柴田純 迷場面集


第4話 泊まると必ず死ぬ部屋


資料


名(迷)場面

推理マニア

第4話は柴田の推理マニア度を特に強調した回.前3回で登場人物などの紹介もあらかた済んだと考え,ミステリー志向の刑事ドラマとして娯楽性に力を入れたものと思う.ただし,結果として出来上がったトリックはけっこうショボかった.推理モノとしての詰めはかなり甘い.『ケイゾク』という番組,企画から撮影までの時間がすごく短かったんじゃないかという気がする.畳の血なんかもう少しよく説明してくれぃ.

そういえばこの話は撮影日が分かっている.オフィシャルサイトによると,葉隠月で中谷美紀の誕生パーティーをしたらしい.だから1月12日.本放送始の2週間半前.ドラマの撮影なんてどこもこういうものかもしれないが,ケイゾクもやはり突貫工事で撮られていたようだ.これが,この作品については,何でもあり,出来ることはみんなやってしまえ,というハイなノリを導いた要素の一つだと思う.

閑話休題.柴田の推理マニア度の高い場面を以下列挙.

三億円事件

冒頭,時効となった古い事件の資料を処分する二係の面々+彩.柴田,いきなり,

柴田「あのぅ,三億円事件の犯人分かっちゃったんですけど」
一同柴田を見て沈黙
柴田「この白バイを目撃したとされるアセチレン工の…」
真山「遊んでんじゃねぇよ」
資料をごみ箱に放り込む.

「遊んでんじゃねぇよ」って,鼻毛切ってた奴に言われたかないよな(笑).

なお,このアセチレン工が云々という話は多分元ネタがあると思う.ちょうどドラマと同じような時期に週刊宝石に三億円事件の犯人を推測する記事が出ていた(例えば田辺俊彦氏のWebサイト参照).

ただ,田辺氏も触れているが(といっても別人と思うが),事件当時,犯人と疑われてひどい迷惑を被った人が実在するので(誤認逮捕され,実名が報道され,一家離散という事態になったと聞く),面白半分に犯人は○○だ,というような話をするのはちょっと感心しない.

もっとも,元ネタの捜索はする予定(とりあえず『真犯人』購入).

エクセレント

泊まると死ぬ部屋の話を聞かされる柴田,

仲居「来月,旅館を修理改築することになり,その部屋も取り壊すことになりまして」
柴田「もったいない!」
驚いて振り向く仲居.
真山「柴田ぁ〜!」
仲居「それで,えー,取り壊すことが決まった途端,お恥ずかしいことですが,旅館の身内の者が,泊まってその言い伝えを実験したいと言い出しまして.万が一何かがあっては」
野々村「つまり〜誰かが死ぬと」
仲居「そんなことはないと思うんですけど,何だか…,いやな胸騒ぎが.お願いします.皆様のうちどなたか,ご一緒にお泊まりいただけませんでしょうか?」
一同,知らないふり.鼻毛を切りそこなう真山,鉛筆とロールケーキ?でうどんを食べる真似をする谷口,名詞に見入る近藤,柿ピーの柿の種を食べる係長(係長は知らないふりでなく緊張している),可燃ゴミのシールを頭に貼る彩.
柴田「私行きます」
野々村「いや〜しかし」
柴田「泊まると必ず死ぬ部屋」
イメージシーン.柴田立ち上がる.
柴田「エクセレント〜」髪をかき上げ,恍惚として画面下に消える.ばた.
真山「変だよ! 変だよ!」

これが,2話の「ワンダフル!」と並ぶ柴田の迷セリフ.

赤後家の殺人

葉隠月の伝説,ある小説に似ていると柴田が話し始める.

柴田「しかし『赤後家の殺人』とよく似てますね」
真山「何だそれ」
柴田「カーター・ディクスンという人が書いた本なんですけど」
真山「知らねー」
柴田「一人で部屋にいると殺されるという先祖の言い伝えがあって」

カーター・ディクスン(またはディクソン)著,『赤後家の殺人』,割と有名な小説らしい(私は未読).今は創元推理文庫から出ているようだ.例えば阿笠湖南氏の書評おきらく薫氏の書評などをWebで見ることができる.テレビで,ネタになった本をバラしちゃうのは,けっこう大胆かもしれない.小説では,既存の推理小説に言及することは珍しくないみたいだけど.

それはそうと,朋美が伝説の部屋にいて死ぬかも知れないってのに,柴田のこのセリフ.かなり無神経.

山下真司の部下「その小説の中で部屋に入った人はどうなるんですか」
柴田「もちろん必ず殺されます.推理小説ですから,殺されないと,読んでる人,怒っちゃいます」

朋美の死体発見に至っては,ここまで言ってしまう.キャラの作り込み濃すぎ.

