【り】


リング,ポニーキャニオン,角川,1998.

都市伝説と昔の超能力騒動を組合わせたホラー作品.鈴木光司氏による同名の小説の映画化.

都市伝説が実は事実でした,というホラー映画は数多く,特に目新しいわけではない.ただ,多くの作品が既存の都市伝説を扱っているのに対し,この作品では,「見ると必ず死ぬビデオ」という都市伝説を創造した点が評価できる.実際に,小説がヒットした後,ビデオの話は本当に都市伝説として流布したらしい(東雅夫:すべての怪談は"不幸の手紙"から始まる!,『恐い話の本』,別冊宝島268,P.69〜78,1996.07.14.).

もう一つ,昔の超能力騒動の元ネタは,御船千鶴子と福来友吉博士の騒動が,明らかに基になっている.概要は例えばと学会編『トンデモ超常現象99の真相』(洋泉社,1997.)P.286〜289参照.

小説は未読だが,映画はまぁそこそこのホラーになっていた.貞子に殺された死体の形相が何より恐かった.嫁さんは他のシーンも恐かったようだが,私はむしろ笑って観ていた.やっぱり変なのだ.この映画.

真田広之の超能力者だけで事件の真相が判明してしまう.
『サイコメトラーEiji』の松岡だって,この超能力では断片的な情報しか得られないのに,この映画では,真田広之が爺さんに触るだけで何もかも分かってしまう.回想シーンのあと,相変わらず爺さんの手をつかんで,真顔で「そうか!」なんて言っている真田広之.思わず「おいおい,それはないやろ」とお約束のツッコミを入れてしまった.
台風で大波の中わざわざ漁船で出港.
しかもすぐに翌朝になって無事熱海?に着いている.船の揺れがあんなんで済むわけないし,誰も酔わないし,とにかく海をなめ切っている
古井戸の水をバケツでかい出す.
それも,大型のポリバケツに水を満タンにしたのを,ロープで引き上げて.リポDのCMでもまずやらない筋肉バカなシーン.さすがJAC,って,引き上げてるのは松嶋菜々子の方だ.これを何時間か続けて,井戸の水をかなり減らすわけだが,いくら松嶋菜々子でもそんなに体力が続くわけがない.とにかく,水の重さをなめ切っている

あと付け足すと,日産ファンとしては後期型のB14サニーが疾走してるのは一応見所.バネが柔らかいのがもろ分かりでちょっと悲しいが.

中谷美紀は真田広之の教え子として登場(つまり,真田広之は超能力者なだけでなく,教え子を次からつぎといただいている美味しい役).しかしほとんどちょい役なのに,なんと松嶋菜々子の次に名前が出るのでびっくり(本当は『らせん』も含めての順番らしい).

関連サイト:日本ホラー映画データベース内の『リング』のページ

(1999.04.04.記)(1999.05.16.更新)

リング2,ポニーキャニオン,角川,1998.

『らせん』の評判がメタメタだったためかどうか,オリジナルストーリーで『リング』の続編が作られた.主演は『らせん』と同じく中谷美紀.

いきなり私の評価を一言で.1998年度カックン映画1位.中谷はいいんだ.アイドルでチョイ役と思った深田恭子が,きっちり<あの>死顔まで披露したのも好印象.だけど,それ以外はちょっと….

『リング』の面白さを振返ると,松島菜々子とその息子と真田広之の主要キャラ3人が全員呪いのビデオを見て,あと1週間の命となる,スリリングな状況設定がまず挙げられる.それに,呪いのビデオ本体の素朴な恐さ.これに福来友吉博士由来のエピソードをからめて,分かり易く骨太なプロットを一本通してある.骨太なプロットゆえに,ラストのどんでん返しも効いていると思う.

『リング2』では,中谷は結局呪いのビデオを見ていない.精神病院でのオカルト大好き先生(その名も川尻先生!)の研究をひっかきまわしているだけの役回り.ストーリーも『らせん』なみに見通しが悪い.また,『らせん』で露呈された原作者鈴木光司以下制作陣の科学音痴ぶりについてもまったく反省がない.水にエネルギーが注がれるとかの現象を,浸透性の増加という分かりにくい現象で説明しているのがセンスがないし(どっかのインチキな健康グッヅの実演みたい),<そのエネルギーを患者から全部抜き出せば治癒する>という論理も幼稚.せめてそれが実証されるシーンを置くべきだった.クライマックスの恐怖シーンも実にあっけなく,物足りない.

中谷美紀は主演なのに,やたら地味な格好が印象的だった.グレーのカーディガンに黒タイツというと,あとロングスカートと黒いマフラーで柴田純に到達だ.その地味な格好が似合っているというか,似合うように役に没入しているところはさすがたと思った.そういえば,小森愛のビデオ付き写真集のビデオの方で,小森が自分のどの服を着て見せても「地味」の一言で片付けられてしまうのを思い出した.そういう地味系のヒロインというのは,それはそれで需要があると思う.

伊藤園の1999年春のCMでは,中谷が縁側でお茶を飲むシーンがある.伊藤園のサイトによると,実は,この縁側は,三宅島の貞子の実家として使われた場所(武蔵野にあるとか)だと分かった.中谷はここの2階で,死ぬほど恐いシーンを撮影したというので,CMは1階と聞いてほっとしたとか.いくらなんでも観客以上に役者が恐がってるとしたら,どんなすごいシーンかと思ったら,確かに恐かった.絶叫系ではなく,怪談系.確かにこれは出演者も恐がるよな,と納得.こういう,物量に頼らない恐怖シーンは素直に感嘆する.『リング2』に必要だったのは,こうしたシーンを引き立てる骨太のプロットだったと改めて思う.

(1999.08.18.記)



Written by Spangle Maker.