タ〜リホ〜!! Mr.ハンキー,クリスマスの精だよ!!! とかん高く叫ぶまでもなく,クリスマスイブである.聖誕祭なのである.しかるに,この日のTBSはケイゾク特別編であった.電波は来ませり.
で,率直に言って面白い.前半のコメディ路線など無茶苦茶飛ばしているし,後半の,映画への期待を盛り上げる謎めいた展開もよい.むせかえるような堤さんの濃厚な演出もよいし,生瀬勝久,手塚とおるという濃いゲストを迎えてもまるで褪せないレギュラー陣の熟練ぶりもよい.
で,植田プロデューサーの内なるケイゾク世界の真正面からの解読は,ほかの皆さんがたがやってくれると思うので,ひたすら細かい世界にこのページは立ち入ってゆきたいと思う.柴田純というキャラクターが何故かくも善良な市民を惑わすのかがここでは最大の関心事なのである.では,さっそく行ってみよう.
帰ってきたケイゾクは本編以上に小エロネタ満載で,スキップ真山など痛いほどよく分かるシーンとか油断ならない.柴田にしてもこうだ.
意識は戻ったが二係にいたときの記憶がない柴田.ベッドで半身起こし,窓辺で風に髪をとかれるシーンはなかなかステキ.そして,記憶喪失が明らかになるシーン.無防備にはだけた寝間着,そこに覗くババシャツと胸元の白い肌がなんと眩しいこと.ドキドキ.
小田急のバスで八王子西署に初登庁.しかもいきなり遅刻.このとき読んでいる本は以下.
別冊離島16,『LOVE & SEX白書2000』
最初別冊宝島かと思ったが,こちらのNo.16は『精神世界マップ』.架空の本.音読部分の解説文のイカガワシサがたまらない.ぬいぐるみを使った本編の写真とか.
で,あえぎ声とか息を止めて鼻血出してるとか,まぁ,お約束のネジ緩んでますシーンもさることながら,ここでは「ブリリアント」と「自首してくださ〜い」の声の色っぽさがよい.少年Aの漫画の方だと,ここで「痴漢初体験だわ」なんて感動していて真山にシバかれていたが,そういうのはうざったくて切ったらしく,その分声に艶を載せたらしい.
なお,あの不幸なオジサンは,ホントは強制わいせつは問えず,迷惑防止条例の方に引っ掛かるはず.まぁ,相手が悪すぎたと.
いきなり居眠り.中庭でテコンドー(オフィシャルサイトのBBSより)の練習中の警官の声が聞こえてかどうか,「いや!,いや!」と悶えだす.
上官の狼藉に動じない八王子西署の方々.さすが,組織がしっかりしてますな(しすぎだって).
金太郎が勝手に新聞に載せた写真について,感動してやってきて今井婦警のおなかにスリスリしていた柴田.そういえば浜松方面のイベントで妊婦の方がいたら手を挙げて下さい.あとで楽屋でお腹触らせてください,と言った女性歌手がいたとかいないとかというのはいいとして,犯人が桟橋に必ず現れるから張り込みだといきまく.声質とか顔のニヤケ具合が本編3話の「張り込みの準備をしなくちゃ」を髣髴とさせる.でもまだ少し柴田になりきっていないと思う.特別編の柴田は全般に声が高い.本編じゃ声がもっと低くなかった?
で,「この足で,犯人を追い詰めてみせます」と言って巻きスカートの隙間から足を出すと,なんと生足に黒ブーツ! やはり二係の人々を驚かせようという柴田なりのギャグだったのだろうか(「ほら,真山さんだよ」の後だから朝倉の影響かもしれないけど).周りのリアクションがさっぱりだったけど.それどころか,係長に諭されて帰っちゃうし.
っと,ここで漫画読み直して気がついた.真山のセリフ,
真山「おい兄弟,行くぞ」
と聞こえて,金太郎もずいぶん突然二係に馴染んだもんだとか,真山もずいぶんフレンドリーになったなとか思ったんだが,
真山「おい京大,行くぞ」
だったのね.危うくまずい想像してしまうところだった.
ヨットハーバーでの張り込み.青い柿ピーが効きだした頃にまさにタイミングよく柴田が来る.