柴田「朋美さん…すでにコト切れてます.死因は,撲殺か.毒を飲まされた跡はないと」
真山「なんで?」
柴田「小説では毒で死ぬんです」
真山「お前なぁ」

密室

朋美が部屋から消えたことを知る一同.部屋の封印を見てまわる柴田,封印を確認し,出入り口が一つなのを確認しているうちに興奮してきて,

柴田「真山さん,これ密室ですよ密室!
真山「ふざけてんじゃないよ」

真山も怒るわな(笑).

謎解きでの一言

この回,事件の謎解きの場面では,主要なメンバーを一室に集めて柴田がとうとうと説明するという,本当に推理小説みたいな場面がある.まさに推理マニア柴田の独擅場.はいいんだけど,ついこんなこと言っちゃうのが愛らしい.

柴田「それが,この事件の面白いところなんです」

面白いたって,人が一人死んでるんだってばよ(笑).

七並べ

『Eiga Hi-Ho』で我孫子武丸氏が言及しているが,トランプのゲームで犯人を当てるという展開はなかなかおしゃれ.柴田,ボケキャラのわりに,最後では犯人をダマクラかしてボロを出させるという,意外にも狡猾な一面を見せる(2,3,6話,それに4話).

しかしよく見るとこの手はきわどい.既にWeb掲示板などで突っ込まれているんだけど,犯人の方が先にハートの4を出してしまった場合,柴田が負けることになってしまう.まさに,

柴田「犯人は,私?!」

だ.柴田は犯人の目星をつけた上でこのトランプの話を持ち出しているはずだが,いくらそいつがバカだったとはいえ,あと2枚で終りというときに,柴田と自分の持ち札が計3枚なのだから,そこで柴田の手の内がバレる可能性はあったろう.もっと頭が良ければ,トランプのゲーム,という段階で気付いていて,結局ハートの4はポケットから出さなかったかもしれない.

こういう具合に,犯人の負け方がマヌケでご都合主義的な展開だったので,トリックにはあまり感心しなかった.とはいえ,前3回で,このドラマがミステリーものだという認識はとっくになくなっていたし,「より子!」とか,ミステリー以外の部分が面白すぎるから,トリックはもはや気にならなくなっていた.

そういえば,財宝はどうなったんだろう.財宝が見つからなかったら,朋美は呑気にタバコ吸って待ってたりしなかったと思うんだが.

(1999.04.11.記)(1999.08.22.修正)

風呂が嫌い

第3話で頭が臭いのが発覚した柴田,ついに第4話で,風呂に入っていないことがばれてしまう.

葉隠月への道すがら.

真山「お前いっつも風呂入ってないだろう」
柴田「いや入ってますよ〜」
真山「昨夜は入ってないだろう」
柴田「昨夜はちょっと忙しかったので」
真山「一昨日は」
柴田「さぁ…」

結局「いっつも風呂入ってない」が当り(笑).

その後,葉隠月のソファでの柴田と真山の掛け合いも面白かった.前髪の乱れ具合に気付いて途方に暮れる柴田,真山はその頭を覗いて臭いまで確認(うぇぇ).「イッてるよ,相当イッてるよ,ねぇ,ツムジのとこ」と大笑い.柴田の方は頭をはたかれて小声で「何ですか,痛いですよう」.

この辺までは,ただ,柴田,風呂が嫌いなんじゃなくて,単に刑事の仕事が面白く,かつ忙しくて,風呂を後回しにしてるだけだと私は思っていた.しかし,以下の2つのシーンを見ると,本気で風呂が嫌いなんじゃないかという気もしてくる.いずれにしても,既にTVドラマ史に残る変な女であることに違いはないんだけど.

その1:彩が風呂に行ったのに柴田は麻雀に付き合ってしまう.

その2:ラスト,午前3時なのになぜか二係にいて,「あ,お風呂…,まいっか」と言って寝てしまう.ちなみに,これ仕事じゃなくて,パズル解いてるんじゃないの? それともいわゆるプロファイリング?

何かと除菌除菌と清潔志向の強い今の日本で,このキャラクターは相当強烈.これを力一杯演じてる中谷美紀って,やっぱりすごい女優だと思う.多分,ある意味ヌードより勇気がいるのでは.

いや,単にみんな出払ってるだけで,実は午後3時だった,とも考えられるけど.何しろ地下3階だから,昼か夜かこれだけじゃ分からない.地下3階なのに携帯電話が使えるのは謎.

ツムジは多分フケがたまってるんだと思うけど,円形脱毛症の可能性もあり.『BeRLiN』繋がりで第一話より真山も円形脱毛症と分かる.前髪は枝毛が沢山なんだろうな.

(1999.04.11.記)(1999.06.19.修正)

愛人なんですか?

予告編でも出た柴田の一発ボケシーン.

朋美「うちの仲居の佐代子はご存じですよね.父の愛人なんですの」
柴田「愛人なんですか?
すかさず,思いっきり柴田をはたく真山.
柴田「いっ」
真山「シバタ」

やっぱりいいなぁ.

(1999.04.11.記)(1999.04.13.修正)

ビギナーズラック

旅館での麻雀.柴田,解説本を見ながら初参加(そんな時間があったら風呂入れ,風呂!).牌をすごい並べ方しながらも,お約束通りツキまくる.最初はリーチ一発清一三暗刻ドラ3&裏ドラ3.振り込んだ真山の「はぁ?!」がよかった(笑).

最後の上がりは,

柴田「えーと,キュウレンタカラノトウかな」
一同「九連宝塔?!」

私が大学のとき先輩に聞いた話では,麻雀劇画の世界では,九連で上がったキャラはその後死ぬ運命にあるとのことだった.それで,柴田の九連.まさかラストの伏線がこんなところにあるとは,改めてビデオ見て驚いた

柴田が見ている入門書は以下の本.「東大式」というのが選択のポイントか.表紙も派手で見栄えがするし.これさえあればあなたも九連だ!(関連性の錯誤)

井出洋介監修:『東大式・麻雀入門』,池田書店,1999.03.25., ISBN4-262-10731-0, \930+税

なお,最初の柴田の待ちは[一索][一索][一索][三索][五索][六索][六索][六索][八索][八索][八索][九索][九索]で,真山が振り込んだのは[四索].麻雀はPCのゲームしかしたことがない私の乏しい経験から言っても,この待ちでリーチかけるのはかなり素人っぽいし,[四索]振り込んじゃう真山は相当運が悪い.なかなかツボを押さえてある設定.

(1999.04.08.記)(1999.05.11.修正)


余談

真山徹の珍場面

第4話では真山もなかなか美味しい場面を見せてくれる.

より子って誰?

有給を取って自宅にいる真山を柴田が迎えに来る.ドアに手を挟んで,痛さでマンションの廊下で転げまわる柴田(幼稚園児か(笑)).冷たくあしらおうとしたら,都合悪くサバ男が登場.包丁とサバを手に「ナニ!」.彼を意識して真山の態度が一変.それで出てくるセリフ.

真山「大丈夫か? より子.な,吐いちゃえ,吐いちゃえ」

誰だ,より子って(笑).「吐いちゃえ」ってのも謎.BBSとかではあまり突っ込む人いないみたいだけど,実は真山の私生活って,女性関係はけっこうやばいんじゃないかという気がする.1話の「どーもでーす」女もあることだし.

その後,「Webダンナ様」「最初から上はダメだよ」掲示板で,『SWEET HOME』というドラマの野際陽子の役が「より子先生」だと知る.脚本は西荻弓絵だ.

花登筺

朋美と仲居の会話を立ち聞きした真山,いきなり謎のセリフ.

真山「恐えぇ,ハナトコバコみたい」
柴田「何ですかそれ」

「ハナトコバコ」は劇作家,脚本家の花登筺氏のことだと複数の方からお教えいただきました.朋美に仲居さんが苛められている状況が,氏の代表作,『細うで繁盛記』と似ているとのことです.当初渡部さんのアドリブかと思いましたが,脚本に当初からあった可能性もありますね.またはスタッフの誰かが急に思いついたのかもしれません.

関連サイト:テレビドラマデータベース

タンシチューの食べ方

葉隠月での夕食.自慢のタンシチューが配られる.真山,何のためらいもなくテーブル中央のバナナをとり,皮を剥き,無造作にバナナの先端をタンシチューにつけて食べる.このヘンなシーン,後でBBSなどで知ったんだけど,改めてビデオで見ると確かに笑える.

なお,真山は論外として,柴田,背筋を伸ばしてスプーンを手前から奥へ.テーブルマナーはできている.猫舌だし,かなり壊れているとはいえ,確かにお嬢様.その奥の彩は,ナプキンを首につけ,せわしく食べる.過剰に庶民的(笑).

真山徹リンク

真山/渡部篤郎専門ページが存在します.どちらも面白いのでぜひ行ってみて下さい.

WATABE STALKERS
ランさんの渡部篤郎専門ページ.渡部フリークによりBBSも盛況.
webダンナ様
イリアさんのサイト.「脱力系」というコンセプトが素晴らしい.
謝辞

4/13の更新で「ハナトコバコ」を「『花と小箱』は林正之の漫画」と書いていましたところ,翌日3人の方から,劇作家,脚本家の花登筺ではないかとお教えいただきました.どうもありがとうございます.不祥私,人名だとはよもや気付かず,検索エンジンで『花と小箱』がヒットしたのでそっちだとばかり思っておりました(一応漫画も当たってみますが,何かこの漫画自体が花登筺のパロディのような気がします).

また,5月には,2話で雅ちゃん弁当についてご指摘下さった方より,4話の,柴田がテーブルマナーができてる話を教えていただきました.また,その後もいくつか指摘をいただきました.葉隠月のソファ,確かに頭の臭い確認してますね.真山はジャンキーです(笑).どうもありがとうございます.

(1999.04.11.記)(1999.06.19.修正)



Written by Spangle Maker.