ニコン 35Ti

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Outline

1993年に発売された高級コンパクトカメラ.いわばニコンのT2.

Nikon 35Ti

デザインの最大の特徴は頂部にあるアナログメーター.

チタンカラーの地に白いメーターは, 何やら実験機材みたいな雰囲気があってよい. メーターは絞りや被写体までの距離などを示し, これを見るとカメラの状態が一目で分かる[3]. 意匠としては四角いボディにこの長円径のメーターはおさまりが悪くもあるが, その違和感が「ひっかかり」になって存在感の強さにつながっている.

メーターはセイコーとの協同開発と聞く.デジタルデータをもとに針を 電気的に動かしている.ガラスの面積が広いのは傷がつきそうで気になるが, 前面のガラスともども腕時計と同じ硬質ガラスで, 普通に使っている分にはまったく傷がつかない.

レンズは新設計の35mmF2.8.5群6枚構成.ビオゴンタイプを手本にしており, 解像度が高く歪曲が比較的少なく,周辺光量も十分にある.最短撮影距離は40cm.

露出はニコンお得意の評価測光(3D-6分割マルチパターン測光)で 一眼レフと同等.動作はシャッター半押しでレンズが繰り出され, タイムラグが比較的少ない.

1994年には28mmレンズ搭載の兄弟機28Tiが発売され,1996年夏まで販売された. 『シャル・ウイ・ダンス』の周坊監督も愛用しているし,不思議とこれを使っ ている女性をよく見かける(3人ぐらい見た).

1993年から4年にわたって販売されていた35Tiだが, 1997年12月についに在庫払拭のためニコンのプライスリストから外された. 次回の製品に期待したい.

Impressions

1995年5月に購入した.理由は,その時震災復旧の仕事で大阪に派遣中 だったために,一眼レフに代わって派遣先にもって行ける機械が欲しかったため. ただし1994年の5月からカタログを見てぜひ欲しいと思っていたので, これがいい機会ということでもあった.このときは9万円弱で購入.

写りはとてもいい.特に人や動物を写すと繊細で暖かみのある写真になる. 色の再現度もいい感じ.

操作性もよく考えられている.F5やF100のような回転式のメインスイッチ とシャッターボタンで通常の撮影は完了.細かい調整をする時は, ボタンで対象を選んでパラメータの値をコマンドダイヤルで調整するという, F-801以来の質と量を切り分けた操作系.迷いがなくてよい.

もっとも,時計の設定はあまり分かりやすくないし, パノラマ切り替えスイッチがあるのも時代を感じさせる. そして例のストロボスイッチも使いずらい. こいつは,1997年夏にサービスセンターで28Ti(そしてGR1風)の スライドスイッチに改造してもらった.

35Tiの不満といえば,レンズの位置が右手側に寄りすぎていて持ちずらい. こんなところはT2を手本にしなくてもよかったのだけど. ストロボのチャージが異様に遅いのもつらい.

も一つ.いつのまにかアナログメーターのうちフィルムカウンターの針の 位置がズレてしまっている. フィルムカウンターは液晶表示もあって困らないのと, 修理に出したらアナログメーターが全取り替えになって高くつきそうなので, 当面直す予定はない.

35Tiの本領発揮は人物や動物のスナップだと感じる.レンズの性能が高いので 肌や髪の毛の再現がよく,色も暖かみがあって人物を魅力的に見せる. 35mmの画角もスナップに適している.40cmまで寄れるので動物や赤ん坊を 写すにもよい.近距離のAFの精度は十分あり,パララックスにさえ気を つければ至近距離でもきちんとピントを合わせることができる.

なお,何人かの方が,このカメラには2点式の首からかけるストラップが 似合うと言っておられる[5]が,ニコンの方ではそうした声に応えてアンティー クケースというのを限定販売した.これは,茶色い革製の四角いケースで, このケースに首から下げるための皮紐がついている.このケースは私も愛用 しているが,なかなか調子がいい.ここに掲載した写真で猫がじゃれついて いるのがそのアンティークケースの紐である.

tiger cat

追記:

1997.

1997年公開の佐藤藍子主演の映画, 『タイム・リープ』で35Tiが使われている.

1998.09.13.

ストロボのモードと露出制御の関係が分かった. ストロボのモードがオートになっている場合は, 被写体の明るさに応じてストロボが自動的に発光するモードになる. このときは,ファインダーに見えるシャッタースピードは「L」, 露出不足と表示され,実際には,過度に遅くないシャッタースピードが 選択される.つまり,通常の露出で不足する光量をストロボで補うというモード になる.

ストロボを強制発光にすると,被写体が暗い場合に,シャッタースピードが やたら長くなる.従って,ストロボを当てにしない露出となり,これにストロボ の光を加味する撮影となる.

せっかくストロボのスイッチを改良してもらっていたので,今まで,暗い所 では必ず強制発光にしていた.結果,シャッタースピードが異様に長くなり, ブレブレの写真ばかり量産していた.今回,やっとその解決方法が分かった次第.

ストロボのスイッチは,発光禁止か,自動かのどちらかの選択のみ行う べきで,何か特殊な意図がないときは,強制発光を選択してはいけない. ストロボ強制発光モードは,デーライトシンクロかスローシンクロ撮影の ためと割り切る必要がある.

a baby

references

books

[R1]製品カタログ
製品カタログは大きく分けて3パターンある.最初が35Tiのみのバージョン, つぎが35Tiと28Tiの共通のカタログ.そして,最後が28Tiの販売終了後の 35Tiのみのカタログである.
[R2]田中長徳:チタンの元祖が作ったチタンメタルカメラ/よくも悪くも、 ニコンらしいカメラ,カメラジャーナル,Vol.21, 1995.01.
35Tiと28Tiの特集.「デザインの遊びのないカメラ」と評しているのが 印象的.
[R3]小倉敏布:『写真レンズの基礎と発展』,朝日ソノラマ,1995.08.31., ISBN4-257-12012-6
P.183にて,「最新設計の対称型広角レンズ」という記事で35Tiと28Tiの レンズを紹介している.
[R4]ニューフェース診断室・ニコン35Ti,アサヒカメラ1994年年鑑
『新設計レンズと堅牢チタンボディーの高級コンパクト』として紹介. レンズの評価はなかなか高い.露出は1/2段程高めとの診断結果も出ている. 診断室以外の普通の紹介記事も28Tiとともに掲載されている.
[R5]田中長徳:『論より証拠のコンパクトカメラ』,アルファベータ, 1995.09.15., ISBN4-87198-501-6
前出カメラジャーナル誌が再掲されている.
[R6]CAPA技術部:ハイパーコンパクト6機種を総括リポート, CAPA, 1996.07.
35Ti,28Ti, T2, T VS, TC-1, ヘキサーの比較記事.大変参考になる. 「描写も最短撮影距離も現代的なニッコール35ミリ」と評される.

その他,丹野清志:『コンパクトカメラ撮影辞典』, 日沖宗弘:『プロ並みに撮る写真術II』などにも紹介されている.

関連サイト

[W1] クルクル針クラブ公式サイト
ビヨーン太さん主催のTiシリーズのファンクラブ,「クルクル針クラブ」の 公式サイト.詳しい説明や,会員の方の作例,会員の方のWebサイトへの リンク,BBSなどがある.


Last updated January 29, 2004. by Spangle Maker.