柴田「缶詰と…,ハーブティーです.柴田スペシャルIIです」
真山「いらねー」
柴田「そんなこと言わないで飲ぉんでくださいよぉ」
柴田,真山にすりよって体をよじよじする.
真山,突然股間をかばうような動き
真山「俺のプライドが,柴田で?」
横では遠山が不思議な踊りを踊っている.
漫画で読んでいたにもかかわらずやっぱり笑った.「プライド」って言葉にそんな使い道があったなんて(笑).津川雅彦もびっくり.
それにしても,差し入れが缶詰っていうのが,夜食にお歳暮感覚という柴田らしいボケ具合で嬉しい.山口百恵のコンサートに行ってプレゼントにカニ缶とマヨネーズ渡してしまうちびまる子的センスでもある.記憶喪失なのになんで柴田スペシャルがII型になっているかは謎だが,きっと青山のサン・テュールの人が覚えていたんだろう.
夜中の犯人分かっちゃったんですけど発言のあと突然帰っちゃった柴田.翌朝,多数の容疑者を取り調べるも埒が明かない捜査一課の皆さんのところへ戻ってくる.「色々と準備もしてきました」と言ってるんだが口がちゃんと動いてないぞ.
林田「おい,柴田署長にお引き取りいただけ」
二人の警官(男)が柴田の両腕をとり連れ出そうとする
柴田「え,な,なに? や,放してください,やぁ! そこはだめ,ああ,だめ,いぃ,あぁ」
いくらなんでもそんなヤバいところは触らないって.警官だってプライドがあるんだから(笑).というか,つまみ出されるシチュエーションに合わせた,柴田独特のギャグなんだろう.
死のダンスといってもSWEEPにプラ弾打ち込まれているわけではない(笑).
中田の返り血を浴びて,真の敵の名前を思い出した(思い出すよう仕向けられた)柴田.天をあおいで,
柴田「あ・さ・く・ら〜」
この後,上着を脱ぎ,白いブラウスになって,踊るようにフラフラと,歩きだす.遠目に写すカメラは中谷の均整のとれた姿態を描く.血に染まった顔とブラウスの肩口が視聴者のアドレナリンを分泌させる.そして中田の死体のそばにひざまづき,いたわるように顔をその死に顔によせ,首のナイフを抜き取る.中田の口からあふれるどす黒い血.ふたたび踊るように歩き,天に手を伸ばし,自らの首にナイフを突き立てようとする.
朝倉の暗示によるプログラムされた死.それがまさか柴田に訪れるとは,意外だった.プログラムされた死というパターンは,本編9話の,目黒の「どんなときも♪」がキーになって発動したものと同じ.今回のキーワードは「朝倉」だった.
そういった自殺を誘導する暗示なんてものが実現可能かとかいうのは置くとして,このシーン自体は,音声をカットし,ピアノのBGMで観せるという抑制の効いたもので,くどさがなく,見ていて引き込まれた.
このあと真山の「モモンガダイブ」(笑)で怒濤のラストシーンに至る.こんなときもギャグを忘れない真山さんが素敵.漢である(もっと違うところで感動しろって?).
真山「ちょっと,背中痛いんだけど,正露丸持ってない? 正露丸」
いくら正露丸でも効かないよ(笑).
このあと映画があると分かっているので,視聴者のほとんどが,あそこで真山が死んだとは思っていないであろうことが,ちょっとネックかもしれない(笑).でも,本編の柴田の死の対として,いわばドラマの型式美として,この真山の死のシーンを堪能したであろうことは確かだと思う.そして,私にとって,この辺のシーンの作りの良さが,映画への期待を多いにふくらませてくれた.
なお,関東地方では,真山スキップ直後のCMでモモンガが女性に「モモンガァ」ってメールを出すシーンがあった.真山のダイブは,どうもこれのパロディらしい.
また,TBSなのでウルトラマンという声もあった.
(1999.12.30.記)(2000.02.19.修正)
よくよく考えると,柴田っていつも恐かったような気がするが,特別編は意識して恐くしている.
