ロミオ(ロメオ)とジュリエット 【Romeo and Juliet】
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
版:アシュトン版、クランコ版、マクミラン版、ノイマイヤー版、グリゴローヴィチ版
有名なシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」をバレエ化した作品。プロコフィエフの美しい音楽に乗って、ロミオとジュリエットの悲恋物語が展開される。リフトを多用したパ・ド・ドゥが繰り広げられる。もとが演劇の作品のため、ダンサーたちには高度な演技力が求められる作品。特にジュリエットは、愛も知らない無邪気な少女から、親を裏切っても愛する人との結婚を貫こうとする女性の心理までを表現しなくてはならず、難しい役柄のひとつ。
第一幕
第一場
イタリアの都市ヴェローナ。ここでは、モンタギュー家とキャピレット家という二つの名門が対立していた。ある朝のヴェローナの広場にロザリン(ロザライン)が現れる。彼女を慕うロミオも続けて姿を現す。ロミオはモンタギュー家の人間である。やがてロザリンが広場から去ると、ロミオは友人マキューシオとベンヴォリオの仲間に加わる。そのうち、同じ広場に来たキャピュレット家の人間と小競り合いが始まり、乱闘騒ぎとなる。ヴェローナの太守エスカラスが登場して両家の争いを仲裁する。
第二場
キャピュレット家の屋敷。無邪気でまだ幼さの残るジュリエットが人形遊びをしている。乳母をからかい、楽しそうに舞うジュリエット。そこへ、両親がやってきて、ジュリエットの許婚となるパリスを紹介する。事態をよく理解していないジュリエットは、両親とパリスが去ったあとも何事もなかったように人形遊びに戻ろうとする。乳母は、ジュリエットに大人になるよう諭す。
第三場
キャピュレット卿は盛大な宴を催すことになった。ロミオは、思慕するロザリンもこの宴に招待されており、彼女に会いたい一心で、友人のマキューシオ、ベンヴォリオとともに敵方の家の宴に仮面をつけてもぐりこむことにする。当のロザリンはロミオにつれなく、マキューシオとベンヴォリオとしては、ヴェローナ中の美人が集うこの宴に出てみれば、ロミオの報われない恋の病も治るだろうという期待もあった。
第四場
キャピュレット家の宴が催されている屋敷の中。ロミオは仮面をつけてもぐりこみ、ロザリンを探す。すると、婦人たちの中に並外れて美しい娘、ジュリエットと目が合い、ロミオは恋に落ちる。ジュリエットが踊り始めるとロミオ彼女のそばに寄り添う。ジュリエットはパリスを無視するが、キャピュレット卿の甥、ティボルトがこれを見て怒りをあらわにする。さらに、ジュリエットをほめたたえる声を聞いてロミオだと気づいてしまった。とっさに、友人マキューシオとベンヴォリオは、進み出て客人たちの注意をひきつける。キャピュレット卿も客人たちへの配慮から、ティボルトの怒りをなだめる。
やがて晩餐の時間になり、客人たちが会場をあとにすると、ジュリエットは仮病を使って一人残る。ロミオが駆け寄り、仮面を取る。恋に落ちた二人は、我を忘れて手を取り合い、踊る。ティボルトはこれを目撃し、ロミオと争うが、キャピュレット卿に仲裁される。ロミオはジュリエットに心を残しながら屋敷を去る。
第五場
キャピュレット家の庭に面するジュリエットの部屋のバルコニー。ジュリエットは、ロミオを想って一人たたずんでいる。そこへ忍び込んできたロミオと再会し、愛を確かめ合って踊る二人。
第二幕
第一場
ヴェローナの広場。ジュリエットのことが頭から離れないロミオが夢見心地で座っている。すると、ジュリエットの乳母がやってきて、ロミオに手紙を渡す。そこには、ひそかに二人の結婚式を行う旨が記されていた。
