
第1話でいきなり「インポテンツ」発言にて視聴者に一発かました柴田/中谷美紀.第5話の下ネタはストレートに「チンコ」.しかしそんな何度も何度も言わんでもいいんじゃないか.悪乗りしすぎ.再放送で消されないことを祈る.
怒って帰っちゃった青井夫人に対し,自宅まで詫びにゆく.タクシーの中で野々村係長と柴田の会話.
柴田「あのー」
野々村「ん?」
柴田「チンコって,何ですか?」
野々村「柴田君…」
柴田「あれです」
野々村「あ,えぇ」
ビルの屋上で,照明に浮かび上がる「チンコ」の赤い文字.
野々村「ああ,ありゃぁ,パチンコの看板だよ.パが壊れてるんだよ」
柴田「何だびっくりした〜」安堵の声.しかしすぐ一段低く「アレかと思いましたよ」
野々村「柴田君!」
柴田「はい」

こりゃもう,ほとんど反則技だよ.すごい笑ったけど(汗).
それに,看板を凝視する中谷のギラギラした目が,何度見ても素晴らしい.
その後,事件の日に看板が直ってるのに気付く柴田,すごく下品な声で
柴田「あれ,あ〜〜〜」
真山「何?」
柴田「あ,い,いえ」
とりあえず,真山には「チンコ」と言わない柴田.怪しいねぇ.
一係から証拠のビデオを持って来て彩の部屋で見てる柴田.それを咎められて,
柴田「あ,そうだ,すいません,どうしましょう」
彩「じゃぁダビングしてあげるから,オリジナルは明日こっそり返しに行き」
柴田「はい」
といいつつ,画面上の何かに気付く.
柴田「チンコ」
彩「は?」
柴田「チンコか〜」不気味な笑い顔
彩「あかん,イッてもうた」
だから,何もそこまで熱演しなくても(汗).
柴田の謎解きに憤然とする鷺沼.
鷺沼「でっち上げだよ,まただよ.確かに,君の言う通りにすれば同じビデオが作れたろう.しかしそれこそが嘘だよ.真実を見ろ.大衆が,自分より優れた小数を認めたくないんだ.その歪んだ気持ちが,超能力の存在をインチキだと落しめて糾弾するんだ」
柴田「私,超能力ってあるんじゃないかと思っています.でも,このテープはインチキです」
鷺沼「馬鹿馬鹿しい.何か証拠でもあるんですか?」
柴田「ちょっといいですか? よいっしょ」
デジカムのテープを入れ替える柴田.
柴田「そういえば,鷺沼さんの予言,ひとつだけ当たりました.欲しいものが手に入ったんです.チンコ.このビデオがインチキだという証拠です.窓の外にチンコって看板が見えますよね」
夜景の見える窓に向かって歩く柴田.
柴田「見て下さい.あ,皆さんもいいですか? ほら,パチンコ.看板が壊れてパという文字が消えていたんです.でも,事件があった日には,もう直っていました」
ビデオの液晶を指して柴田続ける.
柴田「ほら,この通り.この時看板はパチンコなのに,このあと急にチンコになってしまいました.事件があった瞬間看板はチンコではなくパチンコでした.つまり,このビデオは編集されたインチキだということです.これが,私の欲しかった証拠です」
さらに,
柴田「自称超能力者がインチキをするから,本当の超能力が市民権を得られないんじゃないでしょうか」
ここまでが柴田のチンコ発言のすべて.もう数えるのがヤになるぞ(笑)(7回).だいたい,デジタルビデオなんだから,編集の形跡なんてすぐ分かりはしないか.

「欲しいものが手に入ったんです.チンコ」じゃ,柴田がすごく欲求不満みたいに見える.いや,わざとそう見せているはずだ.それを解消してくれるのが純愛の末に結ばれるダンナ様しかないと本気で思ってる.そこで,いつもダンナ様ダンナ様とかまびすしい.最初は古風な結婚観をもった貞淑なヒロインと思ったのだけど,実際は本音を隠さず言っているのだと分かる.このキャラクターは,一方では古風なヒロインのパロディだし,もう一方では,フェロモンとかの系列とまた違ったセクシーアイドルなのだと思う.というか一つの匂い系だからフェロモンはフェロモンか(笑).
鷺沼の「欲しいものが手に入りますよ」という予言,柴田は当たったと思っているようだが,本当はこれ,当たっていると判断できない.というか,そもそもまっとうな予言ではない.これは「後付けの予言」といって,詭弁の一つ.