これは漫画にもあるから,西荻さんの脚本に当初からあるはずだけど,それだけに意味深なセリフ.あまり友達関係に恵まれていたと考え難い柴田であるから,この辺のことに凝っていても不思議はない.
柴田「私の経験から言うと,呪いって一度も効いた覚えがないんですよね」
特に特別編では,漫画の同セリフから「覚えがないんです」に変えられていて,高成はちょっと引いてるし,カメラワークも高成を本棚に隠して柴田1人にしてしまって,恐さ倍増.
なお,呪いといえば,プロの黒魔術師の筆によるこの本がお薦め.
稗田オンまゆら:『ニクい男、イヤな上司の呪い方教えます』,徳間書店,1994.
線路際,足元で鈴をならしている三毛猫.電車が通過するときの光の明滅と騒音で,突然柴田が錯乱.気がつくと猫がいない.そして柴田の手には吉川線が,線路のフェンスには,ひっそり血のしたたる鈴がぶら下がっている.
やー恐い.この後朝倉が登場するので,これが朝倉にかけられた催眠か何かの効果であることは確か.本編1話の冒頭,真山がカラスを絞め殺すのとちょうど対になっている.しかしカラスが死んでも嘆く人は少ないと思うしやる方も真山ではそうショックではない(だいたい1話のあれがそんなに深く考えてあったとは思えない).これが柴田で猫でとなると,朝倉の謀略の恐さがひしひしと伝わる.
そもそも意識が戻ったのも記憶喪失も朝倉の策略なんだが,ここで柴田が朝倉に操られていることが示唆されただけに,この後のシーン,真山に公衆電話でコンタクトする(『ダーティーハリー』を思い出す)とき,電話をさしむけて「真山さんだよ」と話すその先にいたのは,もしかすると柴田かもしれない(多分違う).虫の声がするのは何だろう.
(1999.12.30.記)
本編からして中谷はいろんな顔してたけど(1話じゃ本上まなみが入ってたような),特別編だと時々それ柴田違うんじゃないのというぐらい顔が変わってた.高成連れて二係に最初に来た時の顔は常盤貴子風だったし,「この足で」あたりは原田知世が入っていた気がする.気のせいかもしれないけど.
(2000.02.20.記)
本編10話の壺坂のハワイ土産以来,壺坂&彩というとパイナップルが必須アイテムとなったらしい.特別編では冒頭の病院で彩がかぶりついている.広告紙の前掛けのチープさが堤演出の味わいのひとつ.ただ,絶対ベロ痛くなるよな.あれ.
「裏裏」「ベッカンコ」は藤子不二雄先生の漫画『ジャングル黒べえ』から.
警視庁に初登庁のバスにて,宮古島の学生に世界史を教える(がデタラメ)遠山金太郎.とうぜん本編1話,2話の冒頭のパロディ.その辺はお約束だけど,「国家権力様,大うそつき!」でカメラ振ると,ガーっと寝てるタイミングは笑える.おまけに「字幕:戸田菜津子」と来るから,もう大変だった.
洋画の女帝,戸田奈津子先生がギャグになっていることにピンと来ない方は,例えば以下のサイトとそのリンク先など訪問されたし.今回トゲのあるギャグ多し.
Official Fabulous Barker Boys HomePage
学生が宮古島出身なのは,映画のロケ地が宮古島だから.
警視庁だとされる,お台場某ビルのロビー.西麻布嫁姑連続殺人事件の容疑者逮捕に出動する二係の面々(でも逮捕状取れてないよなぁ).そのロビーのシーン,一瞬だが,ガスマスクをして,カナリヤの入った鳥籠を持って歩いている警官がいる.TBS的に非常にヤバいオウムネタ.「Webダンナ様」の掲示板より.
塩川管理官の携帯電話.米俵のキーホルダーがぶら下がっている.遠山金太郎が「おい! うそやろ」(推定)と口パクする.それもそのはず,先のバスで読んでた『BIG tomorrow』誌のアヤシゲな通販の宣伝(堤さんらしき人も写っている)に出てる商品がこれだ.柴田が『My Birthday』なら金太郎が『BIG tomorrow』という対決のさせ方も上手い.
