電子交差点

    屋久島からの続報


 プレス/ネットリリース #2(2000年3月13日)
「屋久町議会で核燃施設反対決議、持ち込みと立地拒否条例制定へ!」
 by 核廃棄物の中間貯蔵施設をつくらせない市町村議員住民連絡会・屋久町事務局

 昨年来、隣の種子島に誘致が取り沙汰されている使用済み核燃料中間貯蔵施設について、屋久町議会は3月13日の本会議で全員一致により反対決議案を可決しました。決議文は下記のとおり。この結果を受けて町長は今議会中に核物質の持ち込みと核関連施設の立地を拒否する条例の制定を提案し、議会側も承認の運びです。

核関連施設立地に反対する決議

 私たちの住む屋久島は、1993年12月、日本で最初に世界自然遺産に登録されました。
 このことは、この島の持つ豊かな自然を人類共通の宝として世界が認め、この宝を未来へ守り伝えてゆく責任を国が負ったということであり、ここに住む者として私たちはより強く、その責を感じ、その責を果すべく創意と努力を重ね、自然と人との共生をテーマに町づくりに取り組んでいるところであります。
 このようななか、国においては国内に使用済み核燃料中間貯蔵施設の立地点の選考を行うと聞き及んでいるところでありますが、原子力利用事業に対する絶対的安全性に信頼が得られない現在、世界が認めるこの豊かな自然と住民の生活を危機にさらすようなことは、自然と共にここに住む者として決して許容することはできません。
 よって、本町及び近隣市町村において核関連施設の立地が行われるようなことには、断固反対するものである。
       以上、決議する。
       平成12年3月13日
       屋久町議会(決議文引用終わり)

 これに先立ち、3月10日の議会初日には、日高十七郎(ひだか・となお)町長が施政方針演説の中で「国内外における原子力関係の問題多発等に鑑み……誘致・立地について反対」であり、「非核宣言の町・屋久町としては、今後とも核関連施設の誘致に反対の姿勢を堅持すべき」と明言しました。
 これらは、私たち「核廃棄物の中間貯蔵施設をつくらせない市町村議員住民連絡会・屋久町事務局」(以下「連絡会」)が2月15日から2週間足らずで取り組んだ「種子島の核施設誘致に反対する屋久町民署名」1880人分を添えて、2月29日に提出した下記の陳情書を受けたものです。

熊毛地区への使用済み核燃料中間貯蔵施設誘致に反対する決議
および意見書の提出を求める陳情書

陳情趣旨
 昨年来、隣の種子島で原子力発電所から出る使用済み核燃料中間貯蔵施設の誘致が取り沙汰されています。当初、半信半疑だった新聞報道も、本格的取材とともにさまざまな事実を掘り出しつつあります。私たちが2月3日の藤田祐幸講演会実行委員会と、それに続く「核廃棄物の中間貯蔵施設をつくらせない市町村議員住民連絡会」の活動の中で学び、独自に調査してきたところでも、同施設の種子島誘致は“噂”の域をはるかに超えた現実味を帯びています。もしこの計画が実現して、年間500トン、合計5000トンとも言われる大量の高レベル放射性物質が西日本各地の原発から日常的に種子島へ輸送され、先の見えない長期間にわたって保管されることになれば、熊毛地域のあらゆる産業と住民生活を脅かします。また万一放射能が漏れ出したり、臨界事故が起こったりした場合、種子・屋久両島は子々孫々におよぶ壊滅的打撃を受ける可能性があります(詳しくは添付資料参照のこと)。
 私たちはこれらの危険と悪影響を強く危惧し、「種子島の核施設誘致に反対する屋久町民署名」第1次集約(2月15日〜28日)1880人分を添えて、屋久町議会に次のような決議と、別紙により関係行政庁へ意見書(このリリース文では略)の提出を求めます。

「非核宣言を掲げる屋久町議会は、恵み豊かな自然と住民の暮らしを末永く守っていくため、事故が起これば大きな影響があり、また事故がなくても半永久的な管理を必要とする使用済み核燃料を、熊毛地区に持ち込み貯蔵するすべての計画に、現在も将来にわたっても断固反対します。」(陳情文引用終わり)