鷺沼は何が手に入るか,いつ手に入るか,そういう具体的な情報は何も言っていない.だから,「チンコ」の看板でも,コンサートのチケットでも,95年ごろのIBM ThinkPadのチラシでも,何かしら欲しいものが手に入ったら,それで当たったことになってしまう.だから,これはほとんど外れようがない.そして,話の内容に具体的なものがないため,この手の予言は情報として役に立たないことも特徴だ.特にこの「役に立たない」ことは強調しておきたい.例えば,「雨が降りますよ」という予言は外れようがないが,いつ降るか分からなければ出かけるとき傘を持ってゆくべきかどうかの判断に使えない.
逆に,予言を言われた方は,そういったものが手に入った段階で,その予言を「当たった」と判断してしまいがちだ.特にものものしい雰囲気の中で言われたり,テレビなどマスコミで言われたり,不吉なことを言われたりした場合.街角で占師が「あなた,凶相が出ていますよ」と言われるシチュエーションは,ドラマや映画や芝居では,まず間違いなく,当たる予言として扱われる.現実にも,不吉な予言は「そんなん後付けじゃん」と聞き流せる人はそんなに多くないと思う.少なくとも気分が悪い.そして,自称超能力者とか一部の高名な占師とか破壊的な宗教カルトの教祖とかは,そういうのを利用して自分の権威付けに利用することが多い.
後付けの予言が情報として役に立たない例といえば,ノストラダムスの予言も典型的だろう.多くの研究者が,過去に彼は実に多くの予言をしてきたと解釈しているが,その解釈手法をいくら応用しても,未来のことが適中した例というのが可哀想なぐらいない.詳しくは山本弘:『トンデモノストラダムス世界』(洋泉社)などをご覧いただきたいが.もちろん,1999年7月に恐怖の大王なんて来なかったのも皆さんご存じの通り.
ドラマの話の戻ろう.興味深いのは,柴田の解釈.最初は「ダンナ様」が手に入ると言っていたのに,「チンコ」看板を見つけたことの方をとって,予言が当たったと勝手に決めてしまっている.「後付けの予言」の胡散臭さとそれを信じることの滑稽さがさりげなく描かれている.脚本の西荻さんのことがただ者ではないとこれで思った.この話は,TVのヤラセをTVドラマで描くという大胆なところだけでなく,オカルトに対して非常に批評的な目を持っている.2話でも少し触れたが,世間に対する批評的な視点はこのドラマの特徴の一つだし,高く評価したいと思っている.
5話では,柴田の思い違いはもう1ヶ所でてくる.「眠るの忘れてて気絶してました」のシーン.柴田は係長に期待されている,信じてもらっていると勝手に解釈して,24時間モードで捜査に邁進.しかし,私,係長のあのセリフって,柴田父が係長の失敗を許してくれたように,係長も柴田の失敗を許してあげた,ってだけのことのように聞こえる.あのセリフから,「柴田君は真実を求めてひた走れ.君なら必ず真実をつかめる」といった積極的なニュアンスは感じられなかった.どうだろう.あと,「信じてもらってるんです.初めてなんです」で暴走しちゃうのって,某シンジ君のパロディじゃないかと,フト思う.
(1999.04.18.記)(2000.02.20.更新)
喫茶店での聞き込み,鷺沼に手を握られ,怪しい雰囲気になった真山(この組合せ,同人誌で出そう.大体,「あんた,人殺すよ」ってのは,予言じゃなくて口説き文句じゃないの?),その後現場を訪れる.現場で死体のあった場所で寝てる柴田を見つけて,
真山「勝手に行動すんじゃねーよ,問題児!」
柴田「ああ,真山さん」
真山「勝手に休むなよなぁ,係長心配してたぞ」
柴田「あ,いけない,もう朝ですか?」
真山「もぅ夕方だよ」
柴田「ああ眠るの忘れてて気絶してました」
真山「それは寝てるんだって」
いいボケだなぁ.
ところで,あんな所で一日寝ていて,よく風邪引かないものだと思う.1話じゃ寒がってたけど,柴田,本当は寒さに強いらしい.やはり風呂に入らないと,皮膚が丈夫になって寒さに強くなるのか.単に厚着してるせいかもしれないが.今時,女子高生なんか冬でもミニスカに生足だってのに,ロングスカートに黒タイツに三折りソックスなんだから(笑).
(1999.05.20.記)
第5話の柴田の読書は少女向け占い誌『My Birthday』の1999年2月号.占いを本気にして,運命の出会いを求めて北へ.東京駅から噴水公園まで来ていて,警視庁を一瞬見るものの,複雑な表情を浮かべたのち,結局北へ向かって行ってしまう(コンパスで確認してるので,正しく北方,内掘通りを大手町方面に歩いてゆく.ちなみに柴田は山羊座.中谷と同じ).
