と学会:『トンデモ本の世界』, 洋泉社, 1995.05.01., ISBN4-89691-166-0, \1553+税.
謎の読書集団と学会が初めて書店売りの書籍として出版した本.ちょうどオウム真理教事件の最中で,なかなかのヒット作となる.
もともとは宝島30という雑誌に藤倉珊氏と山本弘氏が交互に連載していた記事,「今月のトンデモ本」をまとめたものだが,追加された記事も多く,連載記事自体も大幅に加筆修正されている.
と学会というと,一部にはオカルト排斥団体と受け取られている向きもあるようだが,本当は,単にトンデモ本(とそれに類する本意外のもの)を楽しもうという団体である.ではトンデモ本とは何かというと,山本弘氏による「はじめに」にある通り(P.2),
藤倉氏の定義によれば、「著者が意図したものとは異なる視点から読んで楽しめるもの」である。要するに、著者の大ボケや、無知、カン違い、妄想などにより、常識とはかけ離れたおかしな内容になってしまった本のことなのだ。したがって、最初から読者を笑わせることを意図して書かれた本は、どんなに内容がトンデモなくても「トンデモ本」とは呼ばれない。
オカルト関係の本が観察対象となることが多いのは,たまたまその分野にトンデモ本が多いからであり,それ以外の分野の本も本書にはしっかり取り上げられている(し,その中にも超絶なものが少なくない).
従って,と学会の,トンデモに対するスタンスは以下の通りである(『トンデモ本の逆襲』P.4).
我々は、言うなればバードウォッチャーである。鳥の生態を観察して楽しんでいるのであって、決して鳥の絶滅など望んではいない。
残念であるが,昨今,と学会シンパを名乗る人物がコミケ会場やインターネットなどで,と学会にネタにされた相手にイヤガラセ行為を働いているという.現在まで,彼らがと学会と直接関係のある人物という確証はなく,その行為自体と学会の主旨から大いに逸脱している.要するに,そういった人物はと学会の関知するところではなく,むしろ甚だ迷惑であるし,そもそもモラルに反している.ので,自称シンパの方は自らの言動をよく考えていただきたい.
本書の「あとがき」では山本会長はこのように書いている(P.328-329,強調は筆者による).私はこの箇所が好きだ.
彼らの思想は間違いだらけだし、しばしば危険な内容を含んでいる。だが、決して彼らを弾圧すべきではない。弾圧は諸刃の剣である。歴史を見ればわかるように、間違った思想が弾圧されるような時代は、正しい思想もまた弾圧されるのだ。言い換えれば、奇人たちがおおっぴらに活動できるということは、現代の日本がいかに自由な国であるかという証拠なのだ。
こう書いた上で,さらに続けて(P.329),
では、氾濫するトンデモ本に対して、我々はどう対処すべきなのか?
答えは一つ−−笑い飛ばすのである。
『トンデモ本の逆襲』からの引用よりは難しいから,自称と学会シンパの方にはなかなか理解してもらえないかもしれないが,より詳しくは,上記のようなことである.自称シンパの方には,ぜひ読解力を高めて,トンデモ本を笑えるよう精進していただきたい.
ところで,本書のように著作物に対する批判が中心となっている本の存在が気に入らない人もいるようだ.が,書物が何事かを批評するのは当然だし,その対象が本だとして何が問題となろう.
また,著者が本の出版という行為を通して広く世に考えを訴えるのであるから,そこに問題点があるならば,同じく出版によりそれを広く世に示すことは,まったく正当であるし,対等なことである.問題点を突っ込まれることは,いわば,ツッコミ甲斐のある本を広く世に出してしまった著者の責任だ.もちろん,と学会の出版した本についても,批評,批判は全く自由である.本書評のコーナーも,と学会に対するツッコミ所が見つかったら躊躇なくそうする考えでいる.
なお,と学会がオタクの集団だという噂もあるようである.こればっかりは事実なのでどうしようもない(笑).
と学会:『トンデモ本の逆襲』, 洋泉社, 1996.04.01., ISBN4-89691-208-X, \1359+税.
『トンデモ本の世界』の続編.「逆襲」ってあるのは,『スターウォーズ』のいただきだ.トンデモ本の紹介の他に,前著に寄せられた大量の反響について,山本会長からかなり丁寧な回答が示されている.
と学会:『トンデモ超常現象99の真相』, 洋泉社, 1997.03.26., ISBN4-89691-251-9, \1500+税.
と学会版の超常現象FAQ.読み物としてはそう面白いというものではないが,ちょっとした調べ物には大変便利.各章の扉にあるしりあがり寿氏のイラストは笑える.
と学会:『トンデモ本 女の世界』,メディアワークス, 1999.12.25., ISBN4-8402-1324-0, \1500+税.
と学会が,オカルトを排撃する団体ではなく,ヘンなものをとにかく楽しもうという団体であることがよく分かる一冊.立川談之助師匠の記事など,いかにもと学会らしいデバンキングはほとんどなく,ひたすらギャグで走っている.結構好きなのが『世界に通じる子供の名前』という本へのツッコミ(P.236).
あきば「秋葉 亜樹葉」……ヘブライ語の名前ヤーコブYaakovの変形。(絶対オタクになるぞ)
などなど.
(2000.10.11.記)(2003.01.07.更新)
取違孝昭:『詐欺の心理学』,講談社ブルーバックス, 1996.04.20., ISBN4-06-257116-1
ブルーバックスらしく読み易い詐欺に関する解説書.
(1998.04.26.記)