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”アメリカ・カナダの旅E" 鈴木俊彦、玉子 ●第一章 ロッキーの山 第一日目 アメリカの西北部 三 鉱山を過ぎ、谷合を抜けると、又大平原にでる。水、牧野、放たれた牛、それに馬もかなり見受ける。ヘイ(乾草)の刈り取り最盛期なのか、至るところでやっている。所かわれば品変わるというが、ヘイの形もさまざまだ。数日乾かしたヘイが、機械で束ねられる。常識的には四角いヘイが多いが、円筒形のものもあり、とてつもなく大きい。日本の物置位にものもある。 ヘイを見ていると、いつまでも興味はつきないし、それから先の農業のことも考えさせられる。要するに、印度から西に行って欧州を一廻りして、アメリカ大陸に上陸した乾燥地帯の農法は、日本のような多湿地帯の農法とは違うのであろうか。日本の農法は、印度から東に廻って、東南アジア、中国、日本とモンスーン地帯で育ったものだ。だから日本のヘイ作りは北海道などの外はない。こうして作られたヘイは日本へも売られている。四角いの二個で一屯位あって、一万円位になるらしい。だからヘイ作りも結構いい商売になるという。 僕は三十年ほど前に、山日紙に「草を売る農業」という一文を書いた。当時日本では、草は厄介者視されていたものだから、草を売るなんて考えられもしないし、それを商売にして成立するなどとは考えられもしなかったせいか、双葉町のある青年にいろいろ聞かれた記憶がある。僕が早耳して、ヘイを作ることは日本でもやれる筈と書いたものか、定かな記憶はない。 まさに、本場アメリカのヘイ作りを現実に見る。日本へ送るヘイはどんな草か、雑草ではあるまい。息子説、そんなそ雑なものでなく、アルファルファという栄養価の高い草、又の名をルーサンともいうし、日本名は「むらさきうまごやし」という豆科の多年草、僕は最初、紫馬ごやしというので、クローバーの紫色の花をつけるのかと思ったら、それとは違うと、休憩所の反対側に生えていたのを息子が採って見せてくれた。それで、日本でも見たことがある、あれかと思った。原産地は西南アジアで、今は世界中どこでも栽培されているもの、高さ八十センチもなる多年草、四年に一度くらい植えかえるらしい。夏から秋にかけて淡紫色の小蝶形の花をつける。当地は今まさに夏から秋への季節で、その刈取りの最盛期、ワシントン、オレゴンのイリゲーション地区では、五月頃から三十日毎位に、一回刈り取られ、九月末までに年五回、カナダは寒いので年三回位られるという。 とにかく、テレビの大草原の小さな家といった風景の田園が至るところに見えるこのあたり。
やがて、最初の宿、スポーケン市のホテルに着く。こんどの旅行では、アメリカのいろんな宿に泊まってみようという息子の配慮があってのこと。 第一日目の宿は本格派、シェルトンホテルというやや高級の宿で、アメリカ中にいくつもあるチェーン店の一つ。翌朝出発際に見ると、この宿にレーガンやカーターの政治家も泊まったというし、有名な女優などの泊まった記念写真が、入口に並べてあった。わたし達夫婦もその下で一枚パチリ。 日中暑かったせいか、宿に着くなり、孫はプールに入るといってきかない。息子が連れていった。プールというのはアメリカの宿には必ずあるという普遍的施設、たいてい同じ建物の何階かにある。この宿は三十階ほどの高さだが、その十九階にあると表示してある。ホテル・イン・コッテージといろいろ呼び名もあるが、観光地などでは、部屋の作りも似たいよったりである。 我々の泊まる十二階の部屋、一部屋ベッドは二つ置かれているので、隣り合わせ二部屋がとってある。一つは広さが日本流で二十畳位で、ベランダからは市中を流れる川、その向こうには今日通って来た林、更に向こうには遠く山脈が見えている。 途中を遊びすぎたが、車の調子がすばらしく、午後四時四十分宿に着いている。 ホテルの飯より市中に出て中華料理のほうがいいというので、あらかじめ見ておいた中華街に出向いた。日本人も一ヶ所にかたまるが、中国の人はいっそうよくかたまる。至るところ、かなりの山中の町にも中華街はある。それに、飯 アメリカの中華料理の味は日本のものとかなり違う。一口にいえば、アメリカ風になっているのかも知れない。こんどの旅行では、この先三度か四度中国料理にご厄介になったが、それぞれ、まあまあの味、だがごこかピンと来ないのは、量こそたくさんだが、日本の食べなれたものと少し違う。こども達は例の如く、ギョーザかラーメンを欲しがった。我々は待望のビール、日本製もあるが、土地のものを味わおう、アメリカ製ビールで乾杯。ごきげんで満腹にもなった。 まだ、そうおそくはないが、とにかく宿に帰ることにして、ここから歩くことにした。十分足らずで宿だった。寝る段になると、例の通り、こどもを一人づつ、二部屋のどちらかにいれることにした。下のチビ娘が母親と一ヶ所ということになるから、上の男の孫は、われわれの部屋に入来。ベッドは二つで、どちらもセミダブル型だから、彼は私のベッドにもぐり込むとうことになる。よく動き廻って、夜中には二,三回頭と足が反対になる程だか、こちらも眠り名人だから、意に介さない。それよりプールだのなんだの出たり入ったりして、うるさいことは夥ただしい。 ホテルの部屋は次図の通り。広さ20畳くらい。アメリカの典型的な間取りで、アメリカ中、ほとんどこのような格好になっている。 もっとも、うんと高級なホテルのことは知らない。 普通の庶民が泊まる宿はこんな仕様である。 ・・・・・・ 第二日 Next CopyRight:Mr.Suzuki.
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