八王子西警察署の穂模野交番(またダイレクトな名前を…),柴田署長を迎えに来た副署長一行は,柴田が高成とどこかへ消えてしまったことを知り騒然とする.怒った副署長は「貴様,免許センターへ飛ばしてやる!」と一喝(免許センターに失礼だよなぁ(先日ゴールドカードもらったのでちょっとかばう)).また,交番の奥には手を紐でぐるぐる巻きにされた痴漢のオジサンがいた.彼にも副署長の怒声が飛ぶ.
副署長「貴様,署長触っておいて,二度と娑婆の飯が食えると思うなよ」
カメラが引いて,声と効果音が街の空に響く.
副署長「気をつけ! 歯くいしばれ!」ボカッ,ボカッ.
1999年,一連の神奈川県警の不祥事が明るみに出,他の警察署の不祥事も何件か報道されるようになり,はからずも,SWEEPが実在しないことが明かになった.ここで,恐らく学生運動はなやかりし頃に学生時代を過したことに根を持つであろう,反体制の人,堤幸彦監督,普段から警察やら自衛隊やらを頼もしく描いたことがないだけに,ケイゾク,それも特別編にいたっては,もうやりたい放題である.さすがに露骨に暴行シーンを写すことはなかったけれど,「気をつけ! 歯くいしばれ!」って,あんたは旧軍の古参兵か(笑).
金太郎と近藤をもてなす秋川市伊佐野村物置殺人事件の関係者の皆さん,もう,情け容赦ない田舎者ぶり.私の知る限りどんな田舎でも猟銃もって客人もてなしてるうちはないと思うんだが.市街地からさほど遠からんところで小用を足そうと桑畑の端に車を止めたら,すぐそばで猟銃もって犬連れて,獲物ねらって歩いているおじさんがいたことはあったけど(群馬県).
この地方の方々の描き方は,『サイコメトラーEIJI』5話の長野県警の皆さんとそっくり.毛皮のチョッキや防寒帽,猟銃も.『ケイゾク』では毛皮のケースに入った警察手帳ってのはなかったけど.堤さん,地方在住の方々に何か恨みでもあるんだろうか(笑).
ここでの近藤警部補の「アホや,ホンマもんのアホや」というセリフはさすがにネイティブの関西弁になっていた.出身地がいつの間にか栃木から関西に変更になっているのかもしれぬ.
遠山の決めセリフの一つ.遠山の推理はハズレまくりだが,彼が「犯人はこの中におる!」と言ったシーン,全部ホントに犯人がいた.ニクい台本.
すでにあちこちで指摘されてるけど,ヨットハーバーでの「犯人はこの中におる!」発言.すかさず真山が「当り前だろ!」と遠山の頭をバシっと叩く.それを見ていた柴田がなぜか自分の頭を押さえて痛そうにしている(笑).叩かれ慣れすぎて他人のことも自分のことのように思えてしまうわけね.身に覚えがあるようなないような.そこまで徹底してキャラ作り込むか.
(1999.12.30.記)(2000.02.20.修正)
八王子西署の副署長,斑目重友(カメラマン)さんと同様,スタッフの人(演出補佐).
少年Aの漫画では金子文法で,本編3話と7話の演出,金子文紀氏から拝借.
八王子西署の警部補.丸刈りで副署長の次にエラそうだった警官.麻生学さんと同様演出補佐の人.
動物行動学の学者で著作も多数の竹内久美子先生と同姓同名.偶然の一致かもしんないけど.著作は『男と女の進化論』(新潮社1990年)や『小さな悪魔の背中の窪み』(新潮社,1994年)など.前者はと学会編『トンデモ本 女の世界』(メディアワークス,1999年)P.254-259,後者は同『トンデモ本の世界』(洋泉社,1995年)P.59-64に解説あり(その筋では有名な先生).
武内久美子先生の死体を前にした遠山金太郎のセリフ,「遅かりし,内蔵助や」は,江戸時代に書かれた『仮名手本忠臣蔵』の中の有名なセリフ.とはいえ,原典は赤穂浪士の忠臣蔵のパロディなので(でないと反体制的とされて規制された),「遅かりし,由良助」の方が正しい.
どうでもいいけど,そこまでセンスが古いか>金太郎.
(2000.01.03.記)(2000.01.27.修正)