。ノミの方だって安住の地がどこなのか、かなり戸惑ったにちがいない。

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