 3月13日の議会決議後、おそらく屋久町でははじめての記者会見(TV・新聞数社参加)で、町長と議長は再度、議員全員と住民有志を前に種子島への中間貯蔵施設誘致・立地に反対の意思をはっきりと表明しました。さらに町長が、3月27日までの今会期中に核物質の持ち込みと核関連施設の立地を拒否する条例を制定したいと述べ、議会の協力を求めたところ、議長からも強い賛同を得ました。
 条例制定のアイデアは、私たち連絡会が次の6月議会で提案し、できれば熊毛地区の他の1市3町(種子島の西之表市、中種子町、南種子用、屋久島の上屋久町)とも連携して、原子力関連も含んだ広義の熊毛非核地域化をめざしてはと考えていました。ところがこの発案を聞いた町長が、むしろ屋久町がさきがけとなって今議会で制定したうえ、他の自治体に同調を呼びかけようと英断してくれたのです。扱いは、町長からの追加議案(執行部提案)を議会が審議・承認するという形になるため、急きょ連絡会で条例案を用意し、町長に提出しました。
 連絡会案は、岡山県湯原町(放射性廃棄物等の持ち込み拒否に関する条例・平成3年制定)、岐阜県土岐市(土岐市放射性廃棄物等に関する条例・平成11年制定)などの前例を参考にしたものですが、今後法律専門家の助言も加味しながら、会期末に向けて町長サイドで最終的な条例案を練り上げる予定。いずれにせよ、平成元年に決議済みの非核自治体宣言を踏まえ、将来にわたって予想されるあらゆる核物質の持ち込みと核関連施設の立地を阻止する内容になるはずです(次回のリリースで発表予定)。
 というわけで、これまでのところ屋久町では住民・議員・行政の呼吸がみごとに合い、さわやかな地方自治の風を吹かせはじめています。きっと、この条例制定の流れは種子・屋久両島の他の自治体にもおよんで、中間貯蔵施設誘致・立地の動きを強く牽制することになるでしょう。
 なお、屋久町長が反対意思を表明した3月10日には、西之表市長と上屋久町長も一般質問に答えて同様の答弁をしました。また、3月議会での反対決議も上屋久町では確実、西之表市も可能性が高いと見られます。種子島・屋久島の心ある人びとの想いが、かなり速いスピードで現実化し、水面下の誘致・立地計画を封じ込めつつある手ごたえが感じられます。
 ただし、反対運動の成果と実際に立地を阻めるか否かは別です。馬毛島に計画されてきた立石建設=馬毛島開発の採石事業に対しては、近々鹿児島県の許可がおりる見込みで、リリース#1で説明したとおり、それが途中で中間貯蔵施設に化ける可能性はいぜんとして赤マル要注意。当連絡会では、私たちの陳情書の扱いを含めて屋久町3月議会の動向を見守りながら、次に打つ手を考え実行していきたいと思います。
 そのうちの一つは、4月から7月にかけて新たに鹿児島県知事宛ての署名運動を町内と島外(海外を含む)の二本立てで進めること。これは上屋久町の「核施設はいらない島民の会」と連携する予定で、できれば西之表市の「核施設をつくらせない市民の会」、中種子町の「核施設をつくらせない町民の会」とも歩調を合わせたいと考えます。3月3日に700人を集めて発足した中種子町の会では、草の根的な署名運動を展開して6月の町議会で反対決議を求めるとのことです。また、このかん屋久島では5月18日から3日間「世界自然遺産会議」(後半は鹿児島市が会場)が開催されるため、南北二つの町の核施設反対組織が共同のブースを出店することになりました。アボリジニの聖地を脅かすオーストラリアのカカドゥ国立公園(世界自然/文化遺産)におけるウラン採掘問題(http://savekakadu.org/ 参照)など、使用済み核燃料の中間貯蔵につながるさまざまな糸をたぐり寄せ、世界遺産の意味を問いかけるつもりです。もう一つは、4月23日前後のアースデイ2000企画として、種子・屋久両島の有志が種子島に集まる交流会を提案しています。「21世紀の島起こしを語り合う」といったソフトなテーマで、核施設のようなものに頼らない地域振興の道を探りながら、これまで近いようで意外と疎遠だった二つの島の人びとが顔を合わせ、本当に持続可能な明るい未来を見通そうという趣旨です。話題は自然エネルギーとか、農林水産業の再活性化とか、エコツーリズムとか、種子・屋久地域共通の歴史・文化の見直しとか、いろいろあるでしょう。屋久島の参加希望者からは、瀬渡し船で馬毛島(西之表市沖)を見学したいという意見も出ています。このプレス/ネットリリースは引用・転載自由です。
事務局連絡先:Tel/Fax: 09974-8-2861(羽生)
Tel/Fax: 09974-7-2898(星川)Email: stariver@ruby.ocn.ne.jp
[リリース#1は http://www.realwave-corp.com/16kouryu/kaku/kaku1.htm を]