実にストレートなタイトルのサイコホラー映画.内容もその関係のステロタイプ満載.でも,この映画はけっこうお薦めできる.映画のスタッフはこの映画が「嘘っぽいよな」というのを十分分かっていて,むしろ嘘っぽさをわざと強調している.ホラーだからと恐さばかり強調するのではなく,娯楽としてトータルの見応えを提供しようとしているのだ.恐さにこだわる余りいらんところで馬脚を現して破綻するよりはるかに評価できる姿勢だ.こういうのを観ると日本映画も捨てたものではないなと思う.
何やら後半でもっと「愛してくれれば」とか「子供を大切にしないと」などと分かったようなセリフが出てくるのだが,これもぜんぜん信じて言っていない.もしかしたら原作と脚本はそういう教訓的なメッセージをマジで考えてたかもしれないが,映画ではそれをサラっと流してしまっている.そんな教訓など誰も期待してないのだからその態度は極めて正しい.
役者も実にいい.美貌と狂気の同居したヒロインとして,菅野美穂はまさにはまり役.稲垣君も演技はなかなか.菅野にコロっとだまされたりして,気取ってなくてよい.永瀬正敏はしばらく見ない間にフケたなと思ったら宇津井健.逆に,『赤い疑惑』から思ったほどフケてないのでビックリ.
ネズミ男の先生はいきなりルドビコ法でびっくり,と思ったら内容的には『セブン』に近かった.
とここまで書いておいて追記しておくと,どうも精神医療に関して下世話な偏見が野放しになっているのは気にかかった.拒食症で入院すると催眠術によりセクハラされるとか,精神鑑定人の精神科医が被疑者でもない相手に「芝居はよせ!」と詰問するとか,多重人格の一つがほとんど悪霊だとか.だから,この作品は作り手の偏見の発露具合を観察できるという意味でも娯楽性の高い映画である.
(2000.02.06.記)(2000.02.07.更新)
浅野温子主演のフジテレビのドラマ.これは本編終了後,97年春に放映された2時間枠のスペシャル版.レンタルビデオ店にわりとよく置いてあるようだ(私も借りて観た).
要するに心理サスペンスで,浅野温子演じる,自身も精神を病んだ妙子が,異常犯罪を解明してゆく,といった話.概要だけ聞いて特に期待するものはなかったのだけど(だってこういうフィクションより春日武彦先生などの実話の方がよほど面白い),脚本の出来がよくて,最後まで一気に観てしまった.
まぁバラしてしまえば,中谷美紀目当てだったのだが,こちらも大満足.一番の悪役が中谷美紀で,草薙君もデスラー総統も,シロツグ君まで兄弟だったというすごい展開.中谷,若いのに変な女が板に付いてるし,やばいセリフも何ら照れなく決められる.当時21歳にして既に見事な実力を発揮.そしてほとんど正統派のスクリームクイーン.
番組後半で真の悪役として登場する中谷美紀.髪型は当時の「砂の果実」のビデオと同じくショートカット.黒髪に黒の革の上下.黒い口紅.黒いまゆ毛.これらが真っ白い餅肌を引き立てる.主役と同じ画面に映るのはほとんどそれだけで残酷.
女優をこう誉めていいか分からないが,肩幅が広くて骨格がしっかりしているせいか,革ジャンがよく似合う.それで,手に持つのが,ナチスの収容所の看守が使ってたかもしれないような短い革のムチ.これで浅野温子をバシバシひっぱたく.思わず,浅野温子になりたいと願った人は,私だけではあるまい.
というわけで,脚本と役者の人選が際立った,見応えのあるドラマだった.
草薙君が載っていた車について,BORASHI!さんからメールをいただきました.どうもありがとうございます.
> (トヨタ パブリカ,『沙粧妙子−最期の挨拶−』で草薙君が乗ってなかったか?)
ここですが、「沙粧妙子」の本放送後のスペシャル版ですが、題名は
『沙粧妙子・帰還の挨拶』 だったよーに覚えているのですが・・・・(^^;)。
あと、草薙君が乗っていたのはVWのTYPE3というヤツです。
これ、いわゆる「カブト虫」ではイヤだという消費者向けに、多少一般的なスタイルを
まとったヤツです。1960年代前半の登場ということで、顔つきなどは
パブリカと似たテイストを持ってはいるんですけどね・・・。
で、「沙粧」に出たVWですが、ボディは壺坂のパブリカと同じ黒だったはずですが、
ホイールや外装に手が入った、いわゆるキャル・ルックというヤツのはずで、
割と凝った選択に驚いた記憶があります。
ま、フジテレビ系のドラマは、一部のクルマメーカーがスポンサーに付いた
場合は除いて、登場するクルマの選択が渋かったり面白かったりするんで、
妙にそーゆーところばかり見てしまうのですが・・・・(^^;)。
例:「沙粧」の場合、本放送で沙粧姉妹のマイカーは古いボルボ。
古畑シリーズで明石家さんまが演じた成り上がりな弁護士はサーブの新型。
なお,BORASHI!さんのWebサイトは『ケイゾク』専門のページ「勝手にケイゾクをケイゾクしてなんちゃらほいほい」もあります.辞典にある独自の解説はなかなか読み応えがあります.
以下はVW Type III関連のサイトです.いずれも英語ですが,ご参考までに.
(1999.04.25.記)(1999.06.06.更新)