横田順彌:『脱線!たいむましん奇譚』,講談社文庫, 1981.12.15., ISBN4-06-136220-8
横田順彌氏の短編小説集で,氏のハチャハチャSF小説の代表作のひとつ. 第一作目の書き出しから頭をかかえてしまう. 「日本ちんぼ*」というのもタイトル中身ともに目茶苦茶で素晴らしい.
(1998.02.22.記)
横屋正朗:『UFOはこうして製造されている』, 徳間書店,1993.09.30., USBN4-19-505287-4
「あの」徳間書店のUFO本だが,この当時はこのようなまともな本もあった.
見所は2点,日本のメジャーな出版物ではほとんど初めて, キャトル・ミューティレーションについて, 単なる牛の死骸だったと明かしていること.そして, ノースロップ博士やホルテン兄弟らの全翼機について詳しく紹介していることである. 後者はとくに資料的に価値があると思う.
ただし,フリーエネルギーに関する見解には同意しかねる (私は実現可能だとはまったく思わない). 全翼機についても技術的に違和感のある記述が見られた.
(1999.10.03.更新)
最近ライトノベルが気になる.表紙がいい.内容もけっこうシブイらしい.
しかし読んでみたのは山本弘と学会会長の本ぐらいのもので, 他はなかなか手を出しかねていたのだが, ネタとして気になるものが見つかったので読んでみた. うむ.表紙はなかなかよい.
あいや,『二等陸士物語』が面白いのは認めよう. 自衛隊にオタクが多いということは一部では有名だが, こう堂々と小説に書かれるとそれはそれで面白い.
しかし『二等空士物語』まで読んだらがっかり.
この人は北朝鮮ネタを書くのに, テレビのワイドショーぐらいしか参考にしなかったのか? 佐藤大輔三佐にぜひ一言お願いしたい.
「無知と貧困は人類の大罪だボケッ!」
北朝鮮の原子力潜水艦が登場するあたり,あとは推して知るべし. ストーリーもぐだぐだ.作者は登場人物の名前で遊ぶことしか考えてないのか?
せめて『SAPIO』の別冊ぐらい見ておけばいいのに. 北朝鮮兵の携帯SAMに「スティンガー」はなかろう(P.132). 小銃も今はAK-74だ.執筆時期を推定すると 御台場で現物が見られなかったのは仕方ないだろうけど.
オタクネタも,北朝鮮兵が日本のゲーム機とソフトに狂喜する描写は いくらなんでも滑りすぎ.ピカチュウなんか知るか! いや, 知っていることはあり得なくもないが,それならそれで, ああいう描写には絶対にならない.ピカチュウごときが命にかかわる 地下情報だという状況をネタにしなくてどうする. 帰国者が日本の歌を歌っただけでスパイ扱いされる国なんだから.
こんなレベルの作者だから,『二等陸士』のネタも, ネタじゃなくマジボケなのかもと思ってみたり.
例えば冒頭,試作機関銃の話が出てくる.
「実射試験を終えて、得意満面の技術者に、担当官はこう言ったそうだ。 『悪くない性能だ。で、銃剣はどこに付くのかね?』ってな」
<略>
「車載用の試作短機関銃が流れた時も、同じ理由からだったと記憶しています」
これは,「こういう噂が自衛隊に広まっていても不思議ではない」 というネタなのだと思ったのだが, どうも作者が真面目に銃剣がつかないから国産の機関銃も短機関銃も 採用されなかったと思ってるっぽい. 銃剣がつくつかないは仕様書に書かれるべきことだから 試作ができてから採否が逆転するわけもなかろうに.あと,試作短機関銃は流れてないような…
『二等空士』の方はこんな軍事オタレベルの問題ではない.
『シュリ』のごとく北の士官が空自の隊員に怒りをぶちまける.
「わかるはずがない! またイルポンサラムお得意の、 人道主義とやらでお茶を濁すだけだろう。もう、我々はうんざりなんだよ! 米帝の腰巾着に些細な落度を責められ、経済制裁とやらを受ける! 口では人道主義とか言いながら、飢えて死につつある同胞は見殺しじゃないか!? 何も知らされていないとは思うなよ! 我々軍人でも中級以上のものは、 イルポンの胡散臭いメディアとやらを見ているのだ。 拉致された同胞とやらには涙を流すその裏で、 もっと大勢の飢えに苦しむ我が同胞の惨状を見て、 笑っているのを俺たちは知っているぞ!」
これ自体が北の士官のセリフとしてリアリティがないし, しかも,登場人物のセリフも地の文もストーリーの展開も, いずれもこれに反論的なものがない.これはつまり, 拉致問題の報道に対する吉岡平氏の所感がここに現れていると考えてもよいと?
北朝鮮の食糧事情を笑われて向こうが怒るのはまぁいいだろう. でも,日本人拉致は金正日が起こした犯罪だし, 食糧事情の悪化は金父子の独裁政治が招いた失敗ではないか. そのどちらも,日本人が責められる言われはない.
引用部分の少し前ではいわゆる強制連行にまで言及されている. 「日帝時代の過酷な鉱山労働」ってところ.この辺, 半島の言い分を額面通り受け取っているのか? 従軍慰安婦が出ないだけマシかもしれないが.
で,吉岡氏としては『二等海士』も書く予定らしい. 『陸』→『空』の流れからして,どういうものになるのか大変気になる. ぜひ読みたい.
(2000.05.07.記)(2004.01.12.更新)
吉永良正:『電磁波が危ない』,光文社,1989.02.28., ISBN4-334-06040-4
昨今では「電波系」などという言葉があって「電磁波が危ない」 という人が危ないと言われかねない情勢であるが, やっぱり電磁波には危ないものがあるのは事実である. ということで,パソコンからの不用輻射や高圧線の影響, レーダーのマイクロ波などが心配な方は本書をご覧願いたい. 妄想ではない,地に足のついた議論が語られる. ただ,時期的に携帯電話については出てこない. 頭の横でギガヘルツ帯の電波が出るのは,ちょっと心配なのだけど.
吉永良正:『ウイルスが人間を支配する』,光文社, 1990.06.30., ISBN4-334-06051-X
一見するとウイルスに関する科学の啓蒙書で, 実際90年当時のエイズに関する知識をきちんと知ることができる, やっぱりウイルスに関する科学の啓蒙書である. しかし,この本をそういう分かりやすい分類から逸脱させているのが, 全編にちりばめられたクダラないダジャレ. 例えばヒヒからネコに移ったウイルスの話では,
このウイルスは猖獗をきわめ、ネコ族を総なめにした、 といわれている。ネコはなめるのは好きだが、 総なめにされるのは好きではない。
P.177
といった具合.こんなのが次から次へと出てくるので, ほとんどトリップしそうになる.
どうして吉永氏はこういうダジャレ本に走ったか,詳しいことは分からない. しかし,この本の前に出した『電磁波が危ない』に対して, これをほとんどまんまパクったゲルマニウム商品宣伝本が出ていたので, これならパクれまい,ってなところだったんじゃないかと邪推.
(1999.10.03.更新)