第七十六夜 condom(コンドーム)

  cap は「帽子」のことだが、語源をさぐればズバリ「頭」を表している。cape が「岬」なのも陸地が頭のように海へ突き出しているから。captain もこの仲間で「船長」「頭領」「大尉」(陸軍)「大佐」(海軍)。陸海で階級が違うのは、ようするに単独行動がきるボスを指す(陸軍なら中隊、海軍なら艦艇)。
 ついでに、corn とくれば「トウモロコシ」なんだけど、元々は尖ったものの象徴で、「麦」「ペニス」「岬」なんて意味もある。例えば、英国の Cornwall 州は「ウェールズ人の岬」ちゅうこと。
 国を人間の体にたとえると、頭の部分にあたるのが、capital「首都」、国や会社の運営で最も大切なのが、capital「資本」ってわけだ。つまり、cap の根底には「重要な」というニュアンスが流れとる。
 だもんだから、capital punishment(death penalty)で「死刑」の意味になっちゃう。先進国で死刑のあるのは日本と米国ぐらいだが、米国は70年代に入って一旦中止。死刑が再び認められるようになったのは1976年のことだ。
 [76]という数字にこだわると、ちょうど200年前の1776年に、フィラデルフィアでもって、たからかに独立宣言(the Declaration of Independence)をした年だということも記憶しておこう。NBAの『Philadelphia 76 ers』も、この独立宣言の年からとったチーム名なのである。
 元に戻って、capitalism「資主主義」、capitalist「資本家」、capital letter「頭文字」、Capitol「(米国)国会議事堂」…。
 首都もその一例だけど、cap「頭」は日本語の感覚だと「首」のニュアンスになるからややこしい。接頭語 de-「離」がくっついた decapitate は「首切り」ってわけ。
 head も「頭」のことだけど、この場合だって cut one's head「首切り」、headhunter「首狩り」、shake one's head「首を振る」…。
 cabbage「キャベツ」だって格好が人間の頭に似ているからで、キャベツを数える単位は head が使われる。キャベツはスラングだと「女性性器」のこと。スパッと縦切りにした断面がアソコそっくりじゃん。
 ちなみに、女性器を野菜や果物で表現したスラングには、artichoke(アーティチョーク)、cauliflower(カリフラワー)、fig(イチジク)、papaya(パパイヤ)などがある。
 cap が訛ると、chef「シェフ」「料理人の頭かしら」、chief「長官」、chieftain「(山賊の)親分」「酋長」などの単語ができあがる。handkerchef「ハンカチーフ」だって、戦場で切り落とした首を包むのに利用したからだ。接尾語の -er「小さい」をくっつけてやれば chapter「章」ができあがる。
 映画『ゴッド・ファーザー』で一躍有名になったのがDon「親分」。こちらは、dom「館」「殿」から派生した単語で、古典名作の『ドン・キホーテ』の主人公も「お館様」「お殿様」のこと。
 「私の」という接頭語 ma- と合体グした madam 「奥様」、mademoiselle「お嬢様」。イタリア語で、Madonna は「聖母マリア様」ってわけ。お館様、お殿様の周辺の土地は、必然的に domain「領土」だし、dominance「支配」する土地でもあり、dominion「支配権」も持っている。
 で、英国の正式名称[The United Kingdom Great Britain and Northern Ireland]の kingdom「王国」という意味も、なんとなく理解できるじゃん。
 お館様、お殿様は金持ちだから、ときにはシモジモの者にお布施をしてやらなければならない。donation「寄贈」「寄付」、donative「寄付金」、臓器移植で話題の donor「ドナー」「提供者」も外来語として定着している。  語根の dom は「館」から「家」「住居」という意味にも派生した。dome「ドーム」「禿げ頭」、domicile「本籍地」、domestic「家庭の」、domesticate「飼い馴らす」。マンションをアチラでは、condominium「コンドミニアム」って言うけれど、この単語も dom のファミリー。
 一見、condom「コンドーム」(カンダムと発音)も dom の一家に見えるけど、こちらはまったくアカの他人。コンドームは英国の医師 Conton 氏が18世紀に考案したので「コンドームさん」と銘々されたちゅうわけ。
 Shall we use a rubber? (コンちゃん、使う?)
 コンドームの名代として protection(避妊具)、rubber(ゴム)、sefe,sefty(安全)もよく使われるが、このほかにも、【袋系】baggie(小袋)、joy-bag(歓喜袋)【皮系】eel skin(鰻)、fish skin(魚)、frog skin(蛙)【スーツ系】amor(甲冑)、diving suit(潜水服)、onepice overcoat(ワンピースの外套)、raincoat(雨具)…などにグループ分けできる。
 コンドームの異名はまだまだあるぞ!
 French letter「フランスの手紙」。ために、蛙野郎(フランス人)はそうとうキャップ、いや、アタマにきた。「おいジョンブル、シャッポ(chapeau)脱いであやまったらどうだ」とばかり、capote anblaise「英国のフードつき外套」と呼んで逆襲にでた。…ッたく、スキンにしろってんだ。

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