第二場
ロミオはさっそく教会に向かい、ロレンス神父のもとでジュリエットと結婚する。ロレンス神父は両家の争いに心をいためており、二人に同情するとともに、この結婚で両家の長年の不和が解消されるかもしれない、と期待していた。
第三場
ジュリエットと結婚し、広場に戻ってきたロミオに、ティボルトが決闘をしかける。しかし、ジュリエットと結婚した今は、親族であるティボルトを殺すことはできない。ためらうロミオを尻目に、二人の結婚を知らないマキューシオがロミオに代わって決闘を受けて立つ。決闘で激しく戦う二人。そしてとうとう、マキューシオが致命傷を受けて倒れてしまう。息絶えるマキューシオ。ロミオは激怒し、ティバルトに闘いを挑む。そして、ティバルトを殺してしまう。キャピュレット夫人が現れ、甥の死を知ってその身体にとりすがる。我に返ったロミオは許しを請い、その場をあとにする。しかし、キャピュレット卿はロミオをヴェローナから追放する裁きを下すのだった。
第三幕
第一場
初夜を過ごした二人がジュリエットの部屋で目覚める。ロミオとの別れの時を示す朝日が部屋に差し込むと、それをさえぎろうとジュリエットがカーテンを引く。追放を宣告されたロミオは別れを惜しみながら部屋を去っていく。すると、両親が現れて改めてパリスと引き合わせる。もはや真実の愛を知ったジュリエットは激しく反抗する。もてあました両親は、頭を冷やすようしばらくジュリエットを一人にする。ジュリエットは困り、助言をもらおうとロレンス神父のもとへ向かうのだった。
第二場
ロレンス神父の教会。ジュリエットは相談を持ちかけ、ロレンス神父は若い恋人たちに味方する。そして、ジュリエットに、かえって両親にうれしそうに結婚の承諾を伝えて安心させ、結婚の前夜にこの薬を飲みなさい、と薬びんを授けた。その薬は人間を仮死状態にする薬で、死んだと勘違いされて墓場に運ばれたジュリエットをロミオが迎えに行き、二人で逃げる算段をしたのだ。しかし、事実を記した手紙は、運悪くロミオの手に渡ることはなかった。
第三場
神父の作戦通り、両親に結婚の承諾を伝えるジュリエット。そして婚礼の前夜、ジュリエットは恐怖にふるえながらも、愛するロミオのために恐ろしい薬を飲み干す。翌朝、友人たちがヴェールを持ってジュリエットの部屋を訪れると、息絶えている(ようにみえる)ジュリエットがベッドによこたわっていた。悲しみにくれる両親とパリス。
第四場
キャピュレット家の墓場。仮死状態のジュリエットが棺の上に横たえられている。別れを告げて親族が去ったあと、ロミオがやってくる。手紙を受け取る前にジュリエット死亡のうわさを聞いて、真実を知らないままやってきてしまったロミオは、いとしい妻の前で悲しみにくれる。そして、絶望して毒薬をあおり、絶命する。ロミオが命を絶ったあとに、ジュリエットが目覚める。不気味に静まり返る墓場を見渡すと、いとしいロミオが倒れていた。ロミオの死を知ったジュリエットは悲痛の叫びを上げ、絶望し、ロミオの短剣で胸を刺し貫いて息絶える。
ジュリエットが、無垢な少女から愛のために命をささげる女性にまで成長する、その演技が大きな見どころ。有名なシーンとしては、ジュリエットの部屋のバルコニーの前で踊る、バルコニーのシーンがある。この場面の踊りはガラコンサートでもよく登場する踊りで、美しい音楽にのってリフトを多用した二人の歓喜のパ・ド・ドゥが繰り広げられる。
あとは、何と言っても最後の二人の行き違いのシーン。とくにジュリエットがロミオの死に気づき、悲痛な叫びを上げるシーン(実際に声は出さずに身振りのみで表現する)は圧巻で、演技力の巧みなバレリーナが演じると本当に感動する。
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