第七十四夜 penis(オチンチ)

 ペニスはスポンジのような海面体組織からできあがっている。海綿体組織には無数の毛細血管が走っていて、エッチな刺激があると血液がドクドクと流れ込む。みるみる膨張して天狗の鼻になる。医学的にはこの状態をエレクシオ・ペニスと呼んでいる。
 それじゃ、勃起状態での日本人の平均サイズはどれくらいか?
 ある調査によると、ペニスの長さはヒマをもてあまし、ノンベンダラ〜リとしているときで、平均[〓]_なんだそうである。それが一旦、刺激を受けると2倍弱の平均127_にイキリ立ってしまう。
 penis の語根の pen は宙ぶらりんな状態の「垂」を表しており、appendix「盲腸」(臓器にぶらさがっている)、pendant「ペンダント」(首にぶらさがっている)、pendulum「振り子」(風もないのにブゥラブラ)、penisula「半島」(大陸にぶらさがっいている)。
 動詞の pend は宙ぶらりんにさせておくこと。つまり「決定をのばす」という意味になる。pen に接頭語 de-「離」がくっついた depen「頼る」は離れてはいるがまだ一部がぶらさがった状態。そこへ否定の in- がドッキングした independent なら「頼らない」「独立した」ってわけだ。
 7月4日は米国の「独立記念日」(July Fourth)。
 英国の弾圧を撥ねのけ、ペンシルベニア州(Pennsylvania)フィラデルフィアで Declarationof Independence(独立宣言)したのが、1776年のこの日なのである。ペンシルベニアがバージニアとお隣同士というところが、なにやら気になるけれど、ぺンシルベニアのペンは、ご当地で総督を務めたウイリアム・ペンの名から「ペンの森」ってわけ。
 話を戻そう。
 以前、秤はかりは計量物とオモリを棒にぶらさげてはかったが、compensate は釣り合うようにすることから「補う」「補償する」という意味にも派生した。dispenseも秤と関係があり、別々に(dis-)ぶらざげることで「薬を調合する」。expend なら「使いはたす」「費やす」。予定より外側(ex-)にまで張り出してしまうことだ。
 ほかにも、suspend「吊す」、suspense「サスペンス」「持続的緊張感」、susp-ender「ズボン吊り」ってな単語もある。
 ついでだから教えちゃおう。
 ペニスの先端を glans「亀頭」という。雁かり首ともいうが、雁がん首と読むとキセルの頭のことになってしまうから気をつけよう。先端には urethra「尿道」の割れ目がある。そのすぐ下のあたりで、包皮と結合しているところが、オトコにとってもっとも敏感なところなんじゃい。
 一麸、二雁、三反、四傘、五赤銅、六白、七木、八太、九長、十すぼ
 これ、ペニスのランキング。トップの≪麸ふ≫というのは、膣のなかで固くなったり、柔らかくなったり自在に変幻するペニスのことらしい。以下、亀頭のヘリが高く突きでた雁高、ヌッと反り返った天狗の面、紫になる手前の赤銅色…、すぼんで細長いペニスと続く。
 ペニスは長ければナイスというものじゃないけれど、動物で一番巨大なペニスの持ち主はクジラ。体長27bのジロナガスクジラで約3bもある。牛だって1b近いが、馬は意外に短く50aほど。霊長類では人間のペニスが最も大きく、体重250cのゴリラでも5a程度しかないそうだ。睾丸も小さい。精液も1回平均が0・4〓しか出ないというからビックラこいちゃう。
 ペニスの俗語はやたら多い。
 bayonet(銃剣)、candle(蝋燭)、dagger(短剣)、eel(ウナギ)、goose'neck(ガチョウの首)、joystick(悦楽棒)、lollipop(ぺろぺろキャンディ)、pipe(パイプ)、sword(剣)、thumb of love(愛の親指)、wand(魔法の杖)、つまり、細長く、鋭いものならなんでもペニスになっちゃう。
 突然ですが、料理人のことを日本でコック(cook)というけれど、英語圏にいったら、これだけは正確にクックと発音しよう。ある米国の富豪の邸宅に招かれた日本女性が、食事の後でニッコリほほ笑みながら、
 You have a nice cock(コック).
と料理人を褒めたつもり。嗚呼、それなのに…、その場が一瞬にして、シ〜ンと静まりかえった。つまり、cock「雄鶏」は攻撃的なことからペニスを指すのだ。アチラのオバサマは気を使って、rooster「雄鶏」に言いかえたり、台所の嫌われもの cookroach「ゴキブリ」だって、カッコつけて、roach と縮めちゃうんだな、これが…。
 お父さんが娘さんと一緒に風呂に入っていたころを回顧する。
 「湯船で立ち上がると、娘のやつキャキャと喜んでぶらさがってくるんだ。そのたびにオレ、チンチン電車がうごきマ〜スってね…」。
 [〓]_のつり革にぶらざがって喜んでいた娘さんも、そろそろ結婚適齢期。お父さんはやりきれなくって、淋しくって、今夜もムスコをお供に、ぶらり居酒屋へと足を向けるのである。

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