Mr.Suzuki:鈴木俊彦遺稿集第3回

”アメリカ・カナダの旅L"

banff banff

鈴木俊彦、玉子

第一章 ロッキーの山 

第四日バンフ附近のロッキー

 七月四日の朝は、比較的早く起きられ、心配したチビの怪我も大したことはない、かくして、カルガリー出発となった。
 カルガリーからは一つの道は北へ真直ぐエドモンド、その方向へは昨日の続きの大平原が連なっている。われわれの行くのは西に向って今迄の道を直角に折れ、山に向って近づいていく。
 連なる山々を左手に遠望して、道はやや起伏に富んだもの、地図では南ロッキーの主峰アシニポインが遠からぬところに、地図上しめされている。山又山、とにかく山ばかりでどれがアシニであるか定かではない。三六一八米もあるのだから、それとわからぬ筈がないのに、高峰があっちにも、こっちにも見えて、ただ驚嘆の声をのむ。道は山につき当って、消えたかと思うとき、北に方向を変える。
 ここらあたりで、ゆっくり一休みといくべきだが、初めての道、とかく先を急ぎたがる。

 車はどうあろうと、車も一〇〇キロ位出して走っているので、同じ山を見ていても、見る角度が変るたびに、たちまち変貌する。車はさほど多くない。山中の気配のみ濃い。東はいよいよ北に向を変えて進む。川が左手に見え、その川が見え隠れして同行する。やがてパンフの町に近づいてくる。にぎり飯は車の中で、山を見ながら食べたが、バンフの町でほ、美味しいものとビールが飲みたい。
 
 バンフの町、ロッキーの軽井沢というところだが、見たところ
さほど大きくはなく、人口も万に手が届くかどうかだろう。海抜は千を超えていると思う。町の様子を知っておこうと、来た道のはずれで、くるりと向きを変えて走ったが、すぐ町のどんづまりである。町をへいげいするように一山がある。カスケード山だ。二九九九米と、ほとんど三千米の山だ。

 ここは観光の中心地だけあって、町の通りは、方々からの見物入でごった返している。日本人の客も多く見受ける。表通りは人と車でいっぱいだから、とある裏通りの教会附近に駐車して、先ずは食事と買物ときめた。日本入経営の土産物店も数軒あるという。カナダには珍しく、盛り場的気分がある。この入だかりを利用して、宗教団体の入会おすすめを、楽隊つきでやっているほどだ。どこでも物見高いものと見えて、人だかりだ。

 僕らは、それより早く昼飯をせがむ子供達と喉をしめす要望のある男性とで、ようやくレストランに入る。今日はイタリア風がよかろうと、さほど大きくない店に入る。家族経営といったふう。ところが中は団体さんで一杯だ。パスかなんぞで乗りつけ、又時間でパスに乗る入々と見えて、腕時計見ながら、一段とそうぞうしい。僕らの方は時間なしだから、ゆったり休んでい。、団体さんの一部はついに時間切れか、取り消して席を立った。ぐっと静かになる。

 さて、われわれの食事、イタリア料理というほどのことはなく、なんとなくアメり力的、ビールもまだ先があるというので、外の飲物、ビールは今晩の期待とする。食事が終ったのは二時過ぎ、小さい町で見るところもないので、正面の山を右手に廻って町を離れる。北の方に出抜けたところに、みんなのお目当のレイク、ルイーズ湖がある。その入口を見落して行き過ぎ、二、三キロ後戻りして、西側に入ると、そこだ。すでにたくさんの入と車が随分と停っている。
暫く休みとする。湖畔に出る。名だたるルイーズ湖だ。正面に見え隠れするのがビクトリア山だ。山の中腹から上は万年雪、その又上は雲が右から左へ流れていて、山頂は見えない。

 雪の末端から氷河は流れ出て、ルイーズ湖に融け落ちている。だから、湖面はあくまで澄みきっている。もし、観光客がおらず、入□の施設がないとすれぱ、そこは千古の静寂だけがある筈。

 湖の一番いいところにホテルがある。名はシャトー・レイクルイーズ。さすがに豪華である。夏休みをここで過すためには、一年以上前に予約しないとだめだという。もったいをつけているのか、真事か。下の食堂だけは一般観光客にも解放されているが、そこも一杯で、時間が待ちきれない。やむなく、庭園の一部で売られているアイスクリームを求め、こども達と一所に並んだ。

 とにかく暑い日だから、木陰に涼を求めてアイスクリームをしゃぷった。

 山はいつまで見ていても見飽きないが、ぼつぼつ先を急ぐことにした。この先にもきっと、すぱらしい眺めが待っていることを期待して、車上の人となる。

 ここは、カナディアン・ロッキーの中心地だけあって、見事な山は、次から次へと、いきつくひまもない。バンフ国立公園はこの先少し行くと、北の方ジャスパー国立公園に続いている。
 

             ・・・・・・  第四日午後へ


                                               Back to top

CopyRight:Mr.Suzuki.

 

鈴木俊彦遺稿集

第1回:私の仏教観(1988)

第2回:ニュージーランドの旅(1990)
第3回:アメリカ・カナダの旅(1986)
 @まえがき

 A旅の準備とシアトル:飛行機の中

 B旅の準備とシアトル:シアトル着
 C第一章 ロッキーの山:第一日目 アメリカ西北部 一
 D第一章 ロッキーの山:第一日目 アメリカ西北部 二
 E第一章 ロッキーの山:第一日目 アメリカ西北部 三
 F第一章 ロッキーの山:第二日目 カナダ入りを目ざして グレイシャー 一:スポーケンの朝
 G第一章 ロッキーの山:第二日目 カナダ入りを目ざして グレイシャー 二:モンタナ
 H第一章 ロッキーの山:第二日目 カナダ入りを目ざして グレイシャー 三:蝙蝠
 I第一章 ロッキーの山:第二日目 カナダ入りを目ざして グレイシャー 四:ホテルの朝
  J第一章 ロッキーの山:第三日目 カナダ・カルガリーに向かう 一:セント・メリー湖
  K第一章 ロッキーの山:第三日目 カナダ・カルガリーに向かう 二:カルガリ到着