『anan 』の占い特集とかでなく『My Birthday』というのがツボを押さえているが,既に出来上がっている柴田のキャラクターからしてさほど意外性はない.しかし,これだけでこのドラマのギャグは終わらない.
場面変わって翌日の二係.野々村課長まで読んでるぞ,『My Birthday』.それも本気で(笑).竜雷太の円熟の演技力と相まって,これは美味しい.さらに翌日の「波を変えたんだよ,波を」も何か説得力あるし(確率論を知ってれば,これが単なる思い込みだと分かるね).
これを聞いた柴田,「波かぁ,なるほど」といいつつ,なぜか真山を見る.「運命の人」で警視庁を見上げた時の複雑な表情と合わせて,柴田の怪しい心の動き.
(1999.04.18.記)(1999.05.09.更新)
第5話は早乙女管理官(そして多分中味は朝倉)がちょっといいシーンを見せてくれる.
青井さん殺害事件で駆けつける捜査一課一係の面々.真山,柴田を見つけて,
早乙女「また君達か」
柴田「こんにちは」
早乙女「あのな〜」
真山,黙ってTVカメラとスタッフを指差す.途端に一係の態度が一変.
早乙女「ご苦労様です」
真山「ご苦労様です」
早乙女「何か分かりましたか?」
謎解きの場面,青井さん殺害現場にて.
柴田「それからもうひとつ,この部屋には一ヶ所だけおかしなところがあるんです.昨夜のうちに皆さん散々,現場検証しておられたので,もうお気付きかもしれませんけれども」
早乙女「確かに変だと思っていたよ」
林田「とっくの昔だ」
真山「え? 何だろ」
早乙女「柴田君,こいつに教えてやってくれ」
真山,夕方にとっくに柴田に教えてもらってたのに,うまくすっ呆けるね.そりゃそうと,本当に気付いているのか? 管理官,いや,朝倉.林田君も.
あと個人的に「6チャンだ6チャン!」も好き.もちろん朝日放送ではなく,TBSでもなくTTSという架空のTV局.
いや,あるんだこれが(笑).YOU-SEAさんの早乙女倶楽部.一度行ったら,忘れられないこと請け合い(笑).
(1999.04.18.記)(1999.08.04.更新)
デジカムのヘタクソなビデオ編集は鷺沼の命取りの一つとなった.よくよく考えてみれば,最初から20分間倒れている映像を用意しておいて,デジカムに元からあったテープと入れ替えておけばよかったのだ.
こう思うのも,どうも前田は共犯だったのではと推測するため.
真相は知らなかったかもしれないが,鷺沼が倒れること,それと,デジカムをあの位置に置くことは指示を受けていたはずだ.なぜなら,鷺沼が事前に用意しておいたテープと,画角が同じになるようにデジカムが置かれていたから.
鷺沼が超能力でデジカムをセットする位置を予測していたという仮説も考えられるが,実在するかあやふやな超能力を根拠にするより,前田もグルだと考える方が無理がない.
そこまでやるなら,もっといい細工があったはずだ.どっちにしろ,「チンコ」の看板でバレることは一緒だけれど.
パチンコの看板はかなり大がかりだ.『ケイゾク』は意外に予算のあるドラマだった.
冒頭,タクシーから見えたシーンでは,ここに掲載してある写真のビルに設置されていた.ご覧の通り,普段は屋上には看板などは特にない.
オープニングで何カットかこの看板が出るが,よく見るとパイプ足場で台を組んであり,そこに赤く塗った板を張って,(パ)チンコと書いていた.ネオンのように見えたのは,沢山のライトで照明していたためだ.
もっとよく見ると,看板の下に布幕が垂らしてあるのが分かる.そこには「ケ イ ゾ ク」と書かれていた.何しろこのビル,交通量の多い首都高1号線および海岸通りの脇にある.番宣だ.それと,「ケイゾク」チームの心意気の現れ.
謎は,最後の謎解きのときに,ビルから見える文字が鏡像になっていたこと.現地に行って,事件のあったビルと看板のあったビルの位置関係を調べたのだが,文字の反転はありえないことが分かった.とすると,一度解体して,わざわざ鏡像に設置しなおしたらしい.どうしてそんな手間のかかることをしたのか,これが分からない.
番組を見直すと,どうも謎解きの際見える看板は,別の建物,多分ロケ地である平和島の某商業施設にある倉庫か何かの屋上に設置してあったらしい.このとき,わざと文字を鏡像にしたようだ.ロケ地そのままの地理条件を改変して,架空の世界を作るためということなのだろう.身も蓋もない言い方をすれば,タクシーのシーンと謎解きのシーンと,両方に使える都合のいいビルがなかったということか.オープニングで映る看板も,もしかしたら,こちらの方なのかもしれない.
(1999.08.11.記)(2000.02.